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2009年11月 2日

ホーバークラフトがなくなった

日本唯一のホーバークラフト、「大分ホーバーフェリー」が、先月 31日に最終運行を終えて、廃止になってしまったのだそうだ。(参照

私はこのホーバークラフトに、たった 1度だけ乗ったことがある。5年ちょっと前のお話だ。大分市に出張した帰り、大分空港まで行くのに、話のタネにと思って乗ったのである。

その時のことは、ちゃんとブログに書いてあるので、ご参照願いたい(参照)。5年も前のこととて、ホーバークラフトは、まだまだ立派に現役だった。大分市から別府湾の対岸にある大分空港に行くのに、バスで延々と湾岸を辿るよりも、湾を直線的に縦断するホーバークラフトは、時間的なアドバンテージがあった。

当時、大分空港から大分市までは、バスで 1時間以上かかったように記憶している。名称は 「大分空港」 なのだが、実際には大分市は別府を越えてさらにずっと南にくだらなければならない。あれじゃ、むしろ「別府空港」とする方がふさわしい気がしたほどだ。

それで、帰りは土地の人の「話のタネに、一度は乗ってみたら」という勧めに従って、乗ったのである。確かに、空港までの所要時間はかなり短縮された。

ただ、短縮されると言っても、1時間ちょっとが 25分になるだけというのは、それほど大きなアドバンテージとは言えない。2時間が 45分に短縮されるというのとは、ちょっとわけが違う。それに、運賃がバスの倍近くかかるので、どちらを選ぶかとなると微妙な選択という気がした。

それに乗ってみて初めてわかったのだが、あれは、海の上を行くというような風情が全然ない。デッキに出て海風に吹かれるなんてことはできない。そもそも、デッキなんてない。ひたすら船室 (と言っていいのかなあ?) に閉じこめられて、バホバホ揺れるのに耐えるだけだ。窓ガラスも飛沫に濡れるので、景色もあまりよく見えない。

つまり、所要時間がちょっと短縮されるという以外には、メリットはほとんどない。あるとすれば、本当に「話のタネ」というだけのことである。しかも、その話のタネにしても、あれは陸上の発着場で位置をほとんど変えずに方向転換したり、海の上をしぶきをを上げて豪快に疾走する姿を外から見たりする方がずっとおもしろい。

乗ってしまうと、何がなんだかわからないうちにバホバホ揺られて向こう岸に着くというだけで、はっきり言って面白みとか風情とかいうものはない。よほど忙しい人でもなければ、大分市と空港との行き来に必ずホーバークラフトを使うなんて気にはならないだろう。私だって、一度乗ってしまえば、話のタネとしては十分という気がしていたほどだから。

とはいいながら、日本唯一のホーバークラフトがなくなってしまうというのは、ちょっと残念に思う。人間というのは、つくづく 「ないものねだり」 が好きな種族である。もしかして、乗降客がずっと多い別府温泉から運行したらいいという気もするが、それだと所要時間の差がますますなくなって、やはり安いバスとの競合に勝てないだろう。

どこかのアミューズメント施設で買い取って動かすなら、あんな船室に閉じこめたりせずに、屋根を取っ払い、ビニールの雨具をしっかり着せてデッキの椅子にシートベルトでしっかり固定して座らせたら、かなりスリルがあって受けるかもしれない。でも、それならジェットコースターの方がいいかなあ。

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コメント

社会人になりたての頃、大分出張が2回あって、ホーバークラフトに乗りました。懐かしいですね。ただし、おっしゃるとおり、あまり楽しい乗り物ではありませんでした(笑) せめて窓から周囲がクリアに見えればなぁ……。


投稿: 山辺響 | 2009年11月 4日 10:40

山辺響 さん:

>せめて窓から周囲がクリアに見えればなぁ……。

そうなんですよね ^^;)

投稿: tak | 2009年11月 4日 11:31

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