「流行語」 という言葉が死語になる日
毎度お馴染み 「2009 ユーキャン新語・流行語大賞」 のノミネート 60語が、昨日発表されたんだそうだ。(参照)
政治・選挙ネタの 「政権交代」「小沢ガールズ」、阿修羅好きの女性「アシュラー」、勝間和代氏を信奉する「カツマー」なんかが目立ったところらしい。
この賞は 25年間も続いている「年中行事」である。昔は「流行語大賞」という名前で、『現代用語の基礎知識』を出している自由国民社の主催だったように記憶しているが、今は通信教育のユーキャンが主催する "現代用語の基礎知識選『ユーキャン新語・流行語大賞』" ということになっているようだ。
ただ、この移り変わりの激しい社会において、昔の「流行語大賞」という名称ではあまりにも厳しいらしくて、5年前から「新語・流行語大賞」という言い方になっている。今日び、いわゆる「流行語」というものにとっては、厳しい時代になっているのだ。
毎年、「そんな言葉、ちっとも流行してなかった」「一度も使ったことないし」とか、いろいろなことを言われているが、これはもう、仕方のないことなのである。
もはや「ガチョ~~ン!」で笑いを取れる時代は遠く過ぎ去り、「だっちゅうの」なんていうのもあったねぇと、遠くを見つめられ、「欧米か!」でも、インパクト不足だった。そして今年、ノミネートされた候補(参照)をみても、「流行語なんて、どこにもないじゃん」という状態である。
この現象は、CD でミリオンセラーというものがなくなり、ヒット商品も年齢やライフスタイルで細かくカテゴライズしたところでしか存在しにくくなったという、最近のマーケット構造から生じているのだろう。「新語」は続々登場しても、「流行語」は登場しにくい世の中なのだ。
「流行語大賞の語は翌年には死語大賞」 なんていう言い方もあるらしい。ここまでくると、「流行語」という言葉自体が「死語」になる日が来るだろう。いや、既に年末になると登場する「年中行事用語」としてのみ生き残っているだけで、既に棺桶に片足突っ込んだ状態と言っていい。
このイベントは、今はまだ過去からの勢いだけで「流行語大賞」と言い習わされているが、「新語大賞」と言い換えられる日がくるのも、そう遠くないかもしれない。
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コメント
ミリオンセラーとか減っていきそうですね。
少し前に、全日本国民的美少女コンテストと言うのを仲間から聞いたのですが、聞いた瞬間に頭の中に80年代の空気が充満したのを思い出します。
その後、「国民的という言葉自体が国民的じゃないなー」などとコメントが続いたような気がします。ちなみに、まだコンテストは続いているそうです。
投稿: fn.line | 2009年11月14日 18:10
fn.line
>少し前に、全日本国民的美少女コンテストと言うのを仲間から聞いたのですが、聞いた瞬間に頭の中に80年代の空気が充満したのを思い出します。
Wikipedia で調べたら、確かに 1987年から続いているんですね。
ただ、それにしては今年が 12回目と計算が合わないので、よくみたら、時々中抜きされていて、年中行事というわけじゃないみたいですね。
投稿: tak | 2009年11月14日 20:18