中国の 「暴力抗法」 について
「暴力抗法」 という言葉をご存じだろうか。私は 12月 17日付の産経ニュースで初めて知った。"【石平のChina Watch】「暴力抗法」が予兆するもの" という記事である。
まだ十分に日本語化されていない中国語のようなので、ググってみても、今のところは中国のサイトがやたら多く検索される (参照)。
石平氏の名前は、「せき・へい」と読み、1962年に中国で生まれで、88年に日本に留学し、一昨年に日本国籍を取得された評論家である。『謀略家たちの中国』という著書を書店で目にしたことはあるが、私はまだそれを読んだことはない。
石平氏によると、暴力抗法とは「公安局・工商管理局・都市管理局などの司法・政府機関が法律違反や条例違反に対する取り締まりを行うとき、当の違反者が暴力をもって抵抗を試み、執行者に人身的危害を与えるようなケース」と説明されている。要するに、読んで字の如く、「暴力をもって法に抵抗する」という行為を指すようだ。
いろいろと漏れ伝えられているところによると、中国ではこうしたケースが頻発しているらしい。当局が違法者の取り締まりに当たろうとすると、違法者の方がぶち切れて、やたらと人を集めて抵抗し、当局の人間に暴行を加えたりするということが多いらしい。どんな事件があったかは、上記の元記事をご覧いただけばわかる。
石平氏は暴力抗法事件の多発について、次のように述べておられる。
「暴力抗法に及んだ人々の多くは、別に筋金入りのヤクザものでもなく、むしろ民間経営者や自営業者などの一般市民である。普通の市民までが暴力をもって法の執行に立ち向かったところに、問題の深刻さがあるのだ。
その根底にあるのは、現在の中国人民の法秩序に対する根強い不信と、法秩序の維持者である国家の権威に対する民衆の反発心理であるが、そのことの持つ意味は非常に大きい。
中国は「法治国家」ではなく「人治国家」であるとは、よく言われることである。法律よりも属人的な裁量がものを言うのである。それだけに、民衆の 「法」 に対する不信感が増幅されるというのもわかる。
石平氏は、次のようにも書いている。
ホッブスの国家論によると、各人が暴力をもって自分自身を守ろうとする「自然権」を人々から取り上げて、「万人の万人に対する戦い」を終結させたところに国家と法秩序成立の意義があるというが、今の中国で、人々はふたたび国家から「自然権」を取り戻して「万人の法秩序に対する戦い」を始めたようだ。
これをして、石平氏は「現在進行形の国家の権威失墜と統治失効の証拠」とし、さらに「中国の歴史上、各王朝の末期になると、まさに国家の権威失墜に伴って『暴力抗法』が一種の社会現象として急速に広がるようなケースがよくあった」と指摘して、「王朝崩壊を予兆する末期現象」とまで言っている。
私は中国の専門家でもないし、香港には何度も行ったことがあっても、いわゆるメインランド・チャイナには一歩も足を踏み入れたことがないので、詳しいことはわからないが、どうも中国は「一歩間違えばアナーキー」というような状況が潜在していて、実際にあちこちで暴動事件も頻発しているようなのだ。
で、もうちょっと様子をみてみたくなって、動画サイトを検索してみたところ、中国の動画サイトでニュースになったものが見つかった。だが、こんなの とか こんなの とか程度で、要するに、ギャアギャアわめいたり、バタバタして抵抗している程度の画像である。
中国語がわからないので想像だが、前者は風俗営業の取り締まりみたいな感じで、肌も露わなオバサンは思う存分わめき散らしているが、当局側はほとんど手出ししていない。見ようによってはのんびりしたもので、「こんなんで、『暴力抗法』なのか?」と思いたくもなるが、多分、相当テレビカメラを意識しているみたいなのである。
他の集団的抵抗と見えるような動画は、かなり編集してあるようで、刺激的な場面はあまり見られない。そりゃそうだろう。中国国内のニュースなんだろうから、その辺は注意深くカットしてあるはずだ。
この程度のわめいたり暴れたりするというのは日常茶飯事で、あちこちで見られることなので、ニュースで流しても問題なかろうと判断されたんだろうと想像される。ということは、それ以上にワイルドな正真正銘の「暴力抗法」も少なくはないのだろう。
問題は、これが歴代王朝崩壊時のケースと同様に、今の共産党政権の末期症状と捉えてもいいのか、あるいは、中国でもようやく「自然権」の行使がニュースに取り上げられて非難されるまでに、国家体制が整えられてきたと捉えるべきなのかということで、私には判断がつかない。
ここでは、あの国はけっこうワイルドなところがあるなあと言うにとどめておこう。
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コメント
自分が
子供だったときのことを
少し思い出して
目の置くがあたたかく
なりました
そうか!!
サンタは
いたんだ!!
投稿: 好位置 | 2009年12月22日 16:25
好位置 さん:
ありがとうございます。
これ、前日の記事へのコメントですね。
投稿: tak | 2009年12月22日 21:58