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2010年1月 3日

『唯一郎句集』 レビュー #93

昨日に続いて、今日も 2句のレビューとなる。季節は冬。庄内の冬とて、雪が降っている。正月前の頃かもしれない。

私が過ごしていた頃の庄内は、12月を過ぎれば根雪が積もった。今は雪のない正月なんていうことがあるが、昔は考えられなかった。その根雪になり始める前の情景が浮かぶ。

さっそくレビューに入ろう。

積もりがたなく から檜葉雪をこぼしている

「積もりがたなく」というのは、「積もり方なく」ということで、「積もるような方向ではなく」というような意味だろう。雪がそれほどひどくはならず、一段落している情景が思い起こされる。

「から檜」というのは、もしかして「唐檜」のことだろうか、本来は「トウヒ」と読むらしいのだが、もしかしたら、酒田では「カラヒノキ」と言っていたのかもしれない。

その葉に積もりかけた雪が、風に揺れた時にこぼれ落ちる。その背景はあくまでも鉛色の雲に覆われた空。

うどん屋の夫婦寝けり雪の夜

読んでそのままの句。雪の夜、客の来る当てもなく、うどん屋は早々に店じまいして、窓の灯も消えてしまった。

酒田には珍しい静かな雪の夜である。つまり、吹雪ではないということで、明ければかなりの積雪だろう。

なお、「寝けり」 は 「いねけり」 と読む。念のため。

本日はこれぎり。

毒を食らわば皿まで・・・本宅サイト 「知のヴァーリトゥード」へもどうぞ

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