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2010年2月18日

「金ジョンウン」 を巡る冒険

北朝鮮に戻れない金正男氏」という記事に、北朝鮮の金正日総書記の後継者は三男の金ジョンウン氏に事実上決定している気配で、この後継者争いから外れてしまった金正男氏は、国際的放浪者になってしまう可能性があるなんてことが書かれていた。またこっそりディズニーランドに遊びに来たら、見逃してあげよう。

で、このニュースで気になったのは、三男の「金ジョンウン氏」という表記である。あれ、三男って、「金正雲」っていう漢字で紹介されていたんじゃなかったっけ?

調べてみると、どうやら三男の名前の漢字表記が「金正雲」というのは間違いだったということになっているらしい。ハングル表記だと、「雲」 とは別の漢字の読みに相当する字になるという。日本語だと「ウン」にしかならないが、ハングルでは微妙に違うんだそうだ。発音が違う以上、漢字も違うんだろう。

そもそも「金正雲」という表記は、金正日のおかかえ料理人をしていた藤本健二氏の著書から広まったという説が有力だが、その前からあちこちで「金正雲という表記はされていたという説もある。いずれにしても、確固たる根拠に乏しいお話なのだ。

じゃあ、本当の漢字表記はどうなってるんだというと、これが 「わからない」 んだそうである。ずいぶんいい加減なことである。しかし、北朝鮮では漢字が廃止されて文章はほとんどすべてハングルで表記するらしいので(人名もハングルで書かれているらしい)、漢字はほとんど意味がないという人もある。

というわけで、今では日本の多くの新聞で「金ジョンウン」と表記されているようなのである。これに関しては Asahi.com に詳しく出ている(参照)。昨年の 10月から「金ジョンウン」になっているようなのだ。迂闊ながら、今頃になって初めて知った。

正しい漢字表記に関しては諸説ある中で、どうやら「金正銀」が有力らしく、毎日新聞はこれを採用している。しかし、何しろああいう国のことだから、確認するのが困難を極めるようで、正確なところは誰にもわからないのだという。日本にも昔、「忌名(諱)」なんていうのがあったわけだが、今どき浮世離れした話である。

それにしても、「調べようなない」なんてことはなかろうと思うのである。韓国、朝鮮内ではハングルで表記されるからどうしようもないとはいえ、中国ではハングルもカタカナもないから、きっと漢字で書かれているだろう。

そう思って、中国の百度で検索してみた。初めに「金正雲」で検索すると、自動的に「金正云」(「云」は「雲」の簡体字表記)に変換されて、約 38万件がヒットする。次に「金正銀」で検索すると、またしても自動的に「金正银 (これも簡体字表記)に変換されて、約 31万 7千件がヒットする。

というわけで、中国では今のところ、「金正云」という表記の方がわずかに多いようなのだ。ただし、"「金正云」は、本当は「金正银」らしい" という内容のページも多いみたいで、実際には 「金正银」 が優勢になりつつあるような感じでもある。

百度百科というサイトの「金正云」のページをみると、ページのタイトルはあくまでも 「金正云」なのだが、「基本資料」という項目をみると、「金正银(云)(김정은(운)」とある。中国でもやはり 「金正云」は間違いだったということになってきつつある感じが見て取られる。

ただ、「金正银」という見出し語で百度百科を引き直しても、「金正云」というタイトルの同じページに行ってしまうというのが、中国の中国らしいところなのかもしれない。

ともあれ、「金ジョンウン」はどうやら「金正銀」らしいのだが、公式に確認が取れないので、日本ではしばらくは 「金ジョンウン」という表記が主流となるみたいだということで、今日のところはけりをつけておこう。

 

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