葬儀ビジネスとブライダルビジネス
茨城県に引っ越してきて驚いたことのひとつに、葬式のことを「じゃんぼ」と言うってことがある。「明日はじゃんぼに行かなきゃ」なんて言うから、何か楽しいことでもあるのかと思ったら、親戚の葬式だったなんてことがあって、びっくりこいた。
語源は葬式の時に打ち鳴らす銅鑼の音だなんていうが、私は葬式で銅鑼をじゃんじゃん打ち鳴らすなんてみたことがないので、「所変われば品変わる」と、ただただ感心するばかりである。
ところで、明日はまた葬式に出なければならない。思えばこの 10年で結婚式に出たのはたった 1度だけだが、葬式には少なくとも 30回以上出ていると思う。20代では、年に 2回以上結婚式に出ていたような気がするが、この年になると、葬式出席回数が格段に高まる。
で、明日も葬式である。今年初めてのお葬式出席だ。
葬式といえば、イオングループが葬儀ビジネスに参入するというニュースを最近ラジオで聞いたが、実は昨年秋から開始しているようだ (参照)。とかく不透明な丼勘定になりがちな葬儀の費用を透明・明確化し、きちんと納得できる葬儀を行う業者を紹介するらしい。
そのラジオでは、最近葬儀関連の市場規模がブライダル関連の規模を上回っているなんていう話をしていたので、本当かなあと、ちょっと調べてみた。
インターネットで調べた限りでは、経済産業省の特定サービス産業実態調査報告というのが見つかった。孫引きで恐縮だが、葬儀ビジネスの規模は、2005年で 7976億4500千万円で、2010年、つまり今年は 9161億円に拡大し、さらに 2020年には 1兆985.9億円になる見込みなのだそうだ。(参照)
それに対して、ブライダル関連の市場規模を調べようと思ったが、はっきりした数字がなかなか見つからない。とりあえず、DELTAS というデータ会社のサイトにある「2008年の市場規模は、1兆4,875億円(当社予想値)となり、対前年比99.4%となった」(参照) という記述を一応の目安にしてみようと思う。
同社のサイトの記述によると、「2006年以降、結婚式・披露宴の平均単価は上昇傾向にあり、婚姻件数の減少をカバーしている」ということのようだ。ただ、この単価上昇傾向がリーマンショック以後も続いているとは考えにくい。とりあえず、ブライダルビジネスの市場規模は微減傾向とみていいいだろう。
まあ、葬儀やライダルのビジネスの範囲をどこまで取るかの問題もあるので、一概には言えないが、「葬儀ビジネスの市場規模がブライダルビジネスを上回っている」と軽々しく言うのは、問題ありということのようだ。
ただもしかしたら、坊さんへのお布施や戒名料なんかを入れると、軽く上回るのかもしれない。お寺の財務関連は経済産業省の統計には入っていないはずだ。管轄外だから。檀家をたくさん抱えた寺は、坊主がよっぽど酒池肉林の贅沢をしない限り、潰れることはないだろう。
いずれにしても、ブライダルビジネスが微減傾向で、葬儀ビジネスが拡大傾向というのは確かなことのようだ。若年層の人口は減ってきているし、結婚式は 2人で 1度だが、葬式は 1人で 1度だ。また、結婚しない人はいても、死なない人はいない。
ブライダルビジネスが盛り返すためには、結婚と離婚を繰り返して、何度も結婚式をする人を増やすしかないかもしれない。
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コメント
むかし、漫才のネタで、『離婚式』というのがありました。
離婚のお仲人さんのご媒酌とか、「わたしゃぁね、いつか別れると思ってたんだよ!」と毒づく近所のおばちゃんのスピーチ、夫婦最後の共同作業、お別れ記念の引き出物(なんだったか忘れちゃった)など、結婚式のひっくり返しがネタになってました。
そういえば、『離婚ビジネス』が流行してきている昨今、離婚式も現実となるかも。
…ならないならない。
投稿: 乙痴庵 | 2010年2月 1日 12:36
乙痴庵 さん:
春風亭柳昇の落語 「結婚式風景」なら知ってますが、漫才の 「離婚式」とやらは初耳です。
ググったら、ざ・ぼんち のが出てきましたが、これは違うみたいですね
http://www.youtube.com/watch?v=yi5iNdqPEUg
投稿: tak | 2010年2月 1日 14:05