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2010年4月11日

『唯一郎句集』 レビュー #120

今回が最終ページとなった。つまり、これで『唯一郎句集』のレビューは完了ということである。

「草薙吟行」とあるが、「草薙」は、最上峡にある温泉町。最上川舟下りの発着所にもなっている観光地である。

   草薙吟行三句

うつし身に瀧のひびきつつ人の声鳥の啼く

「瀧のひびきつつ」とある「瀧」とは、白糸の滝のことだろう。街道から望むと最上川の対岸に、白糸のように落ちる滝が見える。

観光シーズンなのだろう。人の声と鳥の声が混じり合う。それでもやはり、滝の落ちるさらさらという音の方が響き勝っている。「うつし身」というのが実感となる。

おほどかはなびらをくみ合わしたるからつゆ牡丹

春牡丹は 4~5月頃に花の時期となるが、草薙のあたりは寒いので梅雨頃に咲くのだろう。しかし、この年は空梅雨だったようだ。

大どかな花びらが組み合わせたように咲いている牡丹を、「からつゆ牡丹」と言っているのが、ちょっとおちゃめだ。「唐獅子牡丹」の洒落だろうか。

雲霧に立つこの山嶺の樹々一列にて

最上峡の辺りは、からりと晴れ上がることが少ない。山並みの上の方を覆うのは、雲なのか霧なのか、微妙な光景だ。

その雲霧に向って、木々が列をなしてのびている。

最終ページのレビュー、これまで。

本来なら最後にふさわしい言葉を添えるべきなのだが、ちょっとした事情があって、それは次回以後にさせていただく。

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