「花散らし」 の微妙さ
今日は朝から大変な強風で、通勤時の常磐線は、運行本数を 7割に減らしての運転となった。7割の本数ならそれほどの遅れにはならないのかというと、そうではなく、7割に減った上でそれぞれの電車が、ものすごく慎重な徐行運転をするので、実感的には 2~3割しか走っていないみたいな印象になる。
というわけで、今日は秋葉原に着くのに 1時間以上も余計にかかった。あそこまでゆっくり走る必要があるのかと疑問にも思うが、うちの田舎で起きた羽越線特急脱線事故 みたいなことになるのを避けるためには、十分以上の慎重さが必要になるんだろう。
で、お昼にちょいと自分のサイトのアクセス解析を覗いてみたら、「花散らし」という検索キーワードで、ウチの記事に飛んできている人が結構いるみたいなのだ。なるほど、桜がようやく満開になったとたんにこの風だもの、週末の花見が心配になってしまった人が多いのだろう。
試しに「花散らし」でググってみたら、なんと、私が 4年前に書いた "「花散らし」 の艶っぽい元々の意味" という記事がトップにランクされているとわかった(参照)。「へぇ~」ってなもんである。357万件のなかの一等賞なんだから、我ながらびっくりだ。こりゃ、このキーワードでウチに飛んでくる人が多いわけだ。
「花散らし」という言葉はかなり不思議な言葉で、これだけ「花散らしの雨」とか「花散らしの風」とかいう言い方で使われている言葉なのに、私のもっている『明鏡国語事典』には載っていない。それどころか、iPhone にインストールしてある、収録語数 26万語を誇る『大辞林』にも載っていないのである。
4年前の記事には、
広辞苑には、「3月 3日を花見とし、翌日若い男女が集会して飲食すること」という語義しか載っていないそうだ。
と書いておいた。これは、広辞苑第五版のお話で、私は前はこの版を持っていたはずなのだが、いつの間にかなくなってしまっていて、自分では確認していない。そして、最新版ではどうなっているかも知らない。
いずれにしても、「花散らし」というのは、元々は「花を散らす」という文字通りのベタな意味もあったんだろうが、これを 1個の複合名詞とする場合は、花見の翌日の宴会のことをいっていたもののようなのだ。
で、これがなぜ「艶っぽい」のかは、私の 4年前の記事を読んでいただければわかる。日本語というのは、なかなかに風情があるというか、ニュアンスが豊富すぎるほど豊富というか、コンテクストが詰まりすぎているというか、まあ、なかなかの言語なのである。
何しろ、大辞林で引くと「花」には「若い男女」という意味もあるということだから (参照)。
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