上海万博 PR ソング騒動から透けて見えること
上海万博の PR ソングが、日本の岡本真夜の曲のパクリじゃないかと大騒ぎになっているというので、昨日、遅ればせながら YouTube で聞き比べてみたら、こりゃ、いくらなんでもパクリじゃないと言い張るのは不可能というレベルのものだとわかった。おなじパクるのでも、もう少し上手なやり方があっただろうに。
で、こりゃ、中国人の作曲者(名前忘れたが、調べるほどの価値もないので調べない)は、大変なことになるなと思っていたら、現実はそれを遙かに上回り、なんと岡本真夜の原曲を、中国側が PR ソングとして使いたいと申し出て、彼女はそれを快く承諾したというニュースが流れた。
なんともはや、エイプリル・フールのずっと上を行く展開となったわけだ。
ただ、このニュースだけではしかとはわからないのが、中国としては、原曲とされる「そのままの君でいて」を、まさにそのままの形で使うのか、それとも、これまで散々流されてきた PR ソングの作曲者のクレジットを岡本真夜に差し替えることで済ませるのかということだ。
原曲をそのまま使ったのでは、ほとんど意味がないので、多分、作曲者のクレジットを差し替えるということで、要するに「あなたの曲を使わせていただいてますので、よろしく」という、はなはだ勝手な事後承諾ということになるのだろうと思う。
そうなると、岡本真夜としては「確かに私の曲なんだけど、部分的にはかなり変てこにアレンジされちゃってるわねえ。でも、ま、いっか」 てなことで、あとは大きな問題にはしないということになるのだろう。まあ、大人の対応というものだ。
問題は、楽曲使用料をいくらもらうのかということだ。私としては、結構ふっかけてもいいと思うが、まあ、莫大な宣伝効果もあるから、あまりアコギなことは言わない方がいいだろう。後々のためにも、貸しを作っておく方がいい。
で、私としては、こんなことよりももっと重大なポイントだと指摘したいのは、今回のパクリ問題が、中国内のネット上の指摘から発覚したということだ。
岡本真夜の曲が、ある程度のヒット曲だったとはいえ、申し訳ないけど、私はそんな歌、知らなかった。ところが、知る人ぞ知るというレベルの日本の曲を聞いて、一発でわかるほどの層が、中国のネット・ユーザーの中には存在するのだね。これって、ちょっとすごいな。
中国という国はオフィシャルには反日的なそぶりを見せてはいるものの、実は日本の曲がずいぶんポピュラーみたいで、本音を言えば「日本大好き」みたいな底流があるようなのだ。日本の団塊の世代が、「打倒米帝!」なんて、反米を叫びながら、実はロックンロール大好きだったようなものかもしれない。
それからもう一つ、このパクリ作曲家は、中国では著名な人らしいが、改めて検証してみれば、この人の過去の作曲もパクリだらけだったということになる可能性が大きいと、私はみている。多分、昨日や今日に始まったことじゃない。ゴキブリが 1匹いたら、100匹いるのだ。
【4月 21日 追記】
ほうら、やっぱりね。(4/21 FNN ニュース: 「上海万博 開幕に向け最終的な準備 PR曲作曲家の過去の作品にも盗作疑惑浮上」)
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コメント
上海万博、パクリもみ消し工作判明―現代中国の崩壊の兆しか?
ブログ名称:Funny Restaurant 犬とレストランとイタリア料理
こんにちは。上海万博のPRソングがパクリであり、しかも、そのもみ消し工作が明らかになりました。中国相変わらずですね、北京オリンピックでの数々の偽装工作は、真摯に反省はされていません。いずれにせよ、他国それも、万博やオリンピックを開催するような国では考えられないことです。これは、一担当者のミスなどとして軽く見るべきものではないと思います。現代中国は、わたしたちが漢文の世界で親しんだ中国とは異なります。現代中国は建国のときに、導入した共産主義が国の思想や精神の背景となっています。しかし、ご存知のように共産主義は崩壊しました。さらに、悪いことには、現代中国は、建国のときに宗教も廃止、その他の伝統的文化も排斥しました。さらに、悪いことには、国民をまとめる共通の英雄なども存在しません。現代中国の規範は、その時々で政府が出す移ろいやすいものと、経済的尺度しかありません。こうした体制が長続きすはずはありません。いずれ崩壊します。おそらく段階的に崩壊していくでしょう。まずは、間近に迫った経済崩壊です。次に、思想や精神的支柱の完全崩壊です。それに続く社会的不安・混乱による社会崩壊です。最後に,どうしようもなくなって、現体制の完全崩壊へと続きます。詳細は是非私のブログを御覧になってください。
投稿: yutakarlson | 2010年4月21日 10:51
「変てこにアレンジされ」た部分があるなら、クレジットを
変えるだけで良いのですかねえ。
こうなってしまうと、岡本真夜さんには気の毒だけど、「まあ、いいや」という選択は、著作権という概念の希薄化に加担することになると思うので、きちっと対応すべきなのではないでしょうか。
全部聴いたわけではないので、よくわからないのですが。
ところで、テレビのニュースで聴くことのできた部分は、なんとなくジャクソン5の I'll Be There に似てる気がしました。
投稿: きっしー | 2010年4月21日 13:09
yutakarlson さん:
>詳細は是非私のブログを御覧になってください。
はい、拝見しました。
健闘を祈ります。
投稿: tak | 2010年4月21日 18:25
きっしー さん:
>こうなってしまうと、岡本真夜さんには気の毒だけど、「まあ、いいや」という選択は、著作権という概念の希薄化に加担することになると思うので、きちっと対応すべきなのではないでしょうか。
うぅん、岡本真夜サイドとしては、うっとうしい国際問題になりかねないだけに、莫大なる広告効果を取って、あとは穏便にけりをつけたというところだと思います。
まあ、きちっとしてもらいたいところではありますが、一芸能プロダクションとしては、手に余るかも。
>ところで、テレビのニュースで聴くことのできた部分は、なんとなくジャクソン5の I'll Be There に似てる気がしました。
確かに、そっくり。「孫パクリ」 疑惑が立ち上がりましたね。(^o^)
泉谷しげるの 「8小節までなら OK」 発言が重みを持ってきました。
投稿: tak | 2010年4月21日 18:34
実際中国に行くと日本の歌謡曲やアニメソング(ちびまるこちゃんなど)が街中で流れていましたし、ドラマや映画もよく観られているようです。
やはり我々が米英のそれに接するのと同じ感覚なのだと思います。
私が知り合ったある現地人は、小田和正と渡辺淳一のファンだそうですが、特に日本語ができるわけでもありませんでした。
それにしても、最近の中国ネット社会は、結構お上の批判が自由なんですね。ガス抜きの意図もあるのでしょうが、こうした事を蟻の一穴として独裁体制が崩壊してしまったりすると、一気に新日国家になるかもしれないなどと思うこの頃です。
投稿: HIRO | 2010年4月21日 22:45
HIRO さん:
>実際中国に行くと日本の歌謡曲やアニメソング(ちびまるこちゃんなど)が街中で流れていましたし、ドラマや映画もよく観られているようです。
実は私、香港には何度も行ったんですが、メインランド・チャイナには一度も行ってないので、話で聞くだけですが、どうもそのようですね。
>それにしても、最近の中国ネット社会は、結構お上の批判が自由なんですね。
今回の場合は、直接的にはパクリ批判なんでしょうが、それによって間接的に体制批判を暗示しているんでしょうね。
これが 「指桑罵槐」 という手法なんでしょうかね。
投稿: tak | 2010年4月22日 10:34
コピーフリーを黙認してる国ですからね、何しても労力ばかりで得るもの無しと判断したのかも。
しかし、この人個人の所業なら良いのですが、オリジナルに敬意を払う意識が希薄で皆やってるとしたら、中国はこれから大変でしょうね。
新しく創っても得るもの無しとなれば、誰もそんなことしませんし、やりたきゃ国外へ出るでしょう。
そうなれば文化、特に芸術系の発展は絶望的でしょう。13億の人口パワーも活かせない。
投稿: vagari | 2010年4月22日 23:22
vagari さん:
>新しく創っても得るもの無しとなれば、誰もそんなことしませんし、やりたきゃ国外へ出るでしょう。
中国内では、「クリエイター」は報われないとなれば、そうなるでしょうね。
文化的には面白みのない国になりますね。
(既にその兆候はありますが)
投稿: tak | 2010年4月23日 10:12