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2010年5月26日

iPad はじいさんばあさんの強い味方

私の関係している某社が、 iPad を 10台ほどまとめ買いすることを検討し始めた。何に使うのかというと、会議に使うのだという。役員会議に出席するじいさん連中にもたせるというのだ。

この会社では今、紙に印刷した資料(会社の月次決算、懸案事項、その他諸々)を、役員会議に出席する全員に配っている。ところがこの資料の作成が結構大変なのだ。いや、資料そのものは、日頃の業務でできているから、クリック一発で印刷される。大変なのは、その印刷された紙をソートしてまとめることだ。

データというのは、デジタルの形で存在する間は取り扱いが楽だが、一旦「モノ」の形になってしまうと、いきなりうっとうしいものになる。「印刷された紙」に姿を変えたデータは、ハンドリングだけでいやになる。

役員会議の前日は、担当者が必死になってコピーし、ソートし、ステープラーで留めている。ただでさえ人員不足なのに、こんな機械的な単純作業に人手と時間と紙とコピーのパフォーマンスチャージが浪費されるのだ。さすがに、これではたまらんというわけだ。

そこで一時は、資料をプロジェクターでスクリーンに映してみせるという方式にしたことがある。ところが、これが不評なのだ。なにしろ出席者の取締役たちは結構なじいさん連中だから、目が頼りにならない。スクリーンに映し出された資料の字が読めないのである。それに、スクリーンに映すのに部屋の灯りを暗くされると、手許を見るのもおぼつかなくなる。

それでは、各自 PC を配布するから、手許の PC 画面で資料を見てくれというと、じいさん連中は「そんな PC なんか渡されても、操作ができん」「字がますます小さい」 と、拒否反応を示す。ところが近、「iPad なら、PC と違って人差し指でチョンチョンすれば資料が見られますよ」という話に、じいさん連中もようやくダマされたのだという。

いやはや、大したものである。iPad のプロモーションビデオを見せたら、さしものじいさん連中も「これなら、使えるかもしれん」と、その気になったというのだ。これは要するに、Apple のプレゼンテーションの勝利なのだと思う。

iPad は、じいさんばあさんの強い味方になると思う。バカにしちゃいけない。日本の人口ピラミッドの中で一番分厚いのは、今や還暦を過ぎた団塊の世代なのだから、これまで PC を敬遠してきた彼らが iPad に慣れてしまったら、世の中かなり変わっちゃうだろう。

 

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コメント

日経ビジネスオンラインにも、iPadは究極のシニア端末かもしれない、という趣旨の記事がありました。iPadを利用した詐欺とか出てきそうだなぁ……。

http://cmad.nikkeibp.co.jp/?4_69020_385770_125

投稿: 山辺響 | 2010年5月27日 10:48

 シニアとジュニア(子供)にはとても使い易い端末になると思いますね。いや、私も普段使いはipadでいいと考えていますしね。
 普段は居間でノートパソコンを使っていますがIpadがあればパソコンの電源は入れない気がする。

 人工の多いシニア層がIpadを使いはじめ、オンラインショッピングとかに目覚めたら、ネットショップの常識も変わるかもしれませんね。

投稿: きんめ | 2010年5月27日 13:02

>役員会議の前日は、担当者が必死になってコピーし、ソートし、ステープラーで留めている。ただでさえ人員不足なのに、こんな機械的な単純作業に人手と時間と紙とコピーのパフォーマンスチャージが浪費されるのだ。さすがに、これではたまらんというわけだ。

この作業はパソコンから複合機にLAN経由で指示してやればすべて複合機がやってくれるんですけどね。担当者は複合機のトレイに(ステイプル留めされた)書類を取りにいくだけです。実に簡単で便利ですよ。

でも、その複合機は70~100万くらいだから、Ipad 10台の方が断然安いですね。維持費もかからないだろうし、Ipad は企業用に大量に売れるかもしれませんね。

80年代に言われていた”ペーパーレスオフィス”がここに来て実現するかもしれません。


投稿: ハマッコー | 2010年5月27日 14:38

山辺響 さん:

ご紹介の記事、読みました。

確かに、シニア端末として、iPad は最適化もしれません。
これまで、iPad の紹介ビデオを何人かの70歳以上の人に見せましたが、例外なくほしがりました。

「パソコンで、こんなこんな (とキーボードの入力の格好をして) ことしなくても、インターネットがみられるなら」

と大いに興味を示しています。

「iPad 詐欺」 も登場するかもしれませんが、シニア世代は、基本的にインターネットは 「怪しげなもの」 と認識しているので、電話よりはずっと警戒心が働くと思いますよ。

投稿: tak | 2010年5月27日 20:17

きんめ さん:

>普段は居間でノートパソコンを使っていますがIpadがあればパソコンの電源は入れない気がする。

私は iPhone を買ってから、PC を起動させる機会が激減しました。iPad を使い始めたら、まさに 「お仕事」 でしか PC を使うことはなくなるでしょうね。

投稿: tak | 2010年5月27日 20:21

ハマッコー さん:

>この作業はパソコンから複合機にLAN経由で指示してやればすべて複合機がやってくれるんですけどね。担当者は複合機のトレイに(ステイプル留めされた)書類を取りにいくだけです。実に簡単で便利ですよ。

この作業が iPad の登場で不要になるとしたら、業務用高級複合機の需要は減るでしょうね。

普段のコピーはパーソナル複合機で十分で、ちょっと込み入ったコピーだけ、コンビニとかビジネスセンターでやるということにすれば、かなりのコスト削減になりそうです。

投稿: tak | 2010年5月27日 20:25

シニア世代の方にiPadが有用とは、驚きました。
祖母に携帯を以前持たせたのですが馴染めず、すぐに手放してしまったので、そういうツールは無理なのかなぁと思ってたんですが・・
やっぱりプレゼン次第なのかも。

祖母に持たせたのは、いわゆる簡単な機能だけの携帯だったんですがダメでした。
なまじ電話だったので、携帯に電話の概念を見いだすことができなかったみたいです。

iPadはそういう固定的なイメージが無いのが良かったのでしょうか。

参考にさせていただきます^^

投稿: シロ | 2010年5月28日 00:57

シロ さん:

元々、そっちの方に興味が全然ないという人には、いくら言っても無理だと思いますが、「そろそろ自分もやらなくちゃと思ってるんだけど、ハードル高いなあ」と思っている人にはいいと思います。

投稿: tak | 2010年5月28日 10:40

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