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2010年5月31日

「いい人」は地滑りの起点になっちゃう

今日の午前 10時過ぎに、"「いい人」というのは、泥をかぶるのを嫌う結果、自分が地滑りの起点になっちゃったりするからコワイ" と tweet してみた(参照)のだが、これ、鳩山首相のことを指してるんだと気付いてくれた人は、何人いるかなあ。

Twtter では私のフォロワーは今、107人しかいないので、いっそのこと、一日に何百人もみてくれるこっちの方に同じことをかいているわけだ。

私は、鳩山さんは多分「いい人」なんだと思っている。もしかしたら「すごくいい人」 なのかもしれない。一緒にお酒を飲んでもあまりおもしろくはないかもしれないが、一緒にお食事する程度なら、とくにそばに奥さんがいてくれたりしたら、案外楽しいかもしれない。もしかしたら、変てこなハトの真似なんかしてくれるかもしれないし。

ただ「いい人」 というのは、政治家に向かないんだろうと思う。今回の普天間の問題にしても、結局は前から決まっていたところにしか落としどころは見いだせないと、素人でもわかっていたのに、沖縄の人たちのことを思うあまり(彼自身としては、本当に心の底から思ったんだと思う)、いろんなことを言ってしまった。

そしていろんなことを言ってしまったために、あちこちに決して叶えられない期待を振りまいて、その後にどっと失望を醸造してしまった。結論自体は、自民党政権時代とほとんど変わらないんだから、いろんなことを言わなかったら、こんなに深い失望だって生じなかったのに。

私はずっと前から、「普天間の問題は、前政権からの引き継ぎ事項として、相手もあることだし、あまりいじらないで、粛々と進めるほかありません」と言っておきさえすれば、それが政治的には正しい判断になると思っていた。このブログでは、はっきりそう書いたことはないが、alex さんのブログに、こっそりそうコメントしたことがある(私も案外ずるい)。

上記のコメントに関しては、遅まきながらその記事にリンクしようと思ったのだけれど、探しても見つからなかったので、ここでこうして「書いたことがある」とだけ言っておくことにする。あとで見つかったら、ちゃんとリンクしようと思うのでよろしく。

で、alex さんご自身の鳩山評価はかなり低いようで、私は「多分いい人」(皮肉も交えて)と言っているのだが、alex さんはその程度にも評価していないようだ。まあ、それは人それぞれだからいいんだけど。

「いい人」というのはアブないということは、これはもう私は、何十年も前から言っている。「いい人」というのは常に「気持ちのいい側」 にいたがる。「気持ちのいい側」というのは、正しいとか正しくないとか、善いとか悪いとか、そういう価値判断からは離れている。要するに、「いい人がいい気持ちでいられる側」である。

「いい人」は、自分では決して泥をかぶらない。そんなこと、するわけがない。「いい人」なんだから、泥をかぶる理由がない。泥なんかかぶったら「いい人」じゃなくなるから、自身の存在理由がなくなる。

泥をかぶりたくなかったら、かぶらずに済むポジションにいればいい。つまり、あまり大きな影響力のない、ちまちまとまじめにこなしさえすればいいという仕事をするべきなのだ。そうすれば、死ぬまで「まじめないい人」でいられる。

ところが、ちょっと間違って大きな責任のあるポジションについちゃったりしたら大変だ。今回のように大規模な地滑りの起点になっちゃったりする。

私が「いい人」が苦手というのは、こんなことによる。多少は「悪人」の要素を持っていてくれないと、付き合いにくくて仕方がない。親鸞上人だってそんなふうなことを言ってくれているんだから、間違いない。自分は悪人でいいやと思えばこそ、平気で泥をかぶって、世のため、人のためになることだってできるのだ。

 

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日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事

コメント

はじめまして、キセと申します。
いつも楽しく読ませていただいております。

この件について考えていたんですが、要するに
「悪い意味での八方美人」
ということなんじゃないでしょうか?
あちこちにいい顔をしようとして、結局やりおおせなかった。

勤勉な無能が一番たちが悪いと言います。
彼が有能か無能かはさておいて、怠惰な人ならばこんなことにはならなかったでしょう。

投稿: キセ | 2010年6月 1日 07:07

今回の“大規模な地すべり”については“小沢幹事長としっかり協議して国難に立ち向かう”と発言しているようです。
まるで地すべりの原因が外部にあるかのような発言には disgusted です。

loopy を愚直と言い換え、自らの発言を“そのようなことを言ったかも知れないが法律に書いてあるわけではない”と開き直ったりと、私には、“ずるい人”だなあと思えてなりません。

投稿: ハマッコー | 2010年6月 1日 18:04

キセ さん:

ようこそ。
今後ともよろしくお願いいたします。

>「悪い意味での八方美人」
>ということなんじゃないでしょうか?

うぅん、彼は自分が八方美人してるという意識はないと思いますよ。
むしろ、自分の良心に忠実に振る舞っていると思っているんではないでしょうかね。

まあ、最も政治家に向かないタイプなんでしょうね。たまたま政治家の家に生まれちゃっただけ

投稿: tak | 2010年6月 1日 20:53

ハマッコー さん:

>loopy を愚直と言い換え、自らの発言を“そのようなことを言ったかも知れないが法律に書いてあるわけではない”と開き直ったりと、私には、“ずるい人”だなあと思えてなりません。

これもまた、当人にとっては、誠実であろうとしていることの証なんでしょうね。
なにしろ、「いい人」ですから。

投稿: tak | 2010年6月 1日 20:56

ハマッコーさんの仰るとおり、Loopy を「愚直」とは我田引水もいいところですよね。

一方、Loopy にも良い所はあります。基地問題や地域安全保障に関し、米国の軍事当局は、もはや日本政府が「あうんの呼吸」で自分たちの考えを理解し、国民を説得し(あるいは騙し)てくれるとは限らないと感じているであろうということです。日米共同声明にあった、沖縄の負担軽減策に関する継続的な努力などの歩み寄りのことです。

いわば、沖縄の人々の不満の高まりを、"It's your problem." と米国にスルーした形になったように見えます。つまり、「日本政府が頼りないから、オレたちが気を遣わなければ。」というスタンスが、先方にも出てきたのではと思うのです。

もちろん、この点に関し、一部の官邸関係者や評論家のように、むやみにポジティブに解釈するのもどうかとは思います。あくまでも、そうしたポジティブは大きなネガティブ(世界の世論から見ると、日米の安全保障体制が弱体化したと見られているし、沖縄や徳之島の人々の気持は穏やかなわけがない)とセットなわけですから。

まあ、隣の半島の某 Loopy 国家と同じ程度の外交はできるってことでしょうか。

投稿: きっしー | 2010年6月 1日 21:06

きっしー さん:

>一方、Loopy にも良い所はあります。基地問題や地域安全保障に関し、米国の軍事当局は、もはや日本政府が「あうんの呼吸」で自分たちの考えを理解し、国民を説得し(あるいは騙し)てくれるとは限らないと感じているであろうということです。

うぅん、こんなようなことを、明日書こうかなと思ってたのに、先を越されてしまいました (^o^)

>いわば、沖縄の人々の不満の高まりを、"It's your problem." と米国にスルーした形になったように見えます。

ものすごく気が利く召使いが、すべて都合よく取りはからってくれるというわけじゃないということが、先方にわかったのは、ある意味ではおもしろいことかも。、

投稿: tak | 2010年6月 1日 23:20

ああ、なるほどなぁと色々得心しました

確かに最後まで「国民が耳を貸さなくなった」っていう泥を被らない言葉を選んでました
人によってずるさにも、無責任にも聞こえる発言だったとおもいますが、本質はそういうことだったのかも知れないですね

投稿: sasa | 2010年6月 4日 22:46

sasa さん:

>確かに最後まで「国民が耳を貸さなくなった」っていう泥を被らない言葉を選んでました
>人によってずるさにも、無責任にも聞こえる発言だったとおもいますが、本質はそういうことだったのかも知れないですね

「国民に耳を貸してもらえなくなった」といえば、ますます率直な発言だったんですけどね。

そこまでは自分を追い込まない人なんですね。

投稿: tak | 2010年6月 6日 16:55

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