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2010年5月 8日

カタカナ言葉のフィーリング

商品紹介パンフレットとか写真入りメニューなどで 「(※ 写真はイメージです)」 という但し書きをみることがよくある (なぜか「コメジルシ」付きの場合が多い)。しかし、そもそもの話をさせてもらえば、言うまでもなくすべての写真はイメージなのである。つまり、イメージでない写真なんてこの世にありえない。

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この言い方を初めて見た時は、目が点になった。「サンプル写真は実物とは少し違う場合がある」という意味で言ってるんだろうと見当はつけたものの、やっぱり「なんじゃそりゃ? 感」は否めない。というようなことを tweet したら、すぐに 3つも RT がついた。

まず、hempvermilion さん。「違和感ありまくりです。以前チラシを証拠資料として英訳した時この文面に出会って非常に困りました」とおっしゃる(参照)。確かにこれ、英訳しようがない。"Image" という単語には元々 「画像、映像」 という意味がある。そのまま訳したら、「写真は画像です」 というような意味のナンセンスな文になってしまう。

ちゃんとした意味を伝えようとしたら、前述のように「サンプル写真は実物とは少し違う場合がある」と、ずいぶん親切な意訳をしなければならない。

さらに、yukiokb さん。「日本語の『イメージ』と英語の image の違いですね。日本語にはバーチャルというニュアンスが含まれているように思います」と、クールな指摘(参照)。まさにその通りである。だからといって、「写真はイメージです」というのは無茶苦茶な言い方に違いないとは思うが。

おもしろいのは brandinglab さん。「この場合『写真は本質を意図したものです』この本質とはコンセプトのこと」とおっしゃる。なるほど、モノそのものではなくて、「こんなような感じ」ということを表現したので、「実物とは違っていることがあっても当たり前」と言いたいというわけだ。

つまりこの場合、「イメージ = 本質 = コンセプト」ということになり、「イメージ」という単語を 「かなりいい加減だけど、言いたいことわかるね! わかるよね!」といった感じで使っていることになる。まあ、ずいぶん乱暴なことではある。

この「写真はイメージです」という言い方でわかるのは、日本人はカタカナ言葉を、かなり乱暴というか、恣意的というか、はたまたテキトーというか、まさに「イメージだよ、イメージ!」という感じで使う場合が多いということだ。

一昔前に流行った言い方をすると、「フィーリングだよ、フィーリング!」ってな感じになる。このあたりが、「カナカナ言葉の濫用」を批判される所以なのだろうね。

実は私自身もカタカナ言葉は結構よく使う方で、「どこがいけないっていうんだ」と開き直ってもいる。というのは私としては、論理的思考の道具として、敢えてカタカナ言葉を使うことが多いのだ。物事を論理的に考えようと思ったら、英語由来のカタカナ言葉が便利なのである。

ところが、この「写真はイメージです」とか、何だか知らないが 「ハイパーメディアクリエーター」とかいう言い方をみると、なるほど、カタカナを毛嫌いする人の気持ちも少しはわかるような気がするのである。

「イメージだよ、イメージ!」 と言ってしまうと、論理もへったくれもなくなってしまうのだよね。

 

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コメント

私も、その表記を見るたびに「なんのこっちゃ」と思います。
書いている側の関係者も大半が気付いているのに、波風立てて面倒を起こしたくないからそのまま放置されているのではないか、という気がしてなりません。

投稿: HIRO | 2010年5月 8日 13:22

HIRO さん:

>書いている側の関係者も大半が気付いているのに、波風立てて面倒を起こしたくないからそのまま放置されているのではないか、という気がしてなりません。

曖昧性の強さですね (^o^)

投稿: tak | 2010年5月 8日 20:12

私も最初はなんだこれって思っていました。
出てくる料理や商品を見て、納得したことを覚えています。

加えると、米印がついているので、世の中、文句言う人がそんなに多いのだろうか。と思っていました。

投稿: 山姥 | 2010年5月 9日 15:58

似たような例で、レシートでなく領収書ださいなんて会話がよくありますね。
領収書というと宛名と金額を手書きするもの、レシートは機械でプリントしたものという解釈がなりたってるようですね。

投稿: ハマッコー | 2010年5月 9日 17:20

山姥 さん:

>出てくる料理や商品を見て、納得したことを覚えています。

わはは (^o^)

>加えると、米印がついているので、世の中、文句言う人がそんなに多いのだろうか。と思っていました。

すっごいよく見比べて、クレーム付けるんでしょうね。(^o^)

投稿: tak | 2010年5月 9日 19:03

ハマッコー さん:

>似たような例で、レシートでなく領収書ださいなんて会話がよくありますね。

"The receipt of our shop can be used as a receipt."

というのがあります。
(当店のレシートはレシートとして使用可能です?)

https://tak-shonai.cocolog-nifty.com/crack/2005/03/__3.html

投稿: tak | 2010年5月 9日 19:07

takさま

>以前チラシを証拠資料として英訳した時この文面に出会って非常に困りました

外国の裁判(か審判)に使うので、可能な限り意訳はしてくれるな、という依頼者からの要求もあったので苦労したんです。

そのチラシはカメラ機能付き携帯電話に関するものだったのですが、他にも「ツーショット」とか英訳しにくかったなぁと思い出しました。「最新モデルでオシャレに!」のような文面とか…

投稿: hemp | 2010年5月10日 16:49

hemp さん:

>外国の裁判(か審判)に使うので、可能な限り意訳はしてくれるな、という依頼者からの要求もあったので苦労したんです。

因果なことに、カタカナ言葉ほど、意訳しないと英語にはならないですね。

「ツーショット」は、もうどうしようもないですね。日本語ですから (^o^)

投稿: tak | 2010年5月10日 20:24

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