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2010年5月11日

「勝間和代 VS ひろゆき」を、「読んだ」

ネット上で「勝間和代 VS ひろゆき」の対談がずいぶん話題になっている。それは YouTube にも載っけられて、誰でも見ることができたようだが、さっき確認したら TV Tokyo からの要請で削除されてしまっていた。

まあ、リアルタイムあるいは YouTube で見た人の多くは「勝間惨敗」という印象を抱いたようなんだけど、私としてはご両人ともとりたてて好みのタイプってわけじゃないので、「見なくていいや、そんなもん」と思っていた。

ところが、当ブログのコメント欄でもお馴染みの kinnme さんが、この対談をテキストに起こしてくれた人のサイト(参照)を見つけて、Twitter で知らせてくれた(参照)ので、「だったら、サクサク読んじゃえば時間もかからないし」と思い、読んでみた。

kinnme さんもやっぱり、動画の方は「面倒で見る気力がなかった」が、テキストならばと読んでみたようなのだ。で、私も読んでみての第一印象だが、「ふ~~~ん」というだけである。

知らなかったんだけど、この対談は BS Japan の「デキビジ」という番組企画の一環で行われたもので、勝間さんはこの対談のホステス役、ひろゆき氏はゲストとして登場したもののようだ。ふ~ん、だとしたら、ゲストの選定段階でのミステイクである。

元々は「インターネットにおける匿名性なんちゃら」というあたりがテーマだったらしいのだが、話はどんどんずれて行って、というか、空回りして、なんだかわけがわからないうちに、勝間さんが匙を投げてしまったような観があるということのようなのだ。

勝間さんとしては、規制でがんじがらめの日本社会批判を展開して、ひろゆき氏に「それは確かに、そうですよね」ぐらいは言わせてみたかったというような意図がちらちら窺えるのだが、あいにくなことに実際の展開はそうはならず、なんだか最後までかみ合った話にできないまま、最後はちょっとぶち切れ気味になったんじゃないかという印象である。

この際だから言わせてもらうけど、勝間さんの論調は、実はもう古いのだ。アウト・オブ・トレンドなのである。トレンドというのはコワイもので、リアルタイムの潮流から圧倒的に外れまくってしまうと、それはそれなりに新鮮に見えてしまうが、「最近外れかけている」というものほど、陳腐に見えてしまうのである。

勝間さんの論調は、まさにそれなんだよね。歴史はちょっと別の方向に舵を切りかけていることに、気付かなければならない。気付いた上で、これからもずっと「アントレプレナーおばさん」として生きていくつもりなら、それはそれで構わないけど。

 

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世間話」カテゴリの記事

コメント

>勝間さんの論調は、実はもう古いのだ

私、ここのところがよくわからないので,解説おねがいします
と聞く私も古いのか?(笑)

投稿: alex99 | 2010年5月11日 18:34

古いというか、何度もコピーを繰り返してぼやけた文書みたいな感じでしょうか?

勝間氏的なものや、2ちゃん的なものに感じていた違和感が、少し自分なりに表現可能な感じがしてきました。

おもしろかったです。

投稿: きっしー | 2010年5月11日 21:41

勝間さんの論調は古いって言うか
もう古典といってもいいくらいだよ

願いはかなうみたいな
引き寄せの法則とか
デール・カーネギーしかり

ではなぜ勝間氏が現実と剥離した理想主義に固執するのか
それはその内容で本を多数執筆してるから
本人いわく「本を書く5倍の労力を本を売ることに費やす」
らしいので
自著の内容と矛盾する主張だけは避けなければいけないんでしょうな

とはいえ、個人的には勝間氏には今回の事件を
バネにして這い上がって欲しいと思いますな
もうとっくの昔にサイは投げられてますから
彼女は後戻りできない
勝間氏の頑張りを励みにしている女性の為にも
彼女はもがき苦しみ続けるしかないのです

とにかくこれからも彼女の言動から目が離せません

投稿: おりちゃん | 2010年5月11日 22:28

勝間さんは成功するために色々模索していて、それに対してひろゆき氏は別にしなくてもいいんじゃない?と言ったあたりが二人の食い違いをよく表していたと聞いています。
確かに成功を追い求める姿勢はトレンドの本流ではなくなりつつあるように思います。
堅実や質素、とまでは言いませんが安定志向ですね。

余談ですが、文章だと本当にさっくり読めますね。まとめてくれた人に感謝です。

投稿: 夜の指揮者 | 2010年5月12日 01:16

再度のコメントですが

私は,自分のブログなどでは,勝間さんを「いやな女だ」というような論調で切っています
それは、彼女があまりにも目的的で,ムダを排除したプラグマティックな生き方をしている,また、そ~ゆ~自分に自信満々で,人間的な弱さや迷いというものが無い無味乾燥なところが、私には生理的にいやなのです
例えば、彼女は趣味の自転車に乗っている時も,ウォークマン的なもので、金融関係の講演などの有用なオーディオ・ブックを聴いているという
私も自転車は昔から好きですが,のんびり風景を愛でて走りたい
だからと言うわけではないが、こういう人は,とても好きになれませんね(笑)
ただ、彼女の金融・経済評論家としての力量は別問題

まあ、論争に於いて、ディベイト能力に欠けていて、相手を追い詰めることが出来ていないとは思いますが、だからといって、論法も含めて、こ~ゆ~生き方が古いとか,無責任系、脱力系の生き方の方がいいとか、トレンドで判断するのは、どうでしょう?
程度問題はありますが,私にとっては、やはり基本的には,一生懸命な,真摯な生き方が好もしいし、やたらに反体制ならいいというものでもない
そもそも、生き方や人生観は、TRENDで変えるようなものでは無いと,私は思うのですが

投稿: alex99 | 2010年5月12日 05:15

alex さん:

取り敢えず、勝間嫌いは共通の要素のようですね ^^;)

私が彼女の論調を 「アウト・オブ・トレンド」 と言ったのは、単に世の中の短期的な風潮の流行り廃り的な意味ではありません。

かなり大げさに言えば、一世を風靡したサルトルの実存主義が、構造主義の台頭で一挙に色あせてしまったような、そんなような構図と似てると思います。

経済視点での上昇志向と人間の幸福追求が重なり合うと単純に信じている姿は、既にかなり陳腐になっています。

(これは、全然重なり合わないと言っているわけではありません。念のため)

投稿: tak | 2010年5月12日 10:20

きっしー さん:

>古いというか、何度もコピーを繰り返してぼやけた文書みたいな感じでしょうか?

その通りですが、まあ、そのプロセスで、確実に 「古い」 ものになってしまいます。よっぽどの 「クラシック」 としての価値でもなければ。

>勝間氏的なものや、2ちゃん的なものに感じていた違和感が、少し自分なりに表現可能な感じがしてきました。

それは多くの人が感じているでしょうね。
それぞれの感じ方でではありますが。

まあ、今回の私の記事は、集中的に勝間批判になってしまいましたけど。

ひろゆきさん、ボケつつ突っ込むという高等技術を身に付けているので、絶対に負けなかった。

彼にとっては、勝つ必要がまったくないんです。負けさえしなければね。

勝間さんはソロは得意だけど、異質なモノを相手にすると、ダメみたいですね。日本人には珍しく、物事を二元論で割り切らないと思考が先に進まない (負けないためには勝つしかないとか)タイプみたいで。

投稿: tak | 2010年5月12日 10:34

おりちゃん さん:

>勝間さんの論調は古いって言うか
>もう古典といってもいいくらいだよ

>願いはかなうみたいな
>引き寄せの法則とか
>デール・カーネギーしかり

まあ、その辺りはたしかに古典なんでしょうね。彼女の本を読んだことないので、詳しくは知りませんが、その古典の都合のいい部分だけ引っ張り出して、効率主義をまぶしただけみたいな印象です。

そのアレンジのおかげで、一時的に社会的な最適化を実現できたようですが、一時的な最適化を達成しすぎると、後が大変というのは、世の習いです。

だから、フツーの人は無意識的にしろ、あまりテンポラリーな状況に最適化しすぎないように、テキトーにさぼっているのです。

ひろゆき氏は案外高次元でそれをしているのかもしれません。

>勝間氏の頑張りを励みにしている女性の為にも
>彼女はもがき苦しみ続けるしかないのです

彼女はそんな風には思ってないでしょうけどね ^^;)

投稿: tak | 2010年5月12日 10:54

夜の指揮者 さん:

>勝間さんは成功するために色々模索していて、それに対してひろゆき氏は別にしなくてもいいんじゃない?と言ったあたりが二人の食い違いをよく表していたと聞いています。

まさにその通りで、「成功したい人はそれを追い求めればいいし、しなくてもいいという人は、別の生き方でもいいんじゃない?」 というひろゆき氏に対して、「みんな成功したいはずなのに、その機会を最大限にしてくれない社会がいけないのよ」 という論調で斬りかかっても、まともな議論になるはずがありません。

まあ、そこには、「失敗したくなければ、成功するしかないじゃない」というアングロサクソン的二元論思考があると思いますが。

>堅実や質素、とまでは言いませんが安定志向ですね。

私は、「脱競争社会」と見ています。
まあ、ある程度の競争が必要であることは当然ですが、行きすぎた振り子は逆に戻ります。

先日書いた "empathy" ともつながりそうです。

投稿: tak | 2010年5月12日 11:02


 私は、やっぱり勝間さんは苦手です。苦手っていうか好きじゃないって感じですかね。じゃひろゆきさんが好きかって言われるとそれもないんですが(笑)

 さくっと読んだ感想で言えば、勝間さんは融通が効かない結構意固地なタイプなんだなぁって事と、ひろゆきさんは相手の要求は分かっていて知らん顔しちゃう結構いじわるな人なんだなぁって事でした(笑)

 で、どっちも自分のスタイルは変える気がない(笑)
 議論する(相手の価値観と自分の価値観をすりあわせて落とし所を探る)つもりがお互いにさらさらないんだから仕方ないかなぁと。
 そういう意味で、”ふ~ん”という感じでした。

 ただ、全体的に見れば
「みんな幸せになりたいハズよ。そのためにはお金持ちになって成功しなくちゃならないわ!」
っていう幸福実現の要素が経済的成功を中心にしか語られない勝間さんの話を聞いているとちょっぴりげんなりしちゃうんですけどね。

投稿: きんめ | 2010年5月12日 12:43

勝間さんの

幸せとはこれだ!
だからあなたもこうしなさい!
っていう自分の価値観の押し付けは
確かに不快感も覚えますね

よくいる口だけ出す無責任な
おせっかいおばちゃんみたいな

その点、ひろゆき氏の
企業にしろ結婚にしろ
したい人はすればいいそれは選択の自由だから

ってのは一見冷たいように聞こえるけど
実際その中そうだろうなみたいな

投稿: おりちゃん | 2010年5月12日 15:53

きんめ さん:

まずは、テキストにされたページのご紹介、ありがとうございました。

>さくっと読んだ感想で言えば、勝間さんは融通が効かない結構意固地なタイプなんだなぁって事と、ひろゆきさんは相手の要求は分かっていて知らん顔しちゃう結構いじわるな人なんだなぁって事でした(笑)

ひろゆきさん、妙にさりげなく喧嘩慣れしてますね。
一時いろいろ叩かれて、強くなっちゃったんでしょうか。

まあ、げんなり感は、私も同様です ^^;)

投稿: tak | 2010年5月12日 23:22

おりちゃん さん:

>幸せとはこれだ!
>だからあなたもこうしなさい!
>っていう自分の価値観の押し付けは
>確かに不快感も覚えますね

勝間さん、決して「押しつけ」 はしていないと思うんですよ。
だから、私も「しらんもんね」 という態度でいられます。

ただ、押しつけないまでも、賛同してもらわないと不愉快さを覚えるタイプではあるみたいですね。
「なんで、こんなことがわからないのよ!」みたいな感じで。

「わからんわけじゃないんだけど、そんなのつまらんと思ってるだけ」という率直な態度を示すと、「上から見られた」と思っちゃうみたいな辺りが、彼女の限界なのかなと。

投稿: tak | 2010年5月12日 23:28

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