格差社会における 「死亡率」 というもの
ちょっと古いネタで恐縮だが、Twitter で @foloinfo さんの tweet から辿って、「格差社会 高まるストレス 高所得者も死亡率増加」 (2009年 11月 24日 読売新聞) という記事を知った。山梨大の近藤尚己助教らによるデータ分析で明らかになったことという。
初めは 「高所得者の死亡率増加」と読み違えてしまって、「あくせく金儲けする方が、ストレスが増大して短命になるんだろうか?」なんて思ったが、よく読むと「格差社会では所得に関係なく死亡する危険性が高まる」という研究レポートを紹介する記事なのだった。問題は「所得の多い少ない」ではなく「格差社会そのもの」だというのである。
記事の内容をここで詳しく紹介するのもうっとうしいので、興味のある方は上記のリンクを辿っていただきたい。もしかして元記事が削除されてしまっても、魚拓を取っておいたので、こちら で見ることができる。
細かい話はおいといて、近藤尚己助教らが明らかにしたかったことは、煎じ詰めれば、「格差社会においては、ストレス増大によって、所得に関係なく死亡する危険性が高まる」ということのようなのだ。
もっと親切にいうと、「少しでも健康にいいといわれるライフスタイルを実現し、病気になっても高額医療費を支払って寿命を延ばすためには、金持ちになる方がいいと思われがちだが、実際は格差社会においては、金持ちだろうが貧乏だろうが、等しく短命になってしまうみたいだよ」ということのようなのである。
これをもっと推し進めて言えば、「長生きするために金持ちになりたい」というモチベーションはあっさりと否定されたことになり、「長生きしたかったら、格差社会のストレスからフリーにおなりなさい」ということになる。そんなことを言われても「はい、そうしましょう」というほど簡単なことではないが。
とはいえ、人間の「死亡率」というのは、長い目で見れば等しく 100%で、遅かれ早かれ誰でも必ず死ぬのだから、「それがどうした?」と言われれば、「べ、別に……」 と答えるしかないような気もする。
それをふまえた上で、人間の価値観というのは「どうせ死ぬんだから、どんどん儲けて太く短く生きてやる系」と、「同じ死ぬなら、あまりあくせくせずにのんびり生きたい系」の 2系統に大別されてしまうのだろう。
ストレスが短命の原因という論理に沿えば、のんびり派の方が確実に長生きできるんだろうが、あまりのんびりしすぎると格差社会においては底辺に沈んでしまい、まともなものも食えなくなるから、やっぱり長生きできないということになるんだろう。
精神的にストレスフリーになると、この娑婆においては肉体的なストレスが増大しがちになる。あちら立てればこちらが立たずである。
というわけで、確実に一番長生きできそうなのは、金儲けの上手な亭主をもった女性ということになりそうだ。これなら大したストレスもなく、いいものを食ってスポーツジムに通い、病気になってもいい医者にかかれる。
で、私の考えを述べる段になったのだが、私としては「別に長生きなんかしなくてもいいもんね」と思っている。生かされている間はしっかり生きて、お迎えが来たら、じたばたせずに死ぬだけだ。ただ、こういう考えだとストレスがないので、ひょっとしたら長生きしてしまうんじゃないかという気もする。
【追記】
人口学でいう 「死亡率」とは、日本では 1年間に人口 10万人あたり何人死んだかで出す数字のようだ。このデータ分析では、膨大な計算をしたのだろうと思われる。
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コメント
私、商社に勤めていましたが、組合の人間が「我が社のOBの平均寿命は、わずか60歳と少しです」と言ってました
だらだら働いているようでも(笑)商社の人間は、異国で異国人と異国語で交渉しなければいけないうえに、工員さんの多いメーカーと違ってみんな大卒で全員平等に限られた管理職を目指す出世競争も厳しく、それがストレスになって寿命も短いのだろうと思います
そうだとすれば、私は、すでに逝かなければいけない年令になっています
そろそろお迎えが来るかも知れません(笑)
投稿: alex99 | 2010年7月20日 20:49
alex99さん
お大事に!
そういえば私も異国で異国人と異国語で仕事してました。
が、なぜか一番ストレスが大きいのは日本で日本人相手に日本語で仕事している時なんです。わはは。
き
投稿: きっしー | 2010年7月20日 22:00
alex さん:
お帰りなさりませ。
確かに、商社の人って長生きが少ないですね。
定年で辞めるとすぐに訃報ですもんね。
出世競争が厳しいのかなあ。
こういうと差し障りがあるかも知れませんが、私、商社マンと百貨店の社員は、仕事そのものより出世が好きな種族という偏見を持っています。
alex さんは商社マンだったのに、あまり商社マンの匂いがしないのは、出世より仕事が好きな、珍しい商社マンだったのかなと、勝手に思っています。
長生きできそうですね。
投稿: tak | 2010年7月20日 22:02
きっしー さん:
>そういえば私も異国で異国人と異国語で仕事してました。
>が、なぜか一番ストレスが大きいのは日本で日本人相手に日本語で仕事している時なんです。わはは。
わかる (^o^)
私は海外駐在の経験はありませんが、海外出張で一日英語をしゃべって夜になると、神経的には疲れますが、精神的ストレスはなかったように思います。
(「神経的」と「精神的」の使い分けが、我ながらしっくりきます)
確かに日本人のおっさんやおばさんを相手にしている方が、ずっと疲れるかも。
投稿: tak | 2010年7月20日 22:09
きっしーさん
どうも、ありがとうございます
きっしーさんに、そう言われて、なるほどと思いました
私も本当は、日本で日本人相手、とくに気に入らない上役(笑)相手に一番ストレスを感じていたのでした
異国で、異国語で、異国人とつきあっていた方が、じつはある意味、ストレスが少なかったのでした(笑)
だから出世しませんでした(笑)
投稿: alex99 | 2010年7月20日 22:13
alex さん:
>私も本当は、日本で日本人相手、とくに気に入らない上役(笑)相手に一番ストレスを感じていたのでした
やっぱり (^o^)
日本のビジネスの非効率は、このあたりの面倒くささにあるのかもしれませんね。
投稿: tak | 2010年7月21日 21:39