借りぐらし古典派
『借りぐらしのアリエッティ』が大ヒットしているらしいが、私の妻は 「絶対に見ない」 と言っている。妻はこのアニメの原作となっている 『床下の小人たち』(原題: The Borrowers)を初めとする小人の冒険シリーズの愛読者である。子供の頃から岩波少年文庫で親しんできたという。
「あの挿し絵が自分の中に刷り込まれてるから、いくら宮崎アニメでも、がっかりするに決まってる。だから絶対に見ないの」と言うのである。前にディズニーの『くまのプーさん』を見て、やっぱりがっかりしたので、同じ愚は繰り返さないという。ディズニーでがっかりしたのだから、宮崎アニメでも多分そうなるのだろう。
妻は、一緒に暮らし始めた頃から時々宇宙人だった。何かモノがなくなると、「借りぐらしの小人が持ってっちゃったのね」と、ごく当たり前に言う。
「はぁ?」
「小人がいるのよ。見えないけど、床下とか、その辺にいるの」
そして、なくしたモノがふと見つかると、「借りぐらしの小人が返してくれたのね」なんて、これまたフツーに言うのである。
そんなような人だから、自分の中に確実に存在する小人たちのイメージがおかしくなっちゃうのが、耐えきれないらしいのだ。というわけで、妻は借りぐらし古典派に位置づけられることになると思う。
そして私も多分、『借りぐらしのアリエッティ』 は見ないだろうと思う。私は個人的には、ジブリ作品は 『風の谷のナウシカ』 『となりのトトロ』 の 2本で十分だと思っている。他の作品でみたのは、『天空の城ラピュタ』 と 『紅の豚』 だけだ。その代わり『ナウシカ』 と 『トトロ』 は何度見たかわからないくらい見た。
恐縮だが、宮崎アニメはとくにメッセージが強烈とか、思想的にすごいとかいうものではない。だったら『ナウシカ』と『トトロ』でいい気持ちになるだけで十分なのである。この 2つは、掛け値なしにいい気持ちにさせてくれるのだから。
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コメント
takさん、とても素晴らしい奥さまですね。
うらやましいと申しますか…、というよりなんて素敵なんだろうと思います。
どこかの奥様は、「ない?そんなもん自分の管理が悪からでしょう!(←ここ名古屋アクセント)知らんて。」とばっさり切り捨ててくれるそうです。
どこの奥様かは、基本的に内緒です。
投稿: 乙痴庵 | 2010年7月26日 18:18
乙痴庵 さん:
私は「宇宙人と暮らしてるみたい」と時々言いますが、向こうは向こうで、「大昔の人と暮らしてるみたい」と言うのです。
投稿: tak | 2010年7月26日 20:41
僕も「ラピュタ」「トトロ」「ナウシカ」でよかんべ、と思っているクチです。
宮崎氏については「そんなに持ち上げてやるなよ」と思わずにはいられなかったり。
ともあれ、世の中、「最高傑作」より「最新作」をありがたがる傾向があるように感じますね。
投稿: キセ | 2010年7月27日 08:27
私は、飛行機ものが好きなのですが、魅力的だが、とても飛ばないような不細工な、航空力学無視の飛行機が飛ぶのが不思議です(笑)
投稿: alex99 | 2010年7月27日 18:14
キセ さん:
>宮崎氏については「そんなに持ち上げてやるなよ」と思わずにはいられなかったり。
それ、確かにありますね。
あの人、アルチザンではあっても、アーティストではないと思います。
>ともあれ、世の中、「最高傑作」より「最新作」をありがたがる傾向があるように感じますね。
実際は、生涯の平均点を落とし続けるプロセスであったりしてると思うのですが ^^;)
投稿: tak | 2010年7月27日 22:02
alex さん:
とくに 『ナウシカ』 では、「あれ、なんで飛べちゃうの?」 という質問は、タブーです ^^;)
投稿: tak | 2010年7月27日 22:04