「軽症」 ということのリスク
北海道で救急医をしておられる @chirin2 さんが Twitter 上で 「軽症って言葉は、結構人を傷つける」と tweet しておられる。お医者さんが自らおっしゃるだけに、なかなか含蓄のある言葉である。
それについ脊髄反射してしまって、「重症の人は同情されるし、それが治ったりしたら、一生自慢できる。軽症だと同情されないし、治っても当たり前でしかない。そのせいですかね」と RT してみた。
ところがそれは考えすぎのようで、@chirin2 さんのお答えは簡単明瞭。「こんなにつらいのに軽症って何だ、って」 ということだった。なるほど。
お医者さんにかかるのが好きな人はそんなに多くないから、実際に病院にかかるのは相当につらいからである。しかも @chorin2 さんは救急医ということだから、我慢できなくて運び込まれたという患者さんも少なくないのだろう。そういう患者さんに向かって「軽症です」と、ありのままを言うのは、確かにちょっとむずかしいことなんだろうと思う。
患者さんとしては、つらくてつらくてたまらないのだから、せいぜい「これはちょっと、エライことですね」ぐらい言ってもらいたいところなんだろう。そんなところにもってきて、あっさりと「軽症です」なんて言われたら、「俺もずいぶん軽く見られたもんだ」ぐらいの失望感を味わってしまうのかもしれない。
実際のところ、私がもし患者だったら、結構つらくても「重症」なんて言われるよりも「軽症」と言ってもらう方がずっと安心すると思う。脂汗を流しながらでも、ほっとすると思う。
しかし、そうでない人もいるようなのだ。こんなに苦しんでるんだから、お愛想でもいいから「これはちょっとやっかいですね」ぐらいは言ってもらいたいという人もいるみたいなのである。「かなりやっかいだけど、大丈夫、すぐに治りますよ」というのが、一番のリップサービスなのかもしれない。
お医者さんとしては、そんな矛盾したことは言えないだろうが、患者としては一番喜びそうな発言である。自分の苦しみを最大限認めてくれて、その上で、すぐに治してもらえそうというのだから、最高だ。
いずれにしても、人間は「病気自慢」ということをする種族だから、自分の病気が軽くみられるのは、自分自身が軽く見られたような気がしてしまうのかもしれない。さらに、自分がは重病でないと気が済まないという人もいる。私の祖母のように (参照)。
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