貴重な虚弱児経験
唐突だが、子供には次の 3タイプがある。
- 遠足の前日も運動会の前日も、てるてる坊主をぶら下げるようなタイプ
- 遠足の日は晴れて欲しいが、運動会の前日には雨乞いするようなタイプ
- どっちも雨が降って欲しいなあと、密かに思うタイプ
どういうわけか、遠足は降って運動会は晴れて欲しいと願うタイプの子には、未だに会ったことがない。
実は私は小学生の頃は虚弱タイプで、すぐにおなかを壊して寝込んでしまうような子だった。だから、遠足には辛うじて行きたかったが、運動会は雨で中止になってもらいたかった。上記の 2番目のタイプである。ところが私は昔から晴れ男なので、遠足も運動会も中止になったことがない。
そうこうしているうちに、中学校に入ったとたんに急に丈夫になり、運動会を楽しみにするタイプに急変してしまった。200メートル走でゴールのテープを切るときに女の子たちに一番アピールする姿勢を練習するような、アホな子になってしまったのである。
クラス対抗リレーでは、4~5番手でやってくる第一走者からバトンを受け取るやいなや、見事にごぼう抜きして、トップで第三走者にバトンを渡す第二走者というポジションにこだわった。ほかのクラスは第二走者にあまり速いやつを持ってこないので、カーブで次々に抜いていくのは、なかなかかっこよく目立つのである。
成人してからも、シコシコ音楽とか芝居とかやる一方で、合気道の道場に通ってガンガンに武道の人をやっていた。あの頃は喧嘩をしてもあまり負ける気がしなかったから、米国が一番ヤバイ時代だった 1980年代にも、出張先のニューヨークで平気でどこでも一人ででかけていた。
というわけで私は、運動嫌いの子の気持ちも、体育会系の気持ちも、どちらもよくわかる。そして、どちらもわかってありがたいと思う。もし自分が昔から体が丈夫だったら、運動会の前日に密かに雨乞いをするような子供の気持ちなど、思いやることができなかっただろう。
今の自分があるのは、学校を休んで頭痛と吐き気にぼうっとしながら、NHK ラジオの 「昼の憩い」 を聞くともなしに聞くというような経験を何度もしたればこそである。どんな哀しいことでも、無駄な経験というのはないのだと思う。
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コメント
>200メートル走でゴールのテープを切るときに女の子たちに一番アピールする姿勢を練習するような、アホな子になってしまったのである。
いやー、文面から想像するtak様のイメージとは違いすぎて、驚きですね。
ちなみに、私は運動会には雨を望みました。月曜日に代休となると、平常通りの塾で休みが切れ切れになってしまうのがいやでした。
投稿: fn.line | 2010年7月 7日 23:29
「昼の憩い」というところが、実に美しい。
アタクシは、再放送の「世界の料理ショー」でした。
投稿: 乙痴庵 | 2010年7月 8日 07:40
fn.line さん:
>いやー、文面から想像するtak様のイメージとは違いすぎて、驚きですね。
わはは (^o^)
それなりにアホなんです。すみません。
>ちなみに、私は運動会には雨を望みました。月曜日に代休となると、平常通りの塾で休みが切れ切れになってしまうのがいやでした。
ウチの子どもたちの運動会が、何度か雨で流れましたが、それならそれで、その日は休みにして、月曜日からフツーの授業にすればいいのにと思いました。
あれって、要するに学校側の手続き上の都合なんでしょうね。
投稿: tak | 2010年7月 8日 11:53
乙痴庵 さん:
>「昼の憩い」というところが、実に美しい。
私はずっとラジオ少年だったもので (^o^)
「世界の料理ショー」というのは知りませんでしたが、YouTube で検索してみました。
よき時代のテレビショーですね。
投稿: tak | 2010年7月 8日 12:01