今野雄二さんの自殺
昨日の記事で 「やれやれ感の大きな夏」 と書いたが、今野雄二さんの自殺のニュースを聞いて、私の中の「やれやれ感」がますます大きくなってしまった。もう、大きなため息しかつけない。
決して今野雄二さんのファンだったわけじゃない。私の守備範囲からはちょっとはずれている。彼の映画や音楽の評論は、ちょっとお洒落だけど、かといって、「やられたなあ!」と思うほどの何物かを突きつけられたというような思いは、一度も抱かなかった。
この感覚は何かに似ているなあと思ったら、昨年秋にやはり首を吊って死んだ加藤和彦の時とそっくりだと気付いた。この二人、「お洒落な団塊の世代」の代表選手だったんじゃあるまいか。自らの魂の叫びは決して表に出さず、いつも海の向こうから時代の半歩先を行く素材を探して持ってきて、上手にこなして見せる。
こうしたスタイルのアーティストや評論家にとって、今の状況というのはとてもやりにくいんだろうと思う。加藤和彦の死について慧眼的な論評をされたまこりんさん(参照)の言い方を借りれば、「時代の気配をいち早く察知して形にするのに長ける」タイプの人間には、つらい時期なのだ。きっと。
「お洒落な団塊の世代的サブカル」派の多くは、「もう、俺たちの時代じゃなくなったのかな」と思っておとなしくしていればいいのだろうが、そうした存在の中のトップランナーだった二人にとっては、自分の存在を扱いかねてしまったんだろうという気がする。
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