酒田の「非実在老人密度」 がやたらに高い
昨夜の我が家は、久しぶりに酒田の話題で盛り上がった。天保 8 (1837) 年生まれの人の戸籍が残っていたというのである(参照)。天保 8年といえば、大塩平八郎の乱が起きた年で、坂本龍馬より 2歳年下。生きていれば 173歳になる。我が故郷も、ついに全国的トレンドに乗り遅れずに済んだようだ。
昨夜の Twitter では、@tkuy さんが「俺の故郷の馬鹿!」と悲痛な叫びを上げ、それに反応して「おぼげだ (驚いた)」「やちゃくちゃね(だらしない)」「しょす(恥ずかしい)」など、見る間に庄内弁の嘆きの渦が広まったのであった。
さらに話は広がる。記事によると酒田市には「所在不明の 120歳以上の戸籍が、この人を含めて 349人分あった」というのである。これはなかなかすごい数字ではないか。なにしろ、酒田市の人口は 12万人にも達していない。仮に 12万人で計算しても、非実在老人率 0.3%。ほぼ 333人に 1人 (町内に 1人ぐらいか?) ということになる。
阪神大震災でゴチャゴチャになった、人口 150万人(酒田の 12.5倍)の神戸市でさえ、100歳以上の生存不明者が 127人だった (あるいは、調べればもっといるのかもしれないが)。それを思えば、酒田市の非実在老人率は驚異のハイレベルと言っていい。酒田でも「100歳以上」ということに枠を広げたら、さらにすごい数字になるだろう。
これだけ非実在老人が見つかったということは、ある意味、酒田が結構な歴史を持つ街だということを示す。戦後に急に人が集まってきてできあがったような郊外のベッドタウンなんかでは、どう頑張ってもここまでの数字は上げられないだろう。さすがに東北の小京都である(と、無理矢理に開き直る)。
そして、私なんかもそうなのだが、酒田の街から出て所帯を構えても、本籍だけは酒田に置きっぱなしという人がかなり多い。便利さだけを考えれば、自分の住んでいる市町村に本籍を移して戸籍もそこに置けばいいのだが、酒田ラブの私としては、どうも酒田から戸籍を持ち出す気になれないのだ。
それだけに、わけのわからない人が戸籍に残ってしまうということもありがちなのだろう。これはもう、酒田が愛される街であることの証明である(と、さらに無理矢理度を増した開き直りをする)。
さらにますます際限なく開き直ってしまうが、酒田市民は 333人に 1人 という亡霊の如き存在を抱えながら、あっけらかんと平和に暮らしているのである。この抜群に高い「非実在老人密度」は、酒田が浄土の如き、桃源郷の如き地域であることを示している。
昨夜、この非実在老人の話題で田舎の親父に電話したら、「その人だば、日和山の神社の縁の下で暮らしった人でねがのう。このじよも、その辺でフラフラったどご見だぞ」と、必殺の大ボケをかまされた。
(親父のコメント・日本語訳)
「その人なら、日和山の神社の縁の下で暮らしてる人じゃないかなあ。先日も、その辺でフラフラしてるところを見かけたぞ」
酒田の懐は、なかなか奥が深い。
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コメント
おもしろ~~~~い!!!
酒田のおじいちゃん
ユカイユカイ
投稿: 朱鷺子 | 2010年8月27日 12:54
朱鷺子 さん:
80歳を過ぎて、ギャグばっかり考えてるので、ボケル暇がないみたいです (^o^)
投稿: tak | 2010年8月27日 13:19
昨日の夜、google検索→「知の関節技」→このブログ へと参りました♪
面白くて過去ログを追いかけ、寝不足になったのに
懲りずに今日も、さらに前の記事を読ませていただきに来ましたw
古い記事へのリンクは、貼っておられないのでしょうか
昨晩(というか、本日の早朝!)眠気に負ける寸前の(というか、打ち負かされた)私に
最後に読んだ記事をブックマークしておけなんて、酷です・・
ひとつずつ前の記事にさかのぼって読むつもりでおりますが
過去の記事を辿りやすかったら嬉しかったです!
投稿: mmoo | 2010年8月27日 22:06
mmoo さん:
ありがとうございます。
過去記事は、ブログの右のサイドバーにあるアーカイブで 「オフィシャル・バックナンバー」か 「ココログ・アーカイブ」の カテゴリーから辿っていただくのがいいと思います。
よろしくお願いいたします。
投稿: tak | 2010年8月28日 00:12
しかし、メディアの報道の仕方は語弊があって、戸籍法には生存を保障するといった機能も目的も書かれてないみたいですよね。
年金の不正な支給は問題だけど、戸籍自体は元々一定程度の生存不明者を前提とした仕組みな気がします。
投稿: clark | 2010年8月28日 00:52
おう、オレもさっき見かけたぜ。
親父さん最高!
投稿: 乙痴庵 | 2010年8月28日 02:15
clark さん:
まあ、戸籍と現実とのズレは、当然あるわけですね。
さっき永六輔さんの「土曜ワイド」を聞いていたら、松島トモコさんのレポートで、戦争でロシアに抑留されたまま、生死不明だった夫を、50年以上も戸籍を残して待っていた妻の話がありました。
夫の方は筆舌に尽くしがたいほどの辛酸を経てソ連に帰化し、現地で献身的に世話してくれた女性と結婚までしていたのですが、ソ連がロシアになって情報が自由化してから、ふとしたことから、日本の妻が生きて待っていることを知り、現地の妻も「他人の不幸の上に成り立つ幸せはない」と、夫に日本に帰ることを勧めたのでした。
そして帰国後も、ロシアの妻とは親戚づきあいをしているという、とても感動的なお話でありました。
もし、この日本の女性が夫と再会できず、そのまま死んでしまったら、夫の方はずっと「行方不明」 のままで戸籍に残ることになったんでしょうね。
こんなような場合、「あんたの夫はどうせ死んでるに決まってるんだから、戸籍から抹消しなさい」 なんて、言えませんよね。
ということは、ある程度のズレは織り込み済みということなんでしょうが、それにしても…… ^^;)
投稿: tak | 2010年8月28日 13:57
乙痴庵 さん:
>おう、オレもさっき見かけたぜ。
どんな様子でしたか?
仙人みたいになるのか、亡霊みたいになるのか、興味津々 (^o^)
投稿: tak | 2010年8月28日 14:01
上のコメントに「過去ログのリンクが見つからない!」と書いた者です。
ありがとうございます!><
「オフィシャルバックナンバー」使いやすいです!
しっかり探さずに、失礼いたしました
まだまだ読む分が残っているので
楽しませていただきます♪
投稿: mmoo | 2010年8月28日 16:26
mmoo さん:
ありがとうございます。お役に立てれば幸いです。
投稿: tak | 2010年8月29日 09:04