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2010年8月15日

「人魂」 に関する労作の紹介

「千日ブログ」 の管理人さんが「人魂」についてものすごい労作を書いてくださっているので、ご紹介したい。この労作は四部作になっていて、それぞれの記事がかなり長く、しかもそれがたった 1日でアップされている。これを労作と言わずになんと言おうかというほどのものだ。以下にそれぞれの記事のタイトルとリンクを記しておく。

「人魂の正体はリン」は嘘
人魂=骨のリンの可能性
人魂=リン説の経緯
人魂の種類

そもそも 「人魂」 とは、墓場なんかで見られるという、あの空中に浮かぶ火のようなものである。私は見たことがないが、怪談映画などではお馴染みだ。これに関して、「千日ブログ」 には次のように書かれている。

人魂 Wikipediaを見てみると、「正体」 というところに、「戦前の葬儀は土葬であったため、遺体から抜け出したリンが雨の日の夜に雨水と反応して光る現象は一般的であり、庶民に科学的知識が乏しかった事が人魂説を生み出したとする説もある」と書かれています。

 しかし、その後に 「が、人や動物の骨に含まれるリンは発光しないので該当しない」と続きます。

 昔の人は科学的知識に乏しかったからと言いつつ、非科学的な説を展開する……実は現代人だって大して科学的知識を持っていないのです。

 というか、私が一番だまされていました。

つまり、「人魂 = リン」 説は、嘘だというのである。で、中程はすっ飛ばさせていただいて、結論として次のように語られている。

 (前略) 紀元前の中国で 「人間や動物の血から燐や鬼火が出る」 と語られていたのが、そもそもの始まりのようです。

 そして、ここで言う「燐」というのは、元素の「リン」(P) を指すものではないそうです。ホタルの発光現象や、現在でいうところの摩擦電気も含むとありましたので、おそらく発光するもの全般を「燐」と呼んでいたのでしょう。

 ところが、日本で元素のリンに「燐」の字があてられたことで、混乱が起きてきます。

先程の「燐」が元素の「リン」と混同されるようになった他、リンが人体に含まれているとわかったため、このような誤解が生まれたのではと推測されています。

つまり、古代の中国で「人間や動物の血から燐や鬼火が出る」と語られていたのだが、日本で「リン」という元素に「燐」という漢字を当てたことで、「リンが燃えている」と誤解されてしまったというのである。

中学生の頃、理科の教師が「人の魂が抜け出して光っているのが人魂だなんていうのは迷信であって、あれは人間の骨から抜け出たリンが発光しているのである」と、エラソーにしたり顔で言っていたが、なんてことはない、そんなのは嘘八百だったわけだ。

じゃあ、人魂の本当の正体は何なんだということになるが、それは明らかにされていない。そもそも、人魂を科学的にきちんと語るためには、「分析可能な人魂のサンプル」を手に入れなければならないのだろうが、そんなサンプルを入手した科学者がいるとは聞いたことがないから、科学的には語りようがないのである。

つまり、人魂なんて本当にあるのかどうかもはなはだアヤシイものなのだ。ところがそれほどアヤシイものが、世の中ではいかにもあるもののように語り継がれている。どのくらい語り継がれているかというと、人魂を現わす言葉だけで、ものすごい種類があるというほどなのだ。

「千日ブログ」 には、そのおびただしい種類の人魂を現わす言葉がリスト化されている(参照)。 あまり多いので、「とりあえず、頑張ったので、見てください。(でも、ざっとスクロールする程度が良いと思います。馬鹿みたいな量あります)」との断り書きがあるぐらいだ。ちなみに私もざっとスクロールするだけにとどめておいた。

というわけで、最後に残されたのは、「で、結局のところ、人魂って何なの?」 という疑問だが、それについては、疑問のままでとどめておくのがいいのだろうと思う。何しろ前述のように、科学的には推定というレベル以上に語りようがないのだから。

まあ、かくまでにいろいろの言葉で語られるほどに、あちこちで目撃されている(というように語り継がれているだけなのかもしれないが)のだから、重要なのは、きっと本当にあるのだろう(と思われているだけなのかもしれないが)ということにしておけばいいのだ。

これが、科学的にはわけがわからないが、人文学的には意味のある態度というものである。

 

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コメント

成仏できない魂だとか、様々言われておりますが…。

 コンクリートとアスファルトの環境では、なかなかお出になれないんでしょうね。
 それもまた無念なりで、もっと人魂がいらっしゃるはずなんですが…。

投稿: 乙痴庵 | 2010年8月19日 12:23

乙痴庵 さん:

>成仏できない魂だとか、様々言われておりますが…。

私は一度も見たことがないんです。
どんなものなんでしょうかねぇ。

投稿: tak | 2010年8月19日 17:45

私はこの69年生きてきて、
いわゆる人魂というものに一度出会いました。
夜、真っ暗な、山道を夫とふたりで歩いていた時、
100メートルほど離れたところにふわっと
明るい玉が飛びました。
そこには、お墓があったわけではありません。
樹が生えていた場所でした。
夫とふたりだったから
冷静でしたね。
珍しかった~~~

投稿: tokiko68 | 2011年7月19日 21:31

tokiko68 さん:

このコメントにずっと気付いていなくて、レスが遅れました。すみません。

そうですか。ご覧になったんですね。人魂を。

ただ、その人魂を採取してサンプル化できないというのが、科学にとって痛恨ですね。

もしかしたら、サンプル化できていないといだけのせいで、「非科学的な迷信」 と言われていることがかなり多くあるかもしれませんね。

投稿: tak | 2011年10月14日 20:27

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