建前論が大好きな高校野球
酒田でたまたま甲子園野球の中継を見ていたら、高校野球史上最大の得点差試合というのが紹介されていた。それは、1998年の第80回全国高等学校野球選手権記念大会の地方予選(青森大会)で記録された、「東奥義塾 122 - 0 深浦 (7回コールド)」という試合だそうだ。
1998年というのは松坂大輔が活躍した年だそうだが、本番の甲子園大会に先だって、こんなすごい点差の試合が行われていたわけだ。東奥義塾というのは甲子園常連校で、対する深浦高校というのは、部員不足に悩み、急造部員を入れてようやく予選に出てきたような弱小チーム。点差がついて当然だが、それにしてもつきすぎだ。
東奥義塾は初回に 39点を取り、それからも毎回 2ケタ得点を記録している。よくまあそんなに点を取りまくったものだと思うが、「最後まで全力を尽くして敬意を示すことこそ、敗者への礼儀」なんていう、妙な美意識が日本の高校野球にはあるらしい。試合後の新聞・テレビの報道は、両校の健闘を称える論調ばかりだったという。
本音を言えば次の試合に疲労を残さないように、10点ぐらい取った時点であとは手を抜きたいところだろうが、日本の高校野球でそんなことをしたら、「スポーツマンシップにもとる」として、口を極めて非難されるに違いない。ちょっと前にどこだかの高校の監督が手抜きを指示したのが明るみに出て、大問題になったことがあると記憶している。
メイジャーリーグでは、形勢の決まった試合でさらにあくせく点を取りにいったりしたら、逆にマナー違反としてビーンボールを食らうそうだが、日本とはえらい違いである。
普通に考えたら真夏のくそ暑い中で試合をしているのだから、選手の健康のためにも勝敗の見えた試合を延々と続けるより、適当に流してさっさと終わらせる方がいい。運営側だって、本音を言えば円滑な進行のためにもその方がありがたいに決まっている。
ところが高校野球というのは、美しい建前論が大切にされる世界なので、なかなかフツーの考えが通らないところがある。こうした美意識は、高校野球だけでなくビジネス社会にも連綿とつながっているからコワい。
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コメント
「純粋無垢な高校球児が、汗と泥にまみれ、敗戦に涙を流す・・・」、なんて風に美化する、ステレオタイプな朝日新聞の記事が大嫌いです
「ウソつけ~」と思ってしまいます
高校時代を思い出しても、野球部の連中が純粋だったなんてとても思えないし(笑)
清原みたいなワルが高校球児だったし(笑)
好きなことを一生懸命やっている・・・
でいいんじゃないかと思いますが
投稿: alex99 | 2010年8月14日 19:45
alex さん:
高校球児の純粋無垢さは、彼らがおっさんになってからの「思い出の中」にだけあるのだと、私は思っています。
思い出というのは、とても都合のいいものですから (^o^)
投稿: tak | 2010年8月14日 21:09
高校野球には興味ゼロです。理由はtakさんの書かれた通りです。
嘗ての上司は甲子園球児でした。彼の話によると、高校時代は、米を袋に詰めて遊郭に通ったそうです。そんなもんです。
建て前を通す、きれいごとを言う、新聞社が主催する以上はこうなるでしょうね。
投稿: ハマッコー | 2010年8月15日 00:46
ハマッコー さん:
>嘗ての上司は甲子園球児でした。彼の話によると、高校時代は、米を袋に詰めて遊郭に通ったそうです。そんなもんです。
そういうことまで、彼らの中では「純粋無垢な思い出」として昇華されてしまっているから、すごいですよね。
投稿: tak | 2010年8月15日 02:47