「公共トイレのデザイン」 に、とても重要な補足
昨日のトイレに関する記事は、思いのほかの盛り上がりを見せてしまった。皆さん、トイレへの思い入れは強いようなのだ。
ところでトイレ関連の話で、既に大昔に書いてしまったような気がしていたのだが、自分のサイト内をいくら検索してみても見つからないので、今頃になって 「いやはや、まだ書いていなかったんだなあ」 と、意外に思っている事件がある。今日はそれについて書こうと思う。
もう 15年以上前のことだと思う。ある日、勤め帰りに上野駅のトイレに入った。このときは「小」の方の用である。ところが、そのとき、男子トイレにオバサンが入っていたので、私はビックリしてしまったのである。
いや、男子トイレにオバサンが入ってくるぐらいでは、私は驚かない。そんなことは珍しいことではないからだ。とくに、今はなき歌舞伎座のトイレなんかは、休憩時には女性用はものすごく混むようで、オバサン連中がどっとなだれ込んでくるのが毎度のことだった。
そんなとき、オバサンたちは「いいんですよ~、気にしませんから~」なんて言ったりするんだが、そっちは気にしなくても、こっちが気にしてしまうのである。でも、まあ、いいのだ。新しくできる歌舞伎座は、きっと女性用トイレが拡充されているだろう。
話がそれかけたので元に戻そう。その夜、上野駅の男子トイレにオバサンが入っていてビックリしてしまったのは、その入り方が異様だったからなのだ。そのオバサンは、相撲取りのような巨体だったのだが、なぜか大便所のドアを開けっ放しで、鬼のような形相で、便器をまたいでしゃがんでいたのである.
それをみた男たちは、一様にとんでもないものを見たように、あわてて目をそらしたのであった。いや、確かにとんでもないものではあったのだが。
そそくさと用を足してトイレを後にしながら、「今のは、一体何だったんだ?」と、私はようやく冷静になって考えた。
オバサンが男子トイレにいたのは、上述の如く、別に不思議なことじゃない。女子トイレが混み合っていて、そのオバサンはよほどガマンができなかったので、やむなく男子トイレに駆け込んだのだろう。それは理解できる。責めようとは思わない。
問題は、どうしてそのオバサンは、ドアも閉めずにパンツを下ろして用を足していたのかということだ。これが大きな謎として残った。どうみても (いや、そんなにジロジロみたわけじゃないのだが)、露出狂というような雰囲気でもなかったしね。
謎が解けたのは、それから 1週間以上経ってからのことだ。改めて上野駅のトイレの大便所のドアの構造をみると、ドアを内側に押し開けて入るようになっている。そして、中に入ってからドアを閉めなければならないのだが、その際に、人間は隅の方にどかないと、内側に押し開けたドアが戻らない。つまり、人間の体が邪魔になるのだ。
そういえばあの時、鬼のような形相でしゃがんでいたオバサンは、ものすごく太っていた。「相撲取りのような巨体」と書いたが、もしかしたら、その太り方は相撲取り以上だったかもしれない。
つまりそのオバサンは、大便所の中に入ってしまうと、自分の体が邪魔になって、内側に押し開けたドアを閉めることができなかったのだ。そして押し寄せる便意に耐えきれず、ついそのまま、パンツを下ろしてしゃがんでしまったのだ。それで、あんなに鬼のような形相だったに違いない。
まったく気の毒なことである。
で、昨日のテーマの「公共トイレのデザイン」について、とても重要なポイントを付け足さなければならない。それは、大便所のドアはなるべく外側に開くようにすべきだということである。内側に開くようなデザインが絶対に不可というわけじゃないが、それは内部に十分な空間的余裕がある場合に限るべきである。
そうでないと、あのオバサンはまた、鬼のような形相をしなければならなくなるかもしれないから。
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コメント
あはははははははははははは
やっだ======!!!!!
投稿: tokiko68 | 2010年9月25日 18:39
今日の話は、ひたすら面白かったです。
オニの形相のおばさんにエイッという気合で入ってこられた経験はありますが、ドアの開けっ放しはありません。でも、その後の音は凄かった。
ところで、疑問がひとつ。
男が女子トイレに入ると100%痴漢とみなされ、逮捕もあり得る、しかしその逆はまったくお咎めなしってどうしてだろう。オバサンは我慢しにくいものだからやむなし、という共通認識があるのかも知れませんが。
投稿: ハマッコー | 2010年9月25日 19:01
tokiko68 さん;
すごいパンチで、脳天クラクラです (^o^)
投稿: tak | 2010年9月25日 23:58
ハマッコー さん:
>男が女子トイレに入ると100%痴漢とみなされ、逮捕もあり得る、しかしその逆はまったくお咎めなしってどうしてだろう。オバサンは我慢しにくいものだからやむなし、という共通認識があるのかも知れませんが。
男が女子トイレに入るのはやましい心からで、その逆のケースは仕方なくというのが、この世界の共通認識なんでしょうね。
まあ、仕方ないかと。
投稿: tak | 2010年9月26日 00:02
公共トイレはデサインうんぬんより
男性トイレと女性トイレの面積を同じにするのではなく収容人数を同じに(女性トイレを広く)すべきだと思う。
男性トイレは小便器があるので同一面積だと収容人数が多い。個室の鍵かけるとかしゃがむとか脱ぐとかの余分な動作もなくポロリですむのでさらに時間差はひらく。
観光地など人の多いところではどこいっても女性トイレのみに長蛇の列ができてるが、家族やカップルだとどのみち連れを待つので男性にとってもメリットが少ない。
投稿: とおりすがり | 2010年9月28日 20:39
とおりすがり さん:
>男性トイレと女性トイレの面積を同じにするのではなく収容人数を同じに(女性トイレを広く)すべきだと思う。
この問題について関連情報ですが、7年近く前に、私は次のように書いています。
「ニューヨーク市議会で、公衆の場では女性のトイレを男性用の2倍設置するように義務づける法案が提出されたそうだ」
http://homepage3.nifty.com/tak-shonai/y_cracks/yc03/cx2.htm#5
この記事では、結果までは書いていませんが、この法案は採択され、ニューヨークでは新しい建物では女性用トイレが男性用の 2倍になっているはずです。
ちなみに米国ではこうした法案を可決した州がいくつかあるはずです。
日本でもそうするべきですね。
投稿: tak | 2010年9月28日 22:55