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2010年9月12日

「さばく」ということ

近頃、「さばく」という言葉にちょっとだけこだわっている。Goo 辞書 (デジタル大辞泉) では、つぎのように説明されている。

さば・く【裁く/×捌く】
[動カ五(四)]

  1. (裁く)理非を明らかにする。裁判する。「罪を―・く」「人を―・く」

  2. 手を使ってものを思いのままに扱う。「ヒット性の打球を難なく―・く」「手綱を―・く」

  3. ごたごたした物事や複雑なことを、適切に処理する。「会社を一人で―・いている」「もめごとを―・く」

  4. 品物を売りつくす。「滞貨を全部―・いた」
    ①くっついたりからまったりしやすいものを、解き分ける。「髪を―・く」「着物の裾を―・く」「力士が下がりを―・く」
    ②料理で、材料に包丁を入れて切り離し、ばらばらにする。「鴨を―・く」

フツーの感覚では、「1」 の意味の 「罪を裁く」 とか 「人を裁く」 とかいう場合と、それ以後の意味の 「手綱をさばく」 とか 「売りさばく」 とか、料理人の 「包丁さばき」 とかは同音異義語のように考えられているが、辞書的には同じ言葉のようなのだ。

さらに、私の生まれた山形県の庄内地方では、「さばく」という言葉に 「破く」いう意味を持たせている。ちなみに「破く」というのもなかなか注意して使わなければならない言葉で、Goo 辞書では「《「やぶる」と「さく」との混成語》 紙や布などを、引き裂く。破る」 と説明されている。

単に 「破る」 というのでなく、「引き裂く」 という行為を、私の故郷では 「さばく」 というのである。

こうしてみると、なるほど、この 「さばく」 という言葉は、「裁く」と書こうが「捌く」と書こうが、語源的には共通のニュアンスがあるのだとわかる。要するに、切り裂いて処理するのである。理非を明らかにするという意味の「裁く」も、ものごとを「理」と「非」に切りさばいて、分けるのだ。

私は近頃、「裁く」という行為をできるだけ避けようとする傾向がある。物事というのは「いい」とか「悪い」とか、「正しい」とか「誤り」とか、二元論で切りさばいてしまえるほどに単純なものではないと思っているからだ。前に "そりゃ、「斬る」 方が楽さ" という記事でも書いているように、斬ったり、切ったりするのは苦手なのだ。

最近の裁判でいうと、厚労省の村木元局長のケースなどは、「疑わしきは罰せず」というよりは明らかに検察の作文が行き過ぎた例ということができるが、判断がむずかしいケースではなかなか「裁く」ことはできないだろう。

その意味で、裁判員になっている人は大変だろうなあと思うが、私は個人的には一度裁判員に選任されてみたいという気がしている。それは「できるだけ裁きたくないなあ」という感慨を、「裁判の実際のケースを、楽屋裏までこの目で見てみたい」という好奇心の方が上回ってしまっているからだ。

我ながら勝手なものである。裁判の楽屋裏まで眺めてしまって、いざ判決に参加しなければならなくなったら、尻込みしてしまうかもしれないのに。

まあ、もし私が裁判員になったら、どうみても被告人は有罪だろうというケースを除いたら、多分「疑わしきは罰せず」という原則に従って、「無罪」(というより "not guilty = 有罪じゃない" という方がしっくりくるが)を主張するだろうと思う。その方が「裁いてしまった」という実感が小さいだろうから。

 

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コメント

裁くと捌くは、和語としては同じ言葉でしたか。言われてみれば、さもありなんという感じです。
別々の漢字を当てたことで誤解されるパターンの一つなんですね。

投稿: HIRO | 2010年9月13日 09:20

HIRO さん:

「裁く」という漢字にしても、裁断して切り分けるというのが元々の意味ですからね。

なるほどという感じです。

投稿: tak | 2010年9月13日 10:09

二元論の代表、alex99でございます(笑)
禅宗の血筋のtak shonaiさんと違って、私の方は過激な長州藩藩士の末裔としてのDNAがそうさせるのか、ブログにおいては、切り捨て御免の毎日です(笑)
しかし、温厚で保守的な加賀藩などの血も、同時に入っているはずなのですが、その方のDNAは、なりを潜めたままです(笑)

投稿: alex99 | 2010年9月14日 06:08

alex さん:

加賀藩の血は、ペダンティズムとなって現れているんだと解釈しました。

投稿: tak | 2010年9月14日 07:53

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