「くらコーポレーション」社員から内部告発があって
今月 5日に書いた「くらコーポレーション」の試験官が辞表を書いた方がいい理由 という記事に、その名も「内部告発。さん」という方から内部告発のコメントが付いた。以下のような出だしである。
私はくら社員の1人ですが、ここまで厳しい研修に耐え抜いた者でさえ、1年も経てば半分近く辞めているのが現状でしょう。私の勤務地でも、7人いた同期が今や2人。入社1年半も経たない内に自ずから出て行った者ばかりです。
要するに、話題の理不尽な研修に耐え抜いたタフな者でも、1年で半分近くが辞め、この方の勤務地では、さらに 1年半で 7人が 2人に減ってしまったというのだ。研修での理不尽が、実際の業務が始まったら止むというわけじゃないだろうから、それも当然だと思う。
もっとも、この方が実際にくらコーポレーションの社員であるという保証は何もない。同社のコンペチターが、競争相手を蹴落とすためにあらぬ事を書き込んだという可能性だって考えられる。
しかし、コンペチターだってこれほどひどくはないにしても、多分それほど威張れるほどの職場環境を実現しているわけじゃないだろうから、余計なことをしたら自分の首を絞めかねない。というわけで、私は「多分、本当に内部告発なんだろうなあ」という前提で話を進める。確たる根拠はないわけだけど。
「内部告発。さん」は、次のように続ける。
恐らくは会社としても余計な人件費を、すぐ辞める人間に使いたくないから、最終段階で篩に掛けたって所でしょうね。
このあたり、私は元記事を書いた時から憤慨していることである。最終段階というのは入社間近の「研修」を指しているのだが、ふるいにかけたいのなら、入社試験の段階でかければいいのである。わざわざ内定を出して、その上でふるいにかけるというのは反則だ。
この内部告発を読んで、この会社のねらいがほぼ明らかになったと思う。社員が「自発的」に退社するような環境をキープしておくことで、人件費を常に低く抑えておきたいのだ。ベテラン社員が増えたら人件費も上がるから、どんどん辞めてもらう方がいいのである。
それなら、初めから採用人数を少なくしておけばいいはずだが、初めは安い給料で必要な人数を雇っておき、1年足らずの間に退社が続出して人手不足になった時点で、また新規採用を行うということなのだろう。新規出店もあるだろうし。
この繰り返しで、人件費は常に安く抑えられる。そして、従業員がこの会社に留まっている間は、理不尽な労働条件でこき使うことができる。内部告発はさらに続く。
安月給、ボーナスなし、退職金なし、社員は冠婚葬祭事故病気など、万人に値する重大事項でしか有給が使えない
安月給、ボーナスなし、退職金なしというのは、まあ仕方がないかもしれないが、有給休暇が「万人に値する重大事項」(一体、何じゃこりゃ?)でしか取れないというのは、明らかに法に反している。有給休暇を理由を告げずに取るのは、労働者の当然の権利なのだ。
まあ、有給休暇を取る際に上司に理由を聞かれるなんてことは、普通の会社でもないわけではない。しかし、聞かれても答える必要なんてない。どうしても何か言わなければならない空気なら、「個人的な都合」とでも言っておけばいいのである。それで有給休暇を取らせてもらえなかったら、労働基準局に訴え出ればいい。
前の記事でも書いたことだが、求職者は、採用してしまえば「社員」になるから、業務命令に従わせることができる。しかし、理不尽な求職者いじめをしてしまったら、落とされた者たちは「逆広告塔」と化す。
くらコーポレーションはさらに、一度雇った社員をどんどん辞めるようにし向けているのだから、「逆広告塔」をどんどん野に放っていることになる。こんなことをしていては、ろくなことにならないのである。
というわけで、私は単純に「逆広告塔」のキャンペーンに乗っかって、「くら寿司」という回転寿司屋は絶対に利用しないと、ここに宣言しておく。別に「くら寿司」で寿司を食わなくても飢え死にするわけじゃないのだから、客の方が圧倒的に立場が強い。そんな気分の悪い店に入ってまで、寿司なんか食いたくはない。
立場の弱い者をいじめると、より立場の強いものからしっぺ返しをくらう。これは世の常だと知っておくがいい。
【2020年 1月 23日 追記】
「くらコーポレーション」は、昨年 5月に社名を「くら寿司」に変更したらしい。(参照)
社名変更とともに社風の改善を行って悪いイメージを払拭するためなのかと思ったが、パワハラ体質は相変わらずらしい。「くら寿司 パワハラ」でググると、いくらでも出てくる。
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コメント
こういう労働環境の話を聞くたびにイヤになっちゃいます。
一義的には、そういうパワハラ的な経営者、管理職がいけないことは間違いないですが、それをのさばらせているのは、そういう待遇に甘んじ、妙なカルチャーを成立させてしまっている従業員なんじゃないかと思います。
この手の経営者は、無謀な安売り競争と、しわ寄せしやすいところにしわ寄せすることしか能がないわけで、私だったら絶対一緒に仕事なんかしたくないです。「それしか仕事が無い」とあきらめるのはあまりに安易だし、そういうヘンなカルチャーに加担してイヤにならないのか、不思議に思います。
投稿: きっしー | 2010年9月22日 10:57
この系列店は、値段の割にはそこそこのものを食べさせてくれますよ。
回転寿司を、こんなの寿司じゃない!と仰る方もいらっしゃいます。
銀座や北新地のお寿司屋さんとは違うんです!
たとえ 「なんちゃって」 であっても、立派なお寿司です。
シャリストッカーからガサっとシャリを取り出して、シャリロボットで自動的に生成されたシャリに、「お前、包丁違うだろ!」 とツッコミを入れたくなるような技術を持った寿司職人(アルバイト)が、パックから切り身を出して、エンボス手袋の手で握って(ネタとシャリを圧着?)くださるんです。
すごいご馳走じゃないですか!(すごいの言葉見解は各人の理性にお任せします)
少なくとも拙の地域のこの系列店は、店長さんがなかなか柔和な方で、店員さんもハキハキと動いてらっしゃいます。
チームワークもよさそうです。
回転寿司では、ツナサラダ、豚カルビ、ハンバーグ、コーン、牛すき焼き風、いなりを好んで喰らう、乙痴庵のレポートでした。
投稿: 乙痴庵 | 2010年9月22日 12:37
「わっはっは!」
を、文末に入力するのを忘れておりました…。
忘れてたついでに、回転寿司の冷凍解凍ドリップ出まくりマグロ、スカスカヒラメにげんなり。
他にも、ゴムイカ、ゴムウナギ、脂臭いエンガワ、数え上げたらきりがないのですが、「寿司の形をした何か」を出している回転寿司も、実際にあります。
あと、店内に入った途端、生臭いお店は勘弁してください。
中部地方のとある空港に、やたら生臭いドブ臭い店内のお寿司屋さんがあります。
空の玄関口。初めてのご来訪でいやな思いをされなければよいのですが…。
…山奥旅館のおもてなしを、思い出しました。
投稿: 乙痴庵 | 2010年9月22日 13:00
きっしー さん:
>一義的には、そういうパワハラ的な経営者、管理職がいけないことは間違いないですが、それをのさばらせているのは、そういう待遇に甘んじ、妙なカルチャーを成立させてしまっている従業員なんじゃないかと思います。
そうなんですよね。
一番ヒドイのは中間管理職だったりすることが、よくあります。
せっかくガマンして、ようやく中途半端な地位にまで昇ってきたのだから、ここでくじけてなるものかと、最も戦闘的になっています ^^;)
投稿: tak | 2010年9月22日 13:06
>この系列店は、値段の割にはそこそこのものを食べさせてくれますよ。
誰も、そんなことを問題にしているわけではありません
ポイントがズレていますよ
投稿: alex99 | 2010年9月22日 14:07
乙痴庵 さん:
うぅん、
私がここで問題にしているのは、店で供される食い物の質についてではなくて、企業体質というか企業風土とか、そういったものなので、「寿司モドキ」だろうがなんだろうが、一向に構わないのです。
逆に、最高級の寿司をものすごく安く食わせてくれる店でも、内部的に理不尽そのものだったら、私はその店では食いたくありません。
それから、企業風土として内部的にいかに理不尽で陰湿であろうと、客に対してはきちんとしているというのは、当然だろうと思います。
投稿: tak | 2010年9月22日 14:49
alex さん:
まあ、そういうことです。
投稿: tak | 2010年9月22日 14:51
tak様 alex99様
大変失礼を致しました。
以後、細心の注意を以って、お邪魔を致します。
大変勉強になりました。
ありがとうございました。
投稿: 乙痴庵 | 2010年9月22日 23:22
乙痴庵 さん:
まあ、あまりお気になさらずに、今後もお気軽にどうぞ。
投稿: tak | 2010年9月23日 09:07