タッチタイピングとリストレスト
最近の人は PC のキーボードを打つときに、リストレストを使わないんだろうか。先日、近所の家電量販店にリストレストを買いに行ったところ、マウス操作用の片手を置くタイプ、あるいはマウスパッドとの一体型しか置いていないと言われて、びっくりしてしまった。
ノート PC はほとんどがタッチパッドが手前に付いていて、その両側に手首をおいて作業ができるので、まずリストレストなんていらないが、デスクトップ用のキーボードは手首を置くスペースが付いていないものが多い。こんなんで手首を浮かせたままで長文を打ったら、肩が凝ってしょうがないだろうに、一体どうなってるんだろう。
さすがにアキバのヨドバシカメラでは何種類か置いてあったが、やはりマウスパッド操作用のものに比べると、キーボード用は種類が少ない。本当に一体どうなってるんだろう。そういえば、ウチの娘たちもリストレストは使っていないようだ。まあ、彼女らはあまり長文を打つなんてことはしないみたいだから、いらないといえばいらないんだろうが。
そこで、いろいろなキーワードを駆使してあちこち検索してみてわかったのだが、どうやらリストレストは、タッチタイピング(いちいちキーボードを見ない入力)をする人にとっては必需品だが、そうでない人にはかえって邪魔と思われていることが多いようなのだ。
10本指を駆使してタッチタイピングをする場合には、手首を固定しておかないとやりにくくて仕方がない(キーボードなんか見てないから、手首の位置がずれたら他のキーを打っちゃう)が、左右の人差し指だけで打つとか、各キーを打つ指が一定していない人だと、手首は常に浮かせておく方がいい。
なるほど、手首を宙に浮かせてタイピングする人にとっては、リストレストなんて無用の長物で、邪魔にしかならない。逆に「一体、何のためにあるの?」なんて言いたくもなるだろう。
で、今の世の中は PC が広範に普及しちゃったので、PC 使いの多くがフツーにタッチタイピングできるというわけではないみたいなのである。逆に、長文をタイプするなんていう人はそれほど多くなくて、どうみてもインターネットを見たり、短いメールを書いたりするぐらいの用途が多いから、苦労してタッチタイピングを習得する必要がない。
ビジネス現場でも、意識して見渡してみると、タッチタイピングをしている人は意外に少ない。左右の人差し指使いの人が案外多いのだ。彼らの中にも信じられないほどの快速タイピングができる人もいるが、やはりほとんどは遅い。私が 5分で打ち終わるようなドキュメントに、30分以上かかるみたいな人もいる。
左右の人差し指でタイピングをしたら、さぞ疲れるだろうと思うのだが、そういう人を見ていると、それほど PC の入力作業にかかりっきりというわけじゃない。せいぜい最後のドキュメント清書程度にしか使っていないようだ。タイピングをする絶対時間が短いのだから、肩凝りにもならないのだろう。
今の時代になっても、PC が「インターネットもできる清書マシン」でしかないという環境が存在することに驚いてしまうが、まあ、現実は現実だ。
なるほど。だから、リストレストを使っている人ほど肩凝りに悩まされるという、妙なパラドックスが生じるのだな。そういう人はつまり、快速でタイピングする作業時間が圧倒的に長いのだ。
そして最後に残った疑問は、マウス用のリストレストなんて、何のために必要なのだろうということだ。私としては、マウスを使う時はデスクに直接手首をおく方が、ずっと楽だがなあ。今はほとんどが光学式だから、マウスパッドだっていらないし。
| 固定リンク
「パソコン・インターネット」カテゴリの記事
- 「ネットを見ない高齢者」という偏見(2024.11.29)
- Bluesky で英語のネット・スラングを学べた(2024.11.24)
- 年賀状は、本当にネットで済ませようよ(2024.11.22)
- 「入国審査」が「入獄審査」になってしまう件(2024.11.03)
- 会社の会計システムが「個人ベース」だったとは(2024.10.18)
コメント
こんにちは。いつも拝見しています。
PCのタイピングはタッチタイピング(そもそもこの呼び方を知りませんでした!いまだにブラインドタッチって言ってました。古い呼び方だったんですね・・。)ですが、リストレスト使ってないです。使ったことないです。
以前の富士通のキーボードにはキーボードの端にそれらしきピースが付いていましたが、今のDellのには何もついてません。
でも、キーボードの前方裏面に付いているキーボードに少し傾斜をつける部品を起こして、手首までデスクにくっつける形が標準的ポジションですねー。
リストレスト使った方が肩こりにならないのかしら・・。ふむ。
投稿: はにゃ。 | 2010年10月21日 14:12
私もリストレストは使ったことがないですね。
一応我流ではありますがタッチタイピング(私も通常はブラインドタッチと言ってますねw)は出来ます。それでもローマ字入力を使っているのでかな入力の人に比べてホームポジションから動く範囲も少ないから出来ているのかもしれません。
通常は机やテーブルの手前の角に手首よりもやや肘に近い場所を当ててそこをベースに指の位置を決めている感じです。
私は弱視がありますからディスプレイが体から遠いところだと見えないので必然的にキーボードもテーブルの手前からあまり離れた所には置けないって事情はあります。
キーボードを体から結構離して使う人はリストレストみたいなものがあったほうが良いのかもしれませんね。
投稿: きんめ | 2010年10月21日 15:18
はにゃ。さん:
「ブラインドタッチ」という言葉は、日本の業界が妙な自己規制で使わなくなりつつあるみたいですね。
全然差別用語じゃないんで、ナンセンスだと思いますが。
>でも、キーボードの前方裏面に付いているキーボードに少し傾斜をつける部品を起こして、手首までデスクにくっつける形が標準的ポジションですねー。
そうやってらっしゃる方が多いようですが、私は逆に、手前をやや高くするぐらいの角度でやってます。
その方が手首が楽ですので。
(どうせキーボードは滅多に見ないので)
投稿: tak | 2010年10月21日 16:54
きんめ さん:
>通常は机やテーブルの手前の角に手首よりもやや肘に近い場所を当ててそこをベースに指の位置を決めている感じです。
なるほど。
これだと、肘をかなり急角度に曲げて、顔をスクリーンに近づける感じですかね。
私は最近、老眼気味で、逆にある程度離れないときついんで、やっぱり手首を固定する感じですね。
投稿: tak | 2010年10月21日 16:56
昔、職場の産業医から手首の位置が低くならないようにと指導されました。RSI(carpal tunnel syndrome とも呼ばれてました。日本語では腱鞘炎と言うらしいですが、炎症というよりは神経の問題です)になり易いからです。
リストレスト(リストパッドと呼ばれていたかな)は、使わない方が良いけれども使うなら手首が高い位置になるようにしなさいとのことでした。
takさんがおっしゃっているような手首を支点とした動きは、RSIになり易い恐れがあるので、ご注意された方が良いかもしれません。
老婆心ながら。
投稿: きっしー | 2010年10月22日 10:17
きっしー さん:
>リストレスト(リストパッドと呼ばれていたかな)は、使わない方が良いけれども使うなら手首が高い位置になるようにしなさいとのことでした。
>takさんがおっしゃっているような手首を支点とした動きは、RSIになり易い恐れがあるので、ご注意された方が良いかもしれません。
ご忠告、ありがとうございます。
ただ私は、手首を支点とはしているものの、はにゃさんのコメントへのレスでも書いたとおり、キーボードの角度を普通とは逆に、手前の方を高くして、つまり手首を高くして指が自然に垂れ下がるような感じでタイプしています。
お医者様も、手首を高くするように指導していると聞き、「我が意を得たり」という気がします。
これも、腱鞘炎だの肩凝りだの、いろいろ悩まされて工夫に工夫を重ねた結果であります。
投稿: tak | 2010年10月22日 18:20
初カキコです。もう何年も毎日のように会社から読ませていただいているのに、ドキドキしますね。
昨夜、長文をタイプしてる途中でこちらの「リストレスト」の話題を思い出し、キルティングの布地を筒状に丸めて直径40ミリ×横幅300ミリほどのリストレストを自作してみました。
以前にパソ屋で見たことはあるのですが、初めて使ってみたところ・・・楽でした。はい。私も長文は手首を浮かせる派ですので、肩と手首の疲れ方が全然違いました。
ありがとうございました。どうしてもお礼が言いたくて。
これからも毎日更新楽しみにしていまーす。
投稿: れお | 2010年10月29日 08:33
れお さん:
お役に立ててなによりです。
やっぱり、リストレストを使うと、楽でしょう (^o^)
投稿: tak | 2010年10月29日 11:56
初めまして。たまに調べ物でこちらにたどりついてましたがコメントは初めてです!今回は自己流タイピングを直そうとしていてたどりつきました!
マウス用のリストレストはデザイン系の仕事をしているときに必須でした。マウスで線を書くときはものすごい回数ドラァグするような動作になるので、指に力を入れがちで肩や腕がいつも痛く、レストを初めて使ったときは感動モノでした。主旨違いかもしれませんがご参考までに。
投稿: ベル | 2011年1月 7日 14:36
ベル さん:
>マウス用のリストレストはデザイン系の仕事をしているときに必須でした。マウスで線を書くときはものすごい回数ドラァグするような動作になるので、指に力を入れがちで肩や腕がいつも痛く、レストを初めて使ったときは感動モノでした。
そういえば私も数年前、あるウェブサイトの構築の仕事で、集中的にマウスを使っていたときに五十肩になりました。
マウスを多用する仕事では、マウス用のリストレストも必要ですね。確かに。
投稿: tak | 2011年1月 7日 16:50