「~が売ってる」 という表現と、英語の "sell" という単語
昨日 "「~が売ってる」 という表現" という記事を書いた。「コンビニでおでんが売ってる」という表現は、文法的には「売られている」と言うべきだが、まあ、この際むやみに突っ込みたくはないというようなことである。これについて、いつも鋭い指摘をくださる きっしーさんが、次のようにコメントしてくださった。
たまたまだと思うのですが、英語の sell も、もともとは他動詞だから商品が主語なら受動態になるはずなのに、自動詞として使われていますね。
"The rose sells at $10 a dozen." といったふうに。
これは「我が意を得たり」というご指摘である。"Sell" という単語の使われ方については、昨日の記事を書く際に私も意識はしていたが、英語の話なので、あえて書かなかった。しかしコメントをいただいて、「こりゃ、改めて書く価値があるな」と思い直した次第である。
"Sell" は本来「売る」という他動詞だが、"The product sells well." (その製品はよく売れている)なんて言うし、"good seller" も、「いい売り手」ではなく、「よく売れているもの」である。「ベストセラー」は日本語にまでなっている。
"Sell" というのは、何か修飾語を伴った時に自動詞として使われる場合があるようだ。それは日本語でも、きっしーさんが "「あの店ではおでんが一杯500円で売っている」 ならOK" と指摘されているのととてもよく似た構造だと思う。私も、この使い方なら OK だ。
しかし、直接 「おでんが売っている」 という言い方は、私としてはしたくないというより、むしろ生理的に気持ち悪くてできない。ただ、昨日の記事で述べたように、そんな言い方をする人があってもむやみには責めないというぐらいには、寛容になっている。
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