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2011年1月 8日

小寒に入ったばかりで 「春の七草」 というのもねえ

昨日は 1月 7日で、世間では 「春の七草」 ということだったのだが「春」どころではない。冷たい木枯らしが吹きまくって、どえらく寒かった。午前中の体感気温なんか、確実に氷点下だったと思う。

高校三年まで過ごした庄内の地は、1月 7日といえば地吹雪の真っ只中だった。そんな中、ラジオを付けると「春の七草」だという。春の野の草を摘んで、粥に炊き込んで食べ、一年の無病息災を祈るのだそうだ。「一体どこの世界の話だ」と思っていた。

関東の地は、一月になれば春になるのかと思っていたが、そんなわけでもない。来てみればやっぱり寒い。考えてみればそりゃそうだ。一昨日に二十四節気の「小寒」に入ったばかりで、半月後には「大寒」が来る。その半月後にようやく「立春」だ。そんな時期に、「春の七草」なんて、ノー天気にもほどがある。

これもみな、旧暦で祝っていた行事の日付を、無理矢理そのまま新暦に当てはめてしまうなんていう無茶をしてしまったせいなのだ。本来の春の七草は、旧暦の睦月(一月)七日の行事なのだ。旧暦 1月 7日は、今年の新暦でいえば、2月 9日にあたる。

2月 9日なら、立春を過ぎているから、まだまだ寒さは続いているだろうが、一応「春の七草」という面目は立つ。大寒にもなっていないうちに「春の七草」なんて、わけがわからない。理屈が通らないにもほどがある。

一昨年の 1月 15日付の記事で、私は次のように書いている。

私は年賀状に「新春のお慶びを申し上げます」とか「迎春」とか書くのは、いかがなものかと思っている。(中略)年賀状にどうしても「新春」とか「迎春」とかいう文字を入れたかったら、旧正月に届くように出せばいい。

高校三年まで雪の中で正月を迎えていた私は、新暦の年賀状に「新春」とか「迎春」とか「賀春」なんていう文字を入れるのは、あまりにも生活実感とかけ離れすぎていて、恥知らずの所行のように思われた。それは今でも変わらない。だって関東では雪はないにしても、新暦の正月が「春」じゃないのは、誰が見ても明らかではないか。

新年の挨拶に「新春」などというのは、あれは旧暦で正月を祝っていた頃の名残である。明治の御代に新暦を採用して以来、本来なら引き継いではいけないものを、ノー天気かつ理不尽に引き継いでしまったのだ。あれは旧正月に使う言葉として取っておかなければならない。何度も言うが、新暦の正月は春じゃない。誰が見ても冬でしかない。

旧正月なら大体は立春直後だから、「新春」でも「迎春」でも「賀春」でも OK だ。たまに旧正月の元日以後に立春になるという年もあるが、それでも確実に松の内には立春になるから、固いことは言わないでおこう。固いことは言わないが、寒の入りの前に「迎春」というのは、いくら何でも実態とかけ離れすぎて白々しい。

同様に、私は関東に来て新暦の 7月 7日に七夕を祝うのを見て「馬鹿か!?」と思った。梅雨も明けないうちに七夕を祝ってどうする。彦星織姫に気の毒ではないか。七夕は、私の育った庄内でも、七夕祭で有名な仙台でも月遅れの 8月 7日に祝う。

七夕は、歳時記では秋の季語とされているのをみてもわかるように、夏の暑い盛りを過ぎて夜がだんだん長くなり始めた旧暦の 7月 7日 (大抵は新暦だと 8月の中旬以後、つまり 8月 8日頃の立秋以後にあたる) の季節感にぴったりの行事なのだ。つまり本来なら、月遅れでも早すぎるのである。

行事のすべてを旧暦に戻せとは言わないが、せめて、春の七草と七夕ぐらいは、旧暦でやるようにしないと、日本人の季節感は本音と建前が乖離しすぎてしまうんじゃないかと、私は危惧している。

唯一「秋のお月見」だけは旧暦 8月 15日のままだが、これは新暦の 8月 15日では満月になるかどうか決まっていないし、暑い盛りで、月も朧に見えがちだからしょうがない。旧暦の 15日なら、十五夜というぐらいで、大体満月になる(本当は、少しずれることが多いんだけど、それについてもあまり固いことは言わない)。

本当は七草も七夕も、半月になる日の行事なんだけどなあ。とくに七夕は、天の川を横切る半月が、織姫と彦星の乗る舟に見立てられるという風流があるのだ。そして、旧正月の元日が新月というのにも、当然ながら意味があるわけなのだけれどね。

 

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コメント

旧暦でやるべきという意見に賛成です。

投稿: マックス | 2011年1月18日 10:27

マックス さん:

>旧暦でやるべきという意見に賛成です。

ありがとうございます。

いずれにしても、冬の真っ最中に「新春のお慶びを」 とか 「春の七草」 とかいうことに何の白々しさも感じないという感性を、もう少し問題にすべきだとおもっています。

投稿: tak | 2011年1月18日 12:05

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