今年の寒波は、温暖化のせいらしい
気象予報士の森田正光さんのチームが運営されている「チーム森田の "天気で斬る!"」というブログの 1月 30日付に、興味深い記事がある。「温暖化と異常気象」というもので、「温暖化と言われているのに、この冬の寒さは何なんだ」という疑問への一定の解答になるかもしれない内容だ。
これは月刊誌『ボイス』 2月号に寄稿された元気象研究所の増田善信氏の記事に依ったものだ。この記事を私は読んでいないが、近年、異常気象 (過去30年に 1~2度の現象)の頻度が、高温や局地的豪雨を中心に増えていることに関して、これが人為的なものかどうかを論じたものらしい。
そして平成 18年豪雪以来の規模になっている今年の寒波は、温暖化とは矛盾しているようにみえるが、実はそうとは言えないのだというのである。つまり今年の寒波は、地球温暖化の一環として生じているとみることができるというのだ。それは、温暖化によってもたらされた偏西風の蛇行と関係があるらしい。
最近の地球温暖化によって、極地方と赤道域の温度勾配(つまり温度の差)は小さくなってきている。この 100年の温度上昇は、極地方で 7度以上であるのに対し、赤道域では 0.2度ほどに止まっている。
極地方と赤道域の温度差が小さくなることによって、上空の偏西風が弱まり蛇行しやすくなり、その結果、ブロッキングが起こりやすくなって、各地に極端な暖波や寒波をもたらすというシナリオであると説明されている。
私はこの「ブロッキング」ということがわからなかったので、このブログ記事を読んでも今イチよく理解できなかったのだが、2月 2日の TBS ラジオ朝の番組に森田さんが登場して、このことをわかりやすく説明してくれていたので、納得がいった。
偏西風というのは、北極の寒気をブロックするカーテンのような役割をしているのだという。ところがその偏西風が蛇行すると、偏西風が南に下がった地域では北極の寒気が降りてきて寒くなる。そして、偏西風が北に上がった地域では、逆に暖かくなる。
つまり、普通なら単純に南北を隔てるブロックとして機能する偏西風が、蛇行することによって、隣り合った同緯度の地域間の東西方向のブロックにもなってしまっているらしい。
今年の場合は、日本、ヨーロッパ、米国東部で偏西風が南に下がっているので、記録的な寒波になっているのだが、偏西風が北に上がっているシベリアや北太平洋では暖かくなっている。つまり、寒波に見舞われているその隣の地域では暖かくなってしまっているという。
それで、北海道に押し寄せる流氷も、今年は少なくなっているというのである。流氷の生産元の、北海道の東隣の海、北太平洋は暖かくなってしまっているので、流氷が少ないのだ。
このように天気がまだら模様になってしまっているのは、偏西風の蛇行によってもたらされる部分があり、その偏西風の蛇行は、温暖化によって生じている。つまり、今年の日本の寒波は、温暖化によってもたらされたとみることができるというのだ。
そして、春に向かって偏西風の進路も変わるので、今年の春は暖かくなるらしい。本当にもう、天気の変化が極端すぎて大変なのである。
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