世界と日本の歩調の違い
中東・北アフリカで、反独裁政府の運動が次々に拡大している。チュニジアに端を発し、エジプトで拡大し、あとは燎原の火の如く広がる一方だ。
この動き、日本から見ている限りではその本質が今イチよく見えない。チュニジア、エジプトのは明らかに反独裁政府の運動だったと思うのだが、イランの動きは、反原理主義という側面があるようだ。反独裁で民主化に向かうのか、イスラム原理主義に向かうのかが見えず、一度イスラム原理主義を通過して、より自由を求める動きになるのか、そのあたりがよくわからない。
いずれにしても、世界は新しいステージに向かっているのは確かなようなのである。世界はこんなにもアクティブに動いているのに、日本は一体何なのだという人もいる。エジプトで独裁政府が倒れようとしているときに、日本では相撲の八百長の話で持ちきりというのは、あまりといえばあんまりだと言うのである。
日本だって危機に瀕しているというのに、日本人は全然分かっていないと言うのである。これほどまでにどうしようもない世の中になってしまっているのに、どうして日本人の若者はデモをしないのかと言うのである。
うぅむ、日本では、何をしてもどうにも変わらないと、日本の若者たちは見切りを付けているのかもしれない。下手に動いても徒労感が残るばかりというのは、案外経験として知ってしまっている。
日本はしょっちゅう首相が変わる。こんなに政権トップがめまぐるしく変わる国は、少なくとも先進国の中ではチョー珍しいだろう。トップがこんなにもころころ変わっては、継続性のある統治は不可能とすら思われるのに、どうせ首相なんて大したことはしなくて、国の運営はほとんど官僚任せだから、大した支障もなくやれてしまっている。
日本国は政府が動かしているのではなく、官僚が動かしているのだ。ボロボロの政府がこれだけころころ変わっても支障なく動いているという事実が、それを証明している。ほとんど「無政府状態」なのに、下手に危機感を煽って動いても、誰も付いてこないのだから、動くだけばからしいと思っている。
官僚は半分は保身と既得権擁護のために動き、残りの半分の力で国を動かそうとするから、ダイナミックな変革なんか起きるわけがない。だから、世界の動きからは必然的に二歩も三歩も遅れる。これはそういうシステムなんだから当たり前である。
百歩ぐらい遅れてどうしようもなくなった時、この国もようやくまともに動き始めるのだろう。
| 固定リンク
「経済・政治・国際」カテゴリの記事
- メキシコのバンドがビザ差し止めで米公演キャンセル(2025.06.06)
- トランプは ”TACO”(タコじじい?)という一幕(2025.05.30)
- 「コメ買ったことない」なんてネタはヤバいよ、江藤さん(2025.05.20)
- 米国の「サマーキャンプ」というもの(2025.05.15)
- NHK から国民を守る党・立花孝志の「選挙ハック」(2025.05.11)
コメント
デモですか?
沖縄基地関係で、アメリカ大使館とか現地でデモして警察につかまったり(六本木とか沖縄ヘリパッド)、山口県の原発の工事強硬に抗議のデモとかはありましたよ。
あ、全国へは報道されてません。
記事はここらへん。
> http://kry.co.jp/news/news870474.html#
> http://www.ustream.tv/recorded/12817661
> http://twitpic.com/41wiyn
> http://twitpic.com/41wk7c
投稿: luckdragon2009 | 2011年2月22日 04:53
工事強行、でしたが、まあ、工事強硬でも、意味は似てるか...。
投稿: luckdragon2009 | 2011年2月22日 04:55
luckdragon2009 さん:
情報、ありがとうございます。
まあ、日本のマスコミはデモに関する報道はしたがりませんね。
デモそのものも、あまり大規模にはならないし。
小規模だから報じないのか。マスコミが報じないから広がらないのか。
とにかく、のほほんとした国ではあります。
投稿: tak | 2011年2月22日 09:17
パラパラマンガのようにトップが入れ替わり、海外からは誰と話していいか判らない、といわれているというのに、国内のニュースは、八百長やらパンダやらで少々脱力気味の日々です。
投稿: ハマッコー | 2011年2月22日 11:56
ハマッコー さん:
>パラパラマンガのようにトップが入れ替わり、海外からは誰と話していいか判らない、といわれているというのに、国内のニュースは、八百長やらパンダやらで少々脱力気味の日々です。
まさに。
西洋人にとっては、ただでさえ東洋人の名前は覚えにくいですから、もう覚える気が失せてるでしょうね。
投稿: tak | 2011年2月22日 12:48
日本での中東情報
理解の程度が通り一遍で,臨場感のあるものは少ないですね
わかってないな~という感じ
だいたい、中東各国に滞在したことのある人が少ないので,しかたがないのですが
また、中東の国に入国することも,難しい国が多い
投稿: alex99 | 2011年2月22日 19:28
新聞もテレビも、通り一辺倒の内容なので、聞く方もその通りの受け止め方になってしまうのでしょうね。
心配なのは、(受ける側の)感覚を麻痺させるか如くの、情報操作の作用が働いている可能性です。
ネット報道など、多指向性情報発信の存在を、否定的かつ叩き潰す意図の有無を感じ、ますます「日本ガラパゴス」を危惧してやみません。
失礼いたしました。
投稿: 乙痴庵 | 2011年2月22日 22:32
alex さん:
>日本での中東情報
>理解の程度が通り一遍で,臨場感のあるものは少ないですね
alex さんは中東滞在の経験ありですものね。
中東という地域は、私にとっては実感的にかなり遠いです。
投稿: tak | 2011年2月22日 22:34
乙痴庵 さん:
>ネット報道など、多指向性情報発信の存在を、否定的かつ叩き潰す意図の有無を感じ、ますます「日本ガラパゴス」を危惧してやみません。
日本のマスコミは、所詮は予定調和的報道しかできないんですよね。
お尻の丸め方が決まり切っているので、その方向にしか書けない。
他の要素は見えなくなります。
投稿: tak | 2011年2月22日 22:38
TVの解説者?(例えば、みのもんたショーに出てくるろくでもない人達)だからと言って,知らないことを,いかにも知っているように「解説」するのは止めて欲しい
投稿: alex99 | 2011年2月23日 02:02
>百歩ぐらい遅れてどうしようもなくなった時、
>この国もようやくまともに動き始めるのだろう。
その通りだと思いますよ。
それは日本に限らず、どの国もそうじゃないですか。
今回の中東もそうですし、歴史的にも。
現状では「どうしようもない」状態まで行っていませんよね。
バイトでも何でも、そこそこ欲しいものが手に入り、食いっぱぐれのない生活。
逃亡者が身分を隠して働いて整形手術ができるまで貯め込む事ができる国。
政治体制は独裁でも何でもなく、
実力と努力があれば庶民でも政治家でも官僚でもなって国を動かす事が可能。
「政権トップがめまぐるしく変わる」ってのは、
逆に言えば民意の反映が早いとも言えますよ。
今の生活を捨ててまでひっくり返そうとは思う人は少数派じゃないですか?
投稿: リュウT | 2011年2月23日 10:02
alex さん:
>TVの解説者?(例えば、みのもんたショーに出てくるろくでもない人達)だからと言って,知らないことを,いかにも知っているように「解説」するのは止めて欲しい
みのもんた自身が、「解説」しちゃうときもありますね。
みのもんたの出てくる番組は、見ない方が健康にいいです。
投稿: tak | 2011年2月23日 10:28
リュウT さん:
>政治体制は独裁でも何でもなく、
>実力と努力があれば庶民でも政治家でも官僚でもなって国を動かす事が可能。
独裁国家がずっと変わらないというのはわかりますが、民主制なのに、なぜか動きがトロい。
まあ、民主制というのは元々トロいものですがね。
>「政権トップがめまぐるしく変わる」ってのは、
逆に言えば民意の反映が早いとも言えますよ。
民意の反映というより、永田町の都合かもしれません。
投稿: tak | 2011年2月23日 10:32
少し食い下がります。
永田町は民意(支持率)のプレッシャーを受け取って動くので、
間接的に民意の反映で動きますよね。
永田町の都合≒民意の反映じゃないですかね。
宇野、細川、羽田、森、安倍、福田、麻生、鳩山、菅(まもなく)
支持率が高いまま辞めたのは投げ出した細川氏と予算管理だけの羽田氏。
竹下、宮沢、橋本も引きずり下ろされたのは支持率低下の末・・ですよね。
投稿: リュウT | 2011年2月25日 07:59
リュウT さん:
支持率の低下で政権が維持できなくなってしまったというのは、確かに、「民意の反映」と言うことができるでしょう。
しかし、それは「積極的な民意」というよりは「政権への失望感」ではないでしょうか。
こんなに度々 「政権への失望」をしてしまうのが 「民意」というのは、まあ、その程度の民度といえばその通りではありますが、悲しいところです。、
投稿: tak | 2011年2月25日 22:01