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2011年3月22日

風評被害をなくすには

福島の牛乳と茨城のホウレンソウから規制値を超える放射性物質が検出されたと発表されたとたん、風評被害が発生しているという。ただちに健康被害が出るような数値ではないと付け加えられているとはいえ、既に売り場からは消えているらしい。

一方、Twitter などでは、「健康被害はないから、福島の牛乳と茨城のホウレンソウを買ってもらいたい」 といいうような書込みがどんどんされている。それに対して、「おう、買ってやるとも、飲んでやるとも、食ってやるとも」 という書込みも多い。しかし、買ってやるにも、飲んでやるにも、食ってやるにも、既に売り場から消えてしまっているところが多い。

こうした情報に一番ヒステリックに反応するのは、消費者よりも流通業界である。消費者はいくらでも買ってやると言っているのに、店が仕入れなければ買うことができない。で、どうして流通業界がそんなに過剰反応を示すかというと、一部の消費者がヒステリックだからだ。

検出されたのは直ちに健康被害が出る数値ではなく、しかも洗いさえすれば数値は 10分の 1に下がるという。しかも、消費者は一生その数値の農作物を食い続けるわけでおない。

さらに、一口に福島県、茨城県といっても広い。一部の産地の出荷が停止されても、この 2県のすべての農作物から放射性物質が検出されたというわけでもない。それでも、福島、茨城産の多くの農作物は風評被害に晒される。

店としてはいくら 「健康に害はありません」 という説明を添えて売っても、一部の消費者が 「そんなことは信じられない」 と言って、「健康に害があるかもしれない食品を売っている」 と非難すれば、店側は苦境に立たされる。どうしても安全策に流れて、仕入れを控える。

こうなったら、「福島産の牛乳と茨城産のホウレンソウを売るな」 というヒステリックな声を上回るような声で、「福島産だろうが茨城産だろうが、どんどん売れ!」 という声を上げるしかない。「どうして売らんのだ。お前んとこは、くだらない風評に左右されて、生産者と消費者の利益を損なうのか?」 と問いつめるしかない。

一消費者に過ぎない存在でも、今は情報を発信することができる。「○○という店は、風評被害に荷担している」 「△△という店は、被災地の農家を殺そうとしている」 という声を上げなければならない。そうでもしないと、馬鹿は死んでも治らない。

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コメント

関西でもある種の製造業は、今回の被災地区の混迷による、たとえば包材の出荷停止という事態にて、かつてない出荷制限等の悪影響を受けております。
しかし、それは我々にとって副次的な災難であり、本質的なものではありません。

現状「食の安全」は証明できても、「食の安心」は証明以上の説得力を要するはずであり、日本の農業パワーの集積地である東北地方の農業が再構築できるよう、みなに納得させるにはとても努力が必要だと思います。

何かよい方法を考えたいと思いまし、皆様に考えていただきたいと思います。

投稿: jersey | 2011年3月22日 00:03

jersey さん:

>現状「食の安全」は証明できても、「食の安心」は証明以上の説得力を要するはずであり、日本の農業パワーの集積地である東北地方の農業が再構築できるよう、みなに納得させるにはとても努力が必要だと思います。

「食の安心」の最大要素は、「時間」です。

時間さえ経てば、のど元過ぎて熱さを忘れるという類で、問題が遠離ります。

しかし、根本解決ではないので、何度も繰り返されます。

「みなに納得させる」という根本解決には、私は悲観的です。ヒステリックな人間を根絶するわけにはいきませんから。

投稿: tak | 2011年3月22日 00:50

官房長官のコメントは

●対象地域の農産物を摂取しても直ちに健康被害はない
●対象地域のほうれん草、原乳を出荷制限をした
●国民においては過剰反応しないように

出荷制限をしてる一方で国民に過剰反応するななんて、無理と言うもの。政府が過剰反応、支離滅裂。

直ちに健康被害はないというなら、菅総理が茨城に行ってほうれん草を食べればよいと思う。
出荷直前のほうれん草を、トラクターでつぶしている農家の映像は見ていてかわいそうだった。


投稿: ハマッコー | 2011年3月22日 02:28

tak shonaiさん

そんなことより
NHKの選抜高校野球生中継
12日間
ほぼ半日
これによって、被災情報などが、無くなるんですよ

あなた、東北人でしょう?
のんきな記事を書くより、アクションおこしてください

投稿: alex99 | 2011年3月22日 03:07

政府・原子力関係者による「想定を超える」という文句の乱発に対し、そもそもその「想定」が正しかったのかという声があちこちで上がっています。色々な判断の基準になるはずの数値に関して不信が広がっていると言えます。
同様に、このほうれん草や原乳の問題に関しても、「暫定基準値」などという責任の所在をあいまいにしようとする意図が見え見えの言葉が使われ、人々の不安と苛立ちを助長しているような気がします。

そもそも食品安全に関する基準値は、適切な安全率をかけるべきで、その上で「基準値には達していないから安心して下さい」というメッセージが発信され、市場の成立に必要な供給者側と需要者側の信頼関係の基礎となるわけです。という観点から見ると、「基準値の3倍の放射性物質があるが食べても大丈夫」というメッセージは、政策効果的な観点から、私にはかなり疑問に思います。上述の「暫定基準値」なるコンセプトも同様です。基準値があいまいにされることにより生じる消費者の不安は、ほうれん草や牛乳を始め、食品全体に対する不信感につながり、結局全国の農家が被害を被ることになります。

その意味では、一定の地域の出荷停止という判断は妥当です。個別の農家ごとの放射線検査が非現実的であることや、食品安全基準に対する信頼を維持するためにはやや広めの地域を指定することもやむを得ないと思います。
損害を受けた農家は東京電力および政府に対して賠償を求めれば良いだけの話です。この問題を以って「風評被害」というレッテルを用いることの方が、私には過剰反応であるように思われます。私は当局のやることに関しては懐疑的であることが多いですが、この出荷停止措置に関しては、反対論よりもずっと有益だと思います。

投稿: きっしー | 2011年3月22日 08:57

ハマッコー さん:

>出荷制限をしてる一方で国民に過剰反応するななんて、無理と言うもの。政府が過剰反応、支離滅裂。

政府は一環して説明不足です。

原発問題は当事者からの不十分な説明を、枝野氏の解釈力と説得力で、何とかカタチになってましたが、この出荷制限の問題は自分がほとんど当事者みたいなものですから、完全に能力不足を露呈していますね。

投稿: tak | 2011年3月22日 12:04

きっしー さん:

>色々な判断の基準になるはずの数値に関して不信が広がっていると言えます。

それはもう、突き詰めればある程度の根拠をもとにして各方面の利害のヒアリングをちょっとだけやって、最終的には 「えいや」 で決めちゃった数字ですからね。

決まっちゃった後は、それが一人歩きしているだけで、それに関してのオーソライズされた説明なんて、チョー困難です。

>その意味では、一定の地域の出荷停止という判断は妥当です。個別の農家ごとの放射線検査が非現実的であることや、食品安全基準に対する信頼を維持するためにはやや広めの地域を指定することもやむを得ないと思います。

そうした視点で言えば、最初に広めにとって徐々に狭めていく方が、だんだん広がっていくよりはずっとマシでしょう。

そうしたプロセスをきちんとやってもらいたいですね。

投稿: tak | 2011年3月22日 12:09

alex さん:

>あなた、東北人でしょう?
>のんきな記事を書くより、アクションおこしてください

この件に関しては、
「原発、ヤマは越えたとみていいようだ」の記事へのコメントのレストしてお応えしています。

投稿: tak | 2011年3月22日 12:12

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