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2011年4月 6日

「正しい情報」 を見るアンテナ磨き

ただでさえ数字や単位に弱いのに、何とかミリシーベルトとかベクレルとか言われても、さっぱりピンとこない。しかし我が旧友、食工房の mikio さんは、すぐに直観重視に走りたがる私と違って、頭の中がずっと緻密で論理的にできているから、ブログ 「飯豊の空の下から」 の昨日付記事で次のように書いている。(参照

勉強不足のメディアの解説なんか聞かなくて構いませんから、生のデータをくださいと申し上げたい。
自分で勉強してでも分析しますから。

そして今一番欲しいものは、放射線の計測器です。

東電さんよ!各集落に一台くらい配りなさいヨ!

使い方なら、勉強しますよ!私たち。
何しろ命がかかっていますから!

会津の地で地元産の小麦粉を使い、天然酵母のパン作りをしているだけあって、彼の立場は切実である。東電発表の開設を鵜呑みにして繰り返すだけのマスメディア情報は、もはや信じるに値しない。生データさえきちんと提供してもらえば、彼なら自主的な判断ができるだろうと思う。

私は今日、Twitter に次のようにポストした。日本のジャーナリズムの体質についてである。

ニュースソースと親密な「お友達=運命共同体」になって裏の裏まで教えてもらい、その一部を小出しにするというのが日本のジャーナリズム。だから記者会見なんておざなり。しかし最近は、裏の裏まで知ろうとする記者すら少なくなり、おざなり会見記事だけが垂れ流される。(参照

私も昔、業界新聞とはいえジャーナリストの端くれをしていたから、日本の「記者」と呼ばれる人たちのメンタリティはわかっている。とくに政治や経済の分野の記者たちは、ニュースソースと「親しい関係」になろうとする。そうでないと、日本人のお偉方は絶対に本音情報を語ってくれないからだ。

「お友達関係」になって、初めて本音をかいま見せてもらえる。しかし、そのようにして知り得た本音情報は「オフレコ条項」だらけなので、そのままでは決して記事にはならない。自分の知った本音情報をうまくオブラートに包み、上手なさじ加減で書くのが(いわゆる)一流といわれる記者のすることなのだ。

「お友達関係」が大きくなりすぎて一介の記者では収まらなくなると、フィクサーみたいなことまでやりたがる。大会社や政界の人事まで動かしたくなる。つまり、ナベツネみたいなのが出てくるのである。最近はあまりいなくなったけど。

今、日本の政治ジャーナリズムは、「記者クラブ」の是非をめぐって大いにもめている。伝統的(因習的)な政治家は、「お友達関係」にないフリージャーナリストへの対応のしかたを知らないし、既存のジャーナリズムはせっかく築き上げたニュースソースとの「お友達関係」を、どこの馬の骨だかわからないフリージャーナリストに壊されたくない。

話がだいぶ横道に逸れたが、つまり今回の原発事故では、既存のジャーナリズムからは本当に信頼に足る情報なんか流れてこないと思っていいということなのだ。政府、東電、既存ジャーナリズムは「お友達関係」にあり、運命共同体なのである。しかも東電はマスコミの大スポンサーだ。でんこちゃんはああ見えて、かなりやり手のおねえさんなのである。

今回の原発事故は、「信頼に足る情報」というのは、自分で努力してかき集めなければならないということを、我々に教えてくれている。世の中は「情報」に溢れているように見えて、信頼に足る情報というのはわずかだ。そして同じ情報源の中に、非常に正確な情報とあやふやな情報が混在するということも、ごく当たり前のこととしてある。

また、「正確な情報」というのが、数値的に正確というだけで、それ以上の何物をも語っていない場合もあれば、「大雑把な生情報」に基づきながら、非常に有益な結論を語るという場合もある。また、これらの情報が組み合わせられてとてもいい情報になっていながら、なぜか無視されて、クズ情報の方が取り上げられてしまうことさえある。

情報というのは、とらえ方がものすごく難しいのだ。我々は今、とてもハードな現場で自分のアンテナを鍛えているといっていいのかもしれない。

 

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