なかなか進まない放射能汚染の情報公開
茨城県は、今問題の福島原発に関東の中では一番近い。まあ、その茨城県の中でも、私の住んでいるのは南部なのでリスクは比較的小さいのだろうが、それでも放射能汚染は確実に広がっているようなのだ。このまま垂れ流し状態が続いたら、それこそ呑気ではいられない。
いくら汚染が広がっても、生活の基盤は関東においているので、おいそれと関西に逃げ出すわけにもいかない。そんなことをしたら、明日から生活に困る。よほどのことがない限り、ここで暮らして、ここで仕事をし続けるしかないのだから、腹をくくるしかないのだが、ストレスは増えるばかりだ。
関東の農産物からも放射性物質が検出されていて、いくつかの品目では基準値を超えて出荷が見合わされている。はっきり言って、基準値以下の食品なら平気で食っちゃうけど、それでも自分の食う食品が、吸う空気が、歩く土壌が、どのくらい汚染されていて、どのくらいのリスクがあるのか、きちんと認識しておきたいと思うのは人情である。
ところが、このあたりの情報がものすごく少ない。会津で天然酵母のパン屋をしている食工房の mikio さんなどにとっては、それこそ死活問題なので、国は福島県内の各市町村に放射線量測定器を配るべきだと主張している。しかしどういうわけか外国から寄贈された大量のガイガーカウンターが、成田のどこかで保管されっぱなしになっているらしい。
たまたま知り合いから測定器を借りることができた mikio さんは、身の回りのあちこちの場所で測定を始めた。そのことが 彼の昨日付のブログ に記されているので、興味のある方はご覧いただきたい。
mikio さんによると、ホットスポットと呼ばれる高濃度汚染箇所があるという。それは 「道路沿いの側溝の淀みに溜まった泥、窪地に吹き溜まった落ち葉、建物の軒下の雨だれが落ちる所、雨どいの水が流れ落ちる出口の直近など」だそうだ。ちょっと以下に引用させていただく。
配達先や途中の路上などで測定しましたが、ある大きなお屋敷の大屋根の長い雨どい落ち口では、9.0μSv/hを記録しました。
ここの空間線量は0.19μSv/hです。
さらに集会所の建物の四隅の一カ所では、10.0 μSv/h を記録したという。胸部 X 線や CT スキャンの 1回あたりの被曝は 7,000 μSv といわれるので、それと比べれば微量ではあるが、これは一度限りではなく、ある程度継続的な数値である。ホットスポットの近くに長時間いれば、蓄積が問題になる。
会津若松でこれだけの値が出るということは、原発により近いところではかなり高い値になっていることだろう。そして雨水が流れて貯まる場所で高濃度になっているということは、水は低きに流れるから、流れ行く先ほど高濃度になってしまうことが考えられる。
mikio さんは、排水溝の出口付近の川岸に子どもたちが遊びに行ったりしないよう、大人は気をつけてやらなくてはならないと主張している。
政府や東電はこうしたきめ細かい情報をきちんと公開して、ホットスポットで子どもを遊ばせないように呼びかけたり、除染のマニュアルなどを配布してもらいたいところだが、なぜか情報公開は進まず、不信感は深まるばかりである。
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コメント
ちなみに、図り方は、これ守っているんですよね。
> β線の窓(ガイガーカウンターでの放射線量の正しい計り方)
> http://togetter.com/li/136232
守らないと、異常に高い値になります。
投稿: luckdragon2009 | 2011年5月21日 21:26
横レスですみません。
luckdragon2009 さん、私が使用した機器は、測定線種がγ線のみですので、問題ないと思います。
蛇足ですが、ビニール袋に入れているのは、借り物の器械を汚したり水に濡らしたりすることのないように、気を使っただけです。
投稿: Mikio | 2011年5月21日 23:12
ブログ拝見しました。
カタログ資料が、インターネット上で見当たらなかったのですが、いわゆる線量測定機のようですね。
検定済みという事なので、数値は正確ですね。
投稿: luckdragon2009 | 2011年5月22日 08:18
ちなみに、ガイガーカウンターって言うんですかね?
> γ線計測機
通常のガイガーカウンターって、β線計測だと思うので。(GM管は、γ線は不得意。)
投稿: luckdragon2009 | 2011年5月22日 09:26
あ、しまった。
このブログでもガイガーカウンターって用語は、別の文脈で出ていて、元々線量計測機の話なんですね。
私が勘違いしたみたいなので、ガイガーカウンターの話は忘れてください。(^^;;
投稿: luckdragon2009 | 2011年5月22日 09:29
takさん、度々この場をお借りしてすみません。
多くの方がご覧になっているこのブログなので、念のために申し上げておきます。
私が測定に使用した機器は、アロカ社製のPDR-101というものです。
センサーは、いわゆるGM管(ガイガーミューラー)ではなく、シンチレーターと呼ばれるものを使っています。
γ線専用の線量計です。
ちなみに、PDR-101は旧モデルで、現行モデルはPDR-111となっています。
ご参考までに。
投稿: Miko | 2011年5月22日 21:48
補足ですが、カタログ情報はここにあります。
> http://www.aloka.co.jp/products/data/radiation-002-PDR-111
ページが繋がり難いかもしれません。
> 形名
> PDR-111
> 測定線種 γ線
> 検出器 CsI(Tl)シンチレーション検出器
投稿: luckdragon2009 | 2011年5月23日 04:27
現地の緊迫感、切迫感が伝わってきますが、ちょっと気になることがあります。それは距離と汚染に関してです。私の参考文献は「チェルノブイリの森(NHK出版)」ですが汚染の危険度と距離はあまり関係ないようでです。最近はメディアも放送し始めましたが、問題なのは風向きと天候(雨、雪)と地面の状態(舗装状態)です。実際20km圏内の一時帰宅が始まりましたが、回収品の中に除染必要なものは無かったそうじゃないですか。つまり安全なんです。結局”計ってみなけりゃ分らない”ってことです。
事故当日はどの方向が危ないか分らないからとりあえず避難させた。実測して安全だったら戻ってもらうでいいと思うんですけどね。
上掲の本は事故後十年たった現地取材記ですけど非常に参考になります。放射性物質の種類の違いによる体内被曝の差とか、放射線の強さと半減期の関係とか、自然環境絵の影響とか、実際現地はヨーロッパ最大の動物の楽園、天然記念物の宝庫になってるそうで・・・
気持ちは分りますがなんとなく気にするポイントがずれてる気がするので長々とコメントしました。
投稿: GOHANDA | 2011年5月26日 11:13
GOHANDA さん:
>事故当日はどの方向が危ないか分らないからとりあえず避難させた。実測して安全だったら戻ってもらうでいいと思うんですけどね。
それは、私もそう思います。
「単純同心円主義」みたいなのは、ナンセンスですね。
ただ、放射性物質の拡散は確実に進行中のようなので、きちんとウォッチする必要があるのは当然のことだと思っています。
投稿: tak | 2011年5月26日 22:01