こっちの感性がメルトダウンしちゃう
東電が、福島原発 1号機が「メルトダウン」していたと認めた。記者会見で「メルトダウンなんでしょ」と突っ込まれて、「それで結構でございます」と答えたのだそうだ。
ところがそれで大騒ぎになったのかというと、それほどというわけでもなく、ロケットニュース 24 というサイトでは「メルトダウンしても驚かなくなった日本人 / 危機的状況が続いたために感覚がマヒか」とまで言われている。
元々「メルトダウン」という言葉は、国際原子力機関(IAEA)や米・原子力規制委員会 (NRC) などの公式用語ではなく、曖昧な言い方なのだそうで、かなり前から各人各様の定義、あるいはそれ以前の雰囲気的な思い込みで、いろいろ勝手な憶測が飛び交っていた。この時点で、私は「メルトダウン論議」には嫌気がさして遠離っていたのである。
思い返してみれば、「既にメルトダウンしているのではないか」という推測は 3月の時点から既にあった。それでもそれは部分的な溶融に過ぎないとか、あるいは大前研一氏のように 「炉心全体が溶融しても格納容器の中に落ちて、その中の水で冷やされて止まる」 ということだったと思う。そして今、事実は後者の説明に近かったということが判明した。
しかし、格納容器の中に落ちてそれで止まるというなら、それで最悪の事態は避けられたのだろうが、溶融して落ちたことによって(あるいは他の原因で)、格納容器に穴があいてそこから水が漏れ出しているということまでは、当初はあまり想定されていなかったと思う。
しかし、毎時数トンもの水を注入していながらちっとも溢れ出してこないのだから、漏れていると想定しない方がおかしい。それに汚染水が漏洩しているのは 1号機ばかりでなく、2号機、3号機付近でも高濃度の汚染水が海に流れ出しているというのだから、「メルトダウン」 は 1号機ばかりではないのではないかと想像するのも自然だろう。
いずれにしても、震災から 2ヶ月を過ぎ、我々の感覚も確かにマヒしてきつつある。これが 3月中に発表されていたら、東日本から逃げ出す人が相次いだかもしれないが、何とかもっている。しかし放射能汚染は確実に進み、神奈川県の足柄茶まで基準を超えたセシウムが検出されて出荷停止になっている。
こっちの感性までメルトダウンしている間に、影響はかなり広範囲にまで及んでしまっているではないか。必要以上に騒ぎ立てようとは思わないが、「ただちに健康に害はおよぼさない」という気休め的言葉だけで納得しているわけじゃないのである。「辛うじてセーフ」というのは、「安心・安全」からはほど遠いのだから。
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