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2011年6月 6日

汚泥処理が大きな問題になる

各地の下水処理場で処理した汚泥から高濃度の放射性物質が検出されて、問題になっている。普段はセメント原料などにリサイクル利用されているいるらしいが、こんなことになると引き取る業者もなく、溜まる一方だという。

先月 20日の記事で、放射性物質の溜まる 「ホットスポット」 があるという、mikio さんの情報を紹介した。それは、道路沿いの側溝の淀みに溜まった泥、窪地に吹き溜まった落ち葉、建物の軒下の雨だれが落ちる所、雨どいの水が流れ落ちる出口の直近などだそうだ。

そうしたところが放射能のホットスポットになるなら、そこからさらに下水に流れ込み、汚泥に凝縮された形で溜まるというのも当然だ。ある意味では、汚泥が放射性物質をかなり吸収してくれていると言ってもいい。そのせっかく吸収してくれた汚泥を埋め立てやリサイクルなどに使ったら、改めて世の中に放射性物質をばらまくことになる。

ここはしっかり安全な形で貯蔵しておくことが必要なのだろうが、後から後から出てきたのでは、貯蔵するスペースもなくなるだろう。元々原発というのは、廃棄物をずっと貯めつづけなければならないのである。それが今回の事故で、東日本の広い範囲で原発以外の場面で現出してしまったわけだ。

このブログにコメントを寄せてくれる常連のきっしーさんが、「原発はサブプライムローンのようなもの」とおっしゃっているのは、こうした意味合いがある。表面的には経済的なメリットが大きいが、見えないところでひずみがたまり、ある日突然問題が弾ける。

空気中から降下する放射性物質は、事故直後の水素爆発でまき散らされたのが多いようで、今は減少傾向にあるというのがありがたいが、それでも地表での蓄積が問題だ。ある程度のところで見切りを付けて大々的に除染しなければ、学校や農業などで問題が広がるだろう。

いずれにしても、除染すればそれでおしまいというわけではなく、取り除いた土壌や汚泥の持って行き場を探すのが大問題になるだろう。うっとうしい話である。

 

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コメント

今ではわりとこういう認識がひろがっていますが、思えばこのブログでは震災の数日前にtakさんの風力発電に関する記事からそんな議論をしてましたね。
究極の作りっぱなしは原発じゃないかと。

信用危機の際、「リスクの社会化、利益の私物化」というようなことが言われていましたが、見えにくいリスクに対してとりあえずはコストを支払わなくて済んでしまうという市場経済の不完全さが根底にあると思っています。誰も責任を負わないまま膨大な量のリスクが世の中に転嫁されてしまう。

今回の震災は大きな悲劇ではあるものの、原発に関しては、こうした「見えないコスト」の積算をするためのデータや、原子炉は設計も運用者もアテにならないという認識が得られつつある(晩発性の健康被害は数十年経たないと分からない)ことは、ひとつの収穫ではないでしょうか。これを活かせる見識と既得権益を超越するリーダーシップがあれば、ですが。

投稿: きっしー | 2011年6月 7日 10:19


きっしー さん:

そうでしたね。3月6日の記事です。

https://tak-shonai.cocolog-nifty.com/crack/2011/03/post-ceda.html

あれから1週間も経たずに地震だったんですね。

晩発性のリスクに関しては、「50年経ったら誰も生きていない」なんていう人もいて驚きました。
子供たちのことを心配しているのに、自分たちのことしか考えていないんですかね。

まさに、誰も責任を負わない意識の構造を見たような気がしました。

投稿: tak | 2011年6月 8日 20:35

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