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2011年8月31日

テンキーが右側にあるって、イラつかない?

7年半前に「テンキーが右側だなんて、誰が決めたんだ?」という記事を書いた。テンキーが右側あるのは、これはマウスというデバイスが登場する以前からの因習で、右手でマウスを使うからには、テンキーは左手に担当させるという分業体制でいきたいものである。

件の記事を書いた時点では、私はマイクロソフトのエルゴノミクス・キーボードというのを使っていたのだが、これは右側のテンキー部分が異様に大きい。それによる不都合に関して、私は次のように書いている。

普段はあまり使わないテンキーが大きく右に張り出しているために、マウスを右手遙か遠くで動かさなければならない。これは思いの外、肩への負担が大きい。マウスを多用する作業をすると、猛烈な肩こりに悩まされる。

それに第一、マウスを動かすスペースが小さくなる。マウスをちょっと左に動かすだけで、すぐにキーボードに当たってしまう。これは本当にストレスだ。

マウスの可動部分をまともに取ると、今度はキーボードが左に寄ってしまうので、体がねじれてしまう。自分の体の中心と、キーボードの文字部分のセンターライン、ディスプレイが、一直線上に並ばないのだ。キーボードを打つために、体を常にやや左にねじりながらの作業になってしまう。

ところがその年の春、私はついにテンキーが左側に付いたキーボードを入手した。これはとても便利である。ディスプレイ - キーボードのセンターライン - 自分の体が一直線上に並ぶので、不必要に体をねじる必要がない。下に写真を載せておく。

とくに、エクセルに数字を打ち込む作業をしている時などは、右手のマウスでセルを指定し、左手でテンキー操作をするという両手使いができるので、仕事がものすごく速く進む。テンキーが右側にあったら、右手だけでマウスを握ったりカーソルキーを打ったりテンキーを打ったりしなければならない。これはちょっとしたストレスだ。

私は今、左側にテンキーのあるキーボードにとても満足しているのだが、今日、出先で会った人たちに「テンキーが右側にあるのって、かなりイラつきません?」と聞いたところ、誰もそんなことは考えたこともなかったというような返事だったので、私としてはものすごく意外だった。

「テンキーが右側で不便だと思ったことなんて、一度もない」「そもそも、左手でテンキーなんか打てない」というのである。

しかし、テンキーが右側にあることの不便さに気付かなかった人も、左側に外付けテンキーを置いて作業してみれば、そのあまりの便利さに目から鱗が落ちたような気がするはずだ。「左手でテンキーなんか打てない」という人だって、普段からキーボードを両手で打っているのだから、やってみれば打てないことなんてないのである。

私はノート PC に外付けテンキーを付けて作業している人に、「そのテンキー、左側に置いてご覧なさい。ものすごく能率が上がるから」と勧める。すると大体の人は 「左手でテンキーなんか打てませんよ」と言う。それでも「だまされたと思ってトライしてみて」と言う。

そして 1週間後にその人の元を訪れると、テンキーが元からそうであったかのごとくに左側に置かれていて、「だまされたと思ってやってみたら、本当に便利。もう右側にテンキーを置くなんて、考えられない」と言ってもらえたりする。

ところが最近は、ノート PC のディスプレイもワイド型が増えて、それに伴って、ノートの分際で右側にテンキーが付いたモデルが増えている。これは私に言わせれば、「余計なお世話の最たるもの」だ。ノート PC はキーボードとディスプレイの中心線が一直線上に並んで、体を不自然に捻らなくても済むいうメリットがあったのに、それが崩れてしまっている。

テンキーが欲しかったら、外付けを左側に置くに限るのである。

実は私のお気に入りの左側にテンキーのあるキーボードは今、7年の酷使のためにかなりガタがきている。しかしどういうわけか、このモデルを買い換えようとどんな大型店に行っても、左側にテンキーの付いたモデルはもはや見当たらない。既に製造されていないのかもしれない。

こうなったら、テンキーレスのキーボードと外付けテンキーを併用するしかない。というわけで、私は今、使い心地のいいテンキーレス・キーボードを探している。

【9月 2日 追記】

右手によるマウス操作と、左手によるテンキー操作による合わせ技は、右手のマウスで範囲指定して、左手でショートカットキー 【"Ctrl + x" (切り取り)、"Ctrl + c" (コピー) "Ctrl + v" (貼り付け) など】 操作を行うと抜群に効率的というのと同じ感覚なので、是非試してもらいたいところである。

ショートカットキーによる操作はあちこちでオススメされているのに、テンキーを左側において同様の感覚の操作をすることは全然無視されているというのは、本当に納得がいかないのである。

 

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コメント

おかげ様で…。

左肩とアゴで受話器を挟んで会話しながら、ペンを持った右手でテンキーを叩きつつ、マウスで画面を操作し、手元にメモって、結果を受話器に伝える。

という訓練(?)のたまもので、マウス自然と左利きになりました。

こんなヤツもいる、ということで、笑い飛ばしてください。


当然、肩は「専用の筋がついたのか?」というぐらいガチガチでしたが…。

投稿: 乙痴庵 | 2011年8月31日 00:33

乙痴庵 さん:

なるほど、この記事の提案とは右と左が逆転していますが、それはそれで、OK でしょうね。

なるほど、なるほど。

投稿: tak | 2011年8月31日 07:56

昔のコンピュータは数値入力とかの作業の比重が高くて、それでテンキーが利き手側ということだったのでしょうか…?(Wikipediaによれば「地域による程度の違いはあっても、おおむね世界中で右利きの人口は左利きの人口に比べて多い」と) http://goo.gl/I4Dg1

でも、今のコンピュータ作業は昔とはかなり内容も変わってきているだろうから、テンキー右に固執する必要はなさそう。

画像だとよく分らないのですが、左に配置されたテンキーは、数字キーの並びも逆になっているのでしょうか? つまり、321の順に並んでいる?


投稿: 山辺響 | 2011年8月31日 09:56

山辺響 さん:

>昔のコンピュータは数値入力とかの作業の比重が高くて、それでテンキーが利き手側ということだったのでしょうか…?

多分、そういうことだったんでしょうが、今は大抵の人の場合、テンキー入力よりマウス操作の方がずっと頻度が高いですから、利き手側はマウスに譲るべきだと思います。

>画像だとよく分らないのですが、左に配置されたテンキーは、数字キーの並びも逆になっているのでしょうか? つまり、321の順に並んでいる?

数字の並びはフツーのテンキーと同じです。
指が数字を記憶していますので、それをひっくり返したら、かなりやりにくくなるでしょうね。

ただ、エンターキーの位置がフツーと逆なのは、賛否両論あると思います。

私の場合は、どうせ小指で叩くのだから、これでいいと思っていますが、通常の位置において親指で叩く方がやりやすいという人もいるでしょうね。

投稿: tak | 2011年8月31日 10:17

私、マウスは両利きなんで――と書こうとしたら、すでに書かれてる人が…

左利きなんで、いつも微妙な圧力にさらされて生きてるんですが(駅の改札とか共用パソコンのマウスの位置とか)、そんな圧力をちょっと減らしてくれる左利き用グッズというものが世の中にはあります。

テンキーが左側に付いたキーボードを探してるんでしたら、「左利き」をキーワードにぐぐるのが良いかと

投稿: Cru | 2011年8月31日 23:29

Cru さん:

えぇと、せっかくのご紹介ですが、私が求めているのは、カーソルキーまで左側に付いているというようなものではないので、FILCO DFK-901LF みたいなのは、アウトですね。

「左利き用」 で探すと、選択範囲自体が狭まってしまうようなので、買い換えは、テンキーレス・キーボードと外付けテンキーの組み合わせにすることにします。

投稿: tak | 2011年8月31日 23:48

乙痴庵 さん:
左手マウス、目から鱗です。
早速実践してみた所、だいぶ良い感じです。
でも、例えばコピーペーストをショートカットキーで行う際、
Ctrl+C、Ctrl+Vを右手で行う訓練する必要があります。

実践していて思い出しました。
学生の時、私は右手に鉛筆、左手に消しゴムを持って書いていました。
もちろん、字を消すのは左手。
他の人が、字を消すときにいちいち鉛筆を置いて
右手で消しゴムに持ち替え消してまた鉛筆に持ち替えて・・
を不思議に思っていました。

投稿: リュウT | 2011年9月 1日 08:42

そうか、数字キーの並びは一緒なのか……。

いや、なんか私の場合、左右と言うより身体の中心からの遠近(外側・内側)という感覚が強いのか、テンキーが左側にあったら、321という並びでないと使いにくいようにイメージしてしまいます。つまり、左右どちらの手で使う場合でも、人差し指で1を打つ、みたいな。

字を左手で書くと、それなりにすらすらと……「鏡文字」を書けます(笑)

だもんで、マウスを左手で使うなら、左右のボタンは設定で入れ替えます(身体の中心に近い方、人差し指で押すのが「左ボタン」)。

そういえば私の二つ隣に座っている米国人社員は、マウスを左手で使っていますが、左右のボタンの入れ替えはしていないようで、たまに彼のPCをいじると非常に違和感があります。

投稿: 山辺響 | 2011年9月 1日 09:52

リュウT さん:

>左手マウス、目から鱗です。
>早速実践してみた所、だいぶ良い感じです。
>でも、例えばコピーペーストをショートカットキーで行う際、
>Ctrl+C、Ctrl+Vを右手で行う訓練する必要があります。

う~ん、
私は右手のマウスで範囲指定して左手でショートカットキーを押すという動作に慣れきってしまったので、左手マウスはちょっとダメだと思います ^^;)

これはエクセルを使うときに、右手のマウスでセルを選択して左手で数字を打ち込むというのとほぼ同様の感覚です。

というわけで、私は使いやすいテンキーレス・キーボードと外付けテンキーの道を進むことに決めています。

あしからず。

投稿: tak | 2011年9月 2日 12:41

山辺響 さん:

なるほど。
同じモノを右手で扱うか左手で扱うかという感覚ではなく、左右対称感覚で右手と左手を使うという感覚もあるのですね。

私の場合は、左手で文字を書いても、「鏡文字」は考えないと書けません。

人の感覚には個性があるものだなあ。

投稿: tak | 2011年9月 2日 12:43

私も同様のキーボードを探してたんですけど、ようやく最近新しいのが出ましたね
http://www.donya.jp/item/20756.html
チェリー黒軸なのがいいな。買ってみようか。

投稿: asd | 2011年11月 2日 14:04

asd さん:

リンク先の画像がベタでよくわからないんですが、これはテンキーを左右に付け替えることができるというものでしょうかね。

投稿: tak | 2011年11月 2日 20:45

真ん中から下に付け替えてる画像がありますよ

投稿: asd | 2011年11月 3日 16:55

asd さん:

>真ん中から下に付け替えてる画像がありますよ

本当だ。
全部表示されるのに時間がかかったので、気付きませんでした。
失礼しました。

投稿: tak | 2011年11月 3日 20:33

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