MS に高い 「奉納金」 を払うのは、もう止めようじゃないか
昨日の「Windows のブランド・イメージを気にしてみると」という記事に alex さんが強烈な MS 悪玉論のコメントをつけてくれた。「自分勝手な、あこぎな、傲慢な、強引な、独裁的な商売」だというのである。そのレスとして、私は次のように書いた。
MS が商品開発をストップして、既存ソフトの販売だけを行う会社になったとしても、消費者の大多数はちっとも困らないと思います。
「それじゃあ困る」という、ほんの数パーセントの人たちのために、大多数の消費者が高いソフト代を「奉納」してるようなものです。
前にどっかの記事で読んだのだが、マイクロソフトが「Office の次期バージョンで実現してもらいたい機能は何か」というアンケートをしたところ、返ってきた要望のほとんどは既に実現されている機能ばかりだったということだ。つまり MS Office は、もうこれ以上の機能拡張は必要ないところまできているのである。
だからはっきり言って、MS はこれ以上の商品開発なんてする必要がない。既存のソフトを売り続けてくれればいい。ところが、それではソフト会社として儲からないので、無理矢理新バージョンを作って売ろうとする。新機能の必要がなくなった今、手を付けられるのはユーザー・インターフェイスの部分である。
例えば Office 2003 から 2007 に移行した際には、ユーザー・インターフェイスががらりと変わった。あれだけ Windows ソフトの基本ともなっていたメニューバーやツールバーを排して、妙な「リボン」なんていうものにしてしまった。おかげで、それまでの UI に慣れ親しんでいたユーザーは大混乱を起こしてしまった。
私はいつも言うのだが、UI の基本的構造があんなに勝手に変更されてしまっては、自動車だったら命がいくつあっても足りない。パソコン・ソフトだから、命まで危なくはならなかったが、あのおかげで私のようなベテラン・ユーザーが、一瞬にしてビギナーに落とし込められてしまった。まったく、余計なことはしないでもらいたいものである。
「MS が商品開発を継続してくれないと困る」という層は、おそらくユーザーの 10%以下だろう。残りの 90%は、「余計なことをされると迷惑でたまらない」と思っている。せっかく苦労して操作に慣れたのに、その努力が一挙に無駄になってしまうのだから。
つまり一般のユーザーは、ほんの数パーセントのコア・ユーザーのために、自分たちにとっては迷惑でこそあれ、ちっとも役に立たない MS の新開発を、高いソフト代を「奉納」して支えているのである。
そこで提案である。PC を買うときは、MS Office がプリ・インストールされている機種を避けよう。Office ソフトが必要なら、無料の OpenOffice を始めとして、MS Office 互換のいろいろなものが出ている。もちろん完全互換ではないが、よほど複雑なことでもしない限り支障は出ないから、それで十分だ。それによって、ハードを購入する際の値段も下がる。
上記の記事へのコメントで、alex さんは次のように述べておられる。
純粋に個人ユースであれば、多分、ネットでの使用がほとんどであるだろうし、安価で軽い互換ソフトを使いたい
しかし、ビジネスユースであれば、マイクロソフト以外のソフトを使用することに、主に社外との互換性・整合性の面から、不安がある
確かに、そう考えているユーザーは多いだろう。しかし私は、ビジネス・ユースでこそ、無料の互換ソフトを使ったらいいのではないかと思う。というのは、PC を 30台使っている事業所で、MS Office を 30セット買ったら(あるいは、1セットで 2台にインストールすれば 15セットで済むが)、かなりのコストがかかる。
無料 Office セットを導入して、互換で多少の違いが出ても、それはそれで割り切って諦めればいい。それは大抵の場合、最終的にプリントしたときの見た目の問題であることが多いのだから、逆に言えば、PC 上で個人的に作業をしている間は、互換なんて気にしなくていい。
もしそれが共同的作業である場合は、作業継続の間は互換が保証された機能だけを使用し (大抵の場合はそれで十分だ)、最終的にフィックスした段階で、見た目の部分を意識して調整すればいい。そして、それはフィックスしちゃっているのだから、PDF で配布すればいい。
もう MS に高い「奉納金」を出して、迷惑でしょうがない開発が継続されるのを支えるなんていう馬鹿なまねは止めたいと思うのである。
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コメント
はじめてコメントさせて頂きます。
私もOffice 2003から2007になった時に、印刷すら出来なくて愕然とした記憶があります。
>もう MS に高い 「奉納金」 を出して、迷惑でしょうがない開発が継続されるのを支えるなんていう馬鹿なまねは止めたいと思うのである。
私も全く同意見ですが、これをするとMSはいかに互換出来ないようにするかという方向に開発を進めそうで、もっとめんどくさいことになりそうな気もします。
投稿: 栗色の息吹 | 2011年8月20日 21:33
ご推奨の「無料のofficeセットの導入」
確かに、合理的で経済的(無料ですから)
私が、社長なら、躊躇無く、それを採用します
ただ、私は、自分の経歴から大企業の場合を念頭に置いて、
>ビジネスユースであれば、マイクロソフト以外のソフトを使用することに、主に社外との互換性・整合性の面から、不安がある
と書いたのですが、大企業の総務なんて、お役所的なんですよ
経済的な無料互換ソフトを使って、もしトラブルが発生したり、調整の手間が必要だったり、責任が発生することを嫌うんです
だから、ムダを承知で、ユニバーサルな、ディファクト・スタンダードな、既成の、他社も使用している、誰からも文句のつかない MS office を社員に投げ与えるわけで
オフィスのPCと言えば、私は、大昔(笑)、個人で買ったワープロをオフィスで使用していましたけれど、そんなの、当時は、私だけでした
外国人の友人が英字だけのワープロを使っていたぐらいで、まだ黎明期(笑)
後に、ロンドン支店に、総務課をそそのかして、近所の店で見たアップルのPCを導入させたのも私です
アップル・マッキントッシュと呼ばれていました
メモリー量が極小(笑)
EXCELがかろうじて走る
日本法人が日本語ワープロソフトを売ってはいましたが、ほとんど日本語のソフトは無し
その頃のロンドン支店は、決算期には財経の邦人・現地人とも、手作業の計算で、徹夜して決算書を作成していました
私は、機械部部長として、機械部の決算はそのアップルでやっていました
だんだん、そのアップルのPCを経理の女子従業員が使う様になりましたけれど
私は、ロンドン支店から帰国してすぐ脱サラしましたので、帰国後すぐ、東芝のラップトップPCを買いました
ノートではなく、まだ、ラップトップであるところに、ご注意(笑)
すごい重量級で、一応、デスクトップではない・・・というぐらいのもので、持ち歩いて、私は、腰を痛めました(笑)
米国では、この東芝製のラップトップがエリートサラリーマンの必須の武器でしたが、彼らは車で移動しますから、腰を痛めは、しなかっただろうと思います(笑)
いろいろ、思い出しました
あ、もちろん、WINDOWSではなく、MS-DOSでした
日本語変換はATOK
投稿: alex99 | 2011年8月21日 01:40
栗色の息吹 さん:
>私も全く同意見ですが、これをするとMSはいかに互換出来ないようにするかという方向に開発を進めそうで、もっとめんどくさいことになりそうな気もします。
MS が非互換を進めたら、ユーザーの方から MS を見捨てればいいと、私は思っています。
投稿: tak | 2011年8月21日 21:42
ご推奨の「無料のofficeセットの導入」
確かに、合理的で経済的(無料ですから)
私が、社長なら、躊躇無く、それを採用します
alex さん:
>大企業の総務なんて、お役所的なんですよ
>経済的な無料互換ソフトを使って、もしトラブルが発生したり、調整の手間が必要だったり、責任が発生することを嫌うんです
なるほど。さもありなんと納得しました。
>オフィスのPCと言えば、私は、大昔(笑)、個人で買ったワープロをオフィスで使用していましたけれど、そんなの、当時は、私だけでした
私もそうでしたよ。
会社が買ってくれなかったので。
>外国人の友人が英字だけのワープロを使っていたぐらいで、まだ黎明期(笑)
私も外資系時代、WordPerfect (MS-Dos 版)ってやつを使ってました。
アメリカの一太郎って感じのソフトでした。
>アップル・マッキントッシュと呼ばれていました
>メモリー量が極小(笑)
>EXCELがかろうじて走る
爆弾マークを頻発させてこそ マック・ユーザーと言われていた頃のお話ですね (^o^)
>ノートではなく、まだ、ラップトップであるところに、ご注意(笑)
アメリカ人は今でも、ノート PC 全般をラップトップと呼んでますね。
投稿: tak | 2011年8月21日 21:48
マイクロソフトは、新しいOffice Suiteを発売するなら(いや、OSも)、その前のバージョンを新バージョンの2~3割の価格で(数千円?)、その前の前のバージョンを無料で提供すればいいのになぁ……。そうすれば、本当に新バージョンを必要としている人のニーズに応えつつ、互換ソフトも駆逐できるだろうに。
投稿: 山辺響 | 2011年8月22日 15:07
山辺響 さん:
>マイクロソフトは、新しいOffice Suiteを発売するなら(いや、OSも)、その前のバージョンを新バージョンの2~3割の価格で(数千円?)、その前の前のバージョンを無料で提供すればいいのになぁ……。
結果として、前の前のバージョンの市場シェアが、90%ぐらいを占めるんじゃないでしょうか ^^;)
>そうすれば、本当に新バージョンを必要としている人のニーズに応えつつ、互換ソフトも駆逐できるだろうに。
互換ソフトを駆逐できるでしょうが、自らの新バージョン開発も駆逐しちゃうと思います。
ほとんどのユーザーはそれで困らないので、とてもいいアイデアだと思うのですが、MS にとっては自殺行為なんでしょうね。
投稿: tak | 2011年8月22日 15:29
おはようございます~
こんな最先端の話題の中に果敢にも突撃です。
だからと言って特別言うことも無いのですが
じつは、夫の会社のコンピューター部長から
2007年ごろ
「うちは、全社Linuxにおいおいしますから準備しておくように」というお達しがあった。
理由は、alexさんのおっしゃった
>本当にマイクロソフトって、PC界のディファクト・スタンダードで、
>圧倒的なシェアを持っていることを悪用して、消費者をバカにして、
>消費者を翻弄して、自分勝手な、あこぎな、傲慢な、強引な、
>独裁的な商売をしてきました
>誰も好感を持っているわけがないと思います
という事のようでしたね。
すごく先見の明がある人だったけど
交通事故で亡くなったので、そのお話は終わりました。
私としては、Linuxにならなくてほっとしました。
何がなんだか解りませんから、きっと。涙
でも、
古いWindowsXPのほうにLinux を入れることができるなら、入れて試してみたいけど、そんなことができるのか?です。
投稿: tokiko68 | 2011年8月23日 11:27
tokiko さん:
もう少しで、Linux のヘビーユーザーになるところだったんですね (^o^)
Linux といっても、ディストリビューションによって、見た目としては Windows ライクになっていますから、慣れるのに手間はかからないと思いますよ。
(私はさわったことがないので、思うだけですが)
今後は、OS にこだわらずに ウェブ・ベースでなんでもやっちゃう (OS への依存が減るので、軽く動きさえすればなんでもいい) みたいな方向に行くなんていわれてますが、どうなんでしょうね。
>古いWindowsXPのほうにLinux を入れることができるなら、入れて試してみたいけど、そんなことができるのか?です。
XP が動くマシンなら、スペックとしては Linux には十分すぎるほどだと思いますよ。
投稿: tak | 2011年8月23日 13:01