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2011年8月 4日

「まじる」と「まざる」の違い

@nifty の「デイリーポータル Z」に「外でやってる将棋にまざる」という企画があった。近所の公園でおじいちゃんたちがやっている野良将棋の輪に加わってみるというのである。「一人で飲みに行ったり、一人でそば屋に入ったり、ちょっと敷居が高いかなと思う場所に飛び込んではみんな大人になっていくのだ」という崇高なる主旨である。

このタイトルを読んで、将棋についてまったく疎い私が気になったのは、この企画で飛び込んだ大北栄人さんが、はたしていい勝負ができたのかとか、そういった問題ではない。またしてもいつものように、ちょっとした細かい日本語が気になってしまったのである。

「まざる」だと? この場合は「まじる」というべきじゃないのか? いやいや、もっと言えば、この場合に使うべき漢字は、「混じる」なのか、はたまた「交じる」なのか? 微妙なところではあるが、いったいどうなんだ。

ああ、まったくもって因果なことである。こんな細かいことが気になって、きちんと調べずにはいられなくなってしまうのだ。決して暇ってわけでもないのに。

で、さっそく辞書(Goo 辞書 = 大辞泉)を引いてみたのである。こんな具合だった。

まざ・る【混ざる/交ざる/▽雑ざる】 (参照
[動ラ五 (四)]

性質の異なるものが中に入り込む。まじる。「酒に水が―・る」 「カシミアの―・ったウール地」

まじ・る【混じる/交じる/▽雑じる】参照
[動ラ五(四)]

  1. ある物の中に種類や性質の異なる別のものがはいり込む。まざる。「黄の―・った緑色」「麦の―・った御飯」「髪に白いものが―・る」
  1. グループに加わる。仲間にはいる。交際する。「子供たちに―・って遊ぶ」
  1. 分け入る。山野などにはいりこむ。    「野山に―・りて竹を取りつつ」〈竹取〉

なんだかまどろっこしいので、念のため iPhone にインストールしてある 『大辞林』 の方にもあたると、こんな具合だ。

まざ・る【混ざる/交ざる/▽雑ざる】 [動ラ五(四)]

二種類以上のものが一緒になって、一体となる。まじり合う。「水と油は―・らない」「麦の―・った御飯」

まじ・る【混じる/交じる/▽雑じる】 [動ラ五(四)]

  1. あるものの中に、他の種類のものが少量入る。入る物が少なく、異物感の強い場合にいう。「御飯の中に石が―・っていた」 「雑念が―・る」
  1. 仲間に加わる。交際する。(用例省略)
  1. 野や林に分け入る。(用例省略)

こうして比較してみると、大辞泉よりも大辞林の方が語義の説明が綿密で、違いがわかりやすい。大辞泉の「まじる」の方の 1番目に出ている語義は、「まざる」とほとんど変わらないので、どっちを使ってもよさそうに思えるが、大辞林ではある程度明確に区別されている。

大辞林の方の「まじる」の説明で、「異物感の強い場合にいう」というのは実感である。一方「まざる」は、渾然一体というニュアンスが強くなる。確かに「御飯の中に石が "混ざって" いた」とは、方言は別として NHK 的標準語では言わない。

さて、ようやくこのテーマの本題となるのだが、将棋仲間に加わるというような場合は、やはり「まじる」という方が妥当のようなのだ。大辞泉も大辞林も、 「まざる」には「仲間に入る」というような語義は挙げられておらず、それは「まじる」の方にある。

そして漢字としては「混じる」でも「交じる」でもいいみたいだが、「交じる」と書く方がやや深く入り込んだヘビーなニュアンスかもしれない。

ただ、方言とか慣用句のレベルでは、仲間に入れてもらうのを「まざる」ということはある。庄内弁では「まざる」のみで、「まじる」という単語自体がない。違和感なく素朴にしっくりと仲良くまぜてもらうような場合は、庄内的感性では、「まざる」でもいいかもしれないという気がしてきた。

ちなみに、上述のデイリーポータル Z の企画で公園の野良将棋の輪に加わろうとした大北栄人さんは、当初は高いと感じたハードルをなんとなく乗り越えて、ビミョーに「まざって」しまったようなのだ。その顛末を読み終えた時点で、「なるほどここは破格の用法として『まざる』以外にないな」と、なま暖かい気持ちでほぼ納得したのだった。

日本語の懐は深い。

 

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コメント

こんばんは~
すごく解りやすく説明してくださり
ありがとうございました。

ところで、
この解りやすくと、分かりやすくでは
どうちがうんでしょうね?
私は気分で書き分けています・・・汗


投稿: tokiko68 | 2011年8月 6日 20:36

tokiko68 さん:

>この解りやすくと、分かりやすくでは
>どうちがうんでしょうね?

「解析」 と 「分析」 の違いがわかればわかります。

解析

1 事物の構成要素を細かく理論的に調べることによって、その本質を明らかにすること。「調査資料を―する」
2 数学的論法の一。Aの事柄を証明するために、Aが成立するためにはBが成立しなければならないことを示し、Bが成立するためにCが成立しなければならないことを示し、以下順次これを繰り返して既知の事柄に帰着させること。

分析

1 複雑な事柄を一つ一つの要素や成分に分け、その構成などを明らかにすること。「情勢の―があまい」「事故の原因を―する」
2 哲学で、複雑な現象・概念などを、それを構成している要素に分けて解明すること。⇔総合。
3 物質の組成を調べ、その成分の種類や量の割合を明らかにすること。

なぁんて、適当に言っちゃいました。

私は原則 「わかる」 とかな書きにする主義です。

投稿: tak | 2011年8月 6日 23:19

きゃ~
おはようございます~
ほんとうに、きゃ~ですね。
よけい分からなくなった~~

しかし、
tak-shonaiさんのなんちゃって分析が
すごすぎる・・・・


投稿: tokiko68 | 2011年8月 7日 08:21

tokiko68 さん:

「解る」 「分かる」 の他に 「判る」 もありますね。

なんとなく雰囲気のものとしてわかったような気になっていればいいのではないでしょうか (^o^)

投稿: tak | 2011年8月 7日 15:35

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