「大連立」を巡る冒険
菅首相が退陣について、今までよりもいくらかはっきり言うようになったということは、もう「ポスト菅」の動きが本格化したということなんだろう。ただ、はっきりしたのは「菅さんはようやくもう終わり」ということだけで、その後がはっきりしたというわけではまったくない。秋以後のビジョンは相変わらず薄ぼんやりしたままだ。
そんな中で「大連立」というのが、いつの間にか大きなテーマになっている。言い出しっぺは野田財務大臣なんだろうが、火種はずっと前からあったことだ。ずっと前からあって、それが表面化するたびにあっという間に葬り去られていたのだが、急に現実的な問題となってしまっている。
ここに来て野田財務大臣だけでなく、岡田幹事長や前原元代表までそれを追認するような発言をし始めたということは、大きな方向性として実際に模索され始めているということなんだろう。
東日本大震災からの復興という至上命令があるなかで、ねじれ国会なんてやってる場合じゃないというのは、かなりもっともらしいお話で、少なくとも期間限定で大連立をするというのは、あながちとんでもないことではない。かなり説得力はある。
しかし「期間限定」で滑り出したとしても、その期間というのがいつまでを指すのかというのがうやむやになって、だんだんおかしなことになる。「目途が付いたら」という発言でうやむやにしたままここまで粘っているという、素晴らしい前例があるのだから、それは確実である。
で、そんなこんなで、政界はシャッフルされて再編成に向かう… ということになれば、いっそすっきりするのだが、そんなにうまくいくかどうかは、さっぱりわからない。この国の政治は「もう一歩踏み出せばすっきりする」という段階までくると、必ずその手前でうやむやになってしまうという習性がある。
いずれにしても、岩手・宮城・福島がガタガタの状態では、総選挙をするのはほとんど不可能なので、選挙をしないで政権交代、あるいは政権の枠組み変更を行うには「大連立」しかない。
問題は自民・公明がそれに乗っかってくるかということだ。乗っかれば総選挙なしで政権に参加することができるが、それをしたら、野党として民主党のいい加減さを責めることができなくなるという逆効果も生じる。思案のしどころなんだろう。
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コメント
基本的なスタンスは、大連立反対です。
なぜ、「こうするべきだ!」という意見、政策が、出てこないのか。
単純!各党内で意思決定が明確でないことと、「べき=自分のエゴ」に聞こえて仕方ありません。
やるべきことと、エゴの、切り分けの決断に、手を拱いている状況です。
何が一番か、優先か、もう半年に至ると言うに決断できない…、悲しいかな、我らが選出した代表の方々です。
投稿: 乙痴庵 | 2011年8月15日 23:20
乙痴庵 さん:
私は大連立に関しては態度保留です。
基本的には、大政翼賛会じゃあるまいしと思っていますが、やるならやるで、その後に政界再編成につなげてもらいたいと思っています。
投稿: tak | 2011年8月17日 08:25