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2011年8月16日

「米不足」の風評に踊らされると、高い買い物をすることになる

まだエアコンのコンセントを外したままで、いい汗をかいている。猛暑日になったらいくら何でも耐えきれないと思っていたが、案ずるより何とやらで、何とかなるものだ。最近ではエアコン効き過ぎの電車に乗ると、かえって気持ち悪い。

時節柄、とりあえず「米不足」の風評に踊らされないようにしようと思う。

東京と大阪で 72年ぶりに再開された米先物取引は、原発事故の影響による米供給不足の懸念から買い注文が殺到し、初日から不成立になったという。こんなのは個人的には関係のない情報である。こんなことで、古米を高い値段で無駄に買いだめする行為に走る人が気の毒である。

平成 5年(1993年)の米騒動を忘れないようにしよう。あの時だって「記録的な冷夏による米不足」ということで、店頭から米が消え、タイ米の輸入までしたはずだが、翌年の春には(つまり、翌年の収穫のずっと前には)店頭にフツーに米が並んでいた。「今までどこに隠してたんだよ」と言いたくなったものだ。

商人というのは悲しい性をもっているもので、「品薄になる」という情報が出始めると、流通の各段階で品物を隠し始める。供給を意図的に小さくして、値上がりを促進するのだ。いや、そんなセコイ意図ではなく「十分な在庫を確保するため」なんてのが、出荷抑制の理由になるかもしれないが、いずれにしても「隠す」ことには違いない。

理由は何にしろ、「品薄情報」が出たら、自然に供給は不必要なレベルにまで抑制されるのだ。まずメーカー(米の場合は農家)が、品物をバックヤードに隠す。そう言って差し障りがあるなら、「いっぺんに出荷する量を控える」という行為に出る。表現はどうあれ、要するに「十分にあるものを隠す」のである。

すると、一次卸も倉庫の奥の方に品物を隠す。二次卸も隠す。小売店も隠す。流通の各段階で 2割ずつ隠したら、消費市場に出回る量はあっという間に半分以下になる。これは消費者がパニックになるには十分な状況で、多くの消費者が買いだめに走る。それによって、状況はばさらにひどくなり、小売店の棚から商品が消え去る。

平成の米騒動の時だけでなく、これはオイルショックの時のトイレットペーパーでも経験したことだ。一時的にパニックになっても、しばらくするといつの間にか商品はどこからか湧いて出てくる。

それは当たり前のことで、流通業者は商品を隠したはいいが、倉庫代がかかる。隠しておくのもコストがかかるのである。とくに米なんていうのは古米になったら値段が下がるから、ある時点で在庫負担に耐えきれなくなって、あちこちからポロポロ放出されるようになる。

一度在庫放出が始まれば、いつまでも隠しておくことはできない。相場があまり下がらないうちに我も我もと放出するようになる。かくして、あれほどまでに「品不足」といわれていたはずのものが、あっという間に潤沢に供給されるようになる。

私自身が恥ずかしながら、オイルショックの時代に「灯油隠し」を経験している。その経験談は こちら をご覧いただきたい。この記事を書いた平成 15年にしても、米が不作で品薄になり、秋口には前年比 40%以上の値上がりなんて言われていたが、あっという間に潤沢な供給が回復した。

というわけで、お米は必要な量だけをフツーに買うようにしようね。そうでないと、一番高いときに無駄な量の買い物をすることになってしまうよ。

 

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コメント

tak-shonaiさん
こんばんは~
よくわかりました。
ありがとうございました。
買いだめに走りたかった私。

でも、
しなくてよかったんですね。

投稿: tokiko68 | 2011年8月18日 18:34

tokiko68さん:

東北中の米がどうかなっちゃったりしたら、この限りにあらずですが、sんなことはないでしょうからね。

投稿: tak | 2011年8月19日 18:55

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