アオサギの鳴き声
我が家の裏手には川が流れている。ちょっと前まではどうでもいい「小川」だったが、5~6年前から治水のために川幅を 2倍にする拡幅工事が進行していて、我が家の裏手も昨年頃に拡幅が完了した。それで「小川」というのをやめにして、「川」というようになった。
川幅が広がったら訪れる水鳥もずいぶん増えて、昔から時々、鴨や川鵜、カワセミなどが来ていたのだが、最近は白鷺やアオサギが当たり前に飛来するようになった。浅瀬に立って川魚をあさっている。
今日の和歌ログに載せた歌は、「秋の夜に浮かぶ薄の彼方より青鷺の鳴く声ぞ聞こゆる」というものだ。夜が更けて帰宅したら、隣の空き地で街灯の光に浮かんでいるススキの向こうから、青鷺が飛びながら鳴く声が聞こえたのである。
アオサギは飛びながらでも鳴く。そして夜にも鳴く。当然、夜に飛びながらも鳴くようだ。鳥なのに夜目はきくのだろうか。その鳴き声は「ギョエ、ギョエ!」という感じで、見た目の上品さとは似てもにつかないアロギャント(横柄) な声である。
「天は二物を与えず」というが、私は、鳥の姿と鳴き声は両立しないんじゃないかという印象をもっている。美しい鳥の鳴き声は、案外下品である。
オナガという鳥がいる。最近はものすごく数が減っていて、西日本からは姿を消したらしく、関東でも滅多に見られなくなった。昔は東京郊外の住宅地などにも当たり前にいて、とてもシンプルで美しい姿を見せてくれていた。ただ姿は美しいが、鳴き声が「ゲェ!」というとてもがっかりするような声なのである。
聞けば、オナガというのはカラスの仲間なのだそうで、「ゲェ!」という鳴き声なのも、それだからかと納得されるのだが、それでもやっぱり、関東に来て初めてこの鳥の姿を見、鳴き声を聞いたときは、あっけにとられた。
アオサギもそんなようなもので、鳴き声はなかなかの「がっかりもの」である。夜の闇の中で川の向こう側から「ギョエ、ギョエ!」という声が聞こえると、「おいおい、もう少しなんとかならんものか」と思うのである。
鳴き声の美しい鳥は、大抵姿が地味だ。鳥の鳴き声チャンピオンみたいな存在のウグイスは、びっくりするほど地味である。よく「梅に鶯」などの題材で絵に描かれるウグイス色のきれいな鳥は、あれはメジロであって、ウグイスじゃない。
一方、タカやワシなど、猛禽類の仲間の泣き声は、意外なほどかわいい。たいてい「ピィ」というカマトトぶった鳴き声である。トンビはさらにカマトトぶっていて、「ピーヒョロヒョロ」と、呑気なものだ。
アオサギは我が家の裏手の川のどこかに居着いたらしく、近頃毎晩、アロギャントな声を響かせている。やれやれ。
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