「オクラホマ・ミキサー」 のミステリーを巡る冒険
Twitter で kunishiro さんが、「オクラホマミキサーっていったい何者なのさ。何かをかき混ぜる機械?それとも男女をかき混ぜる?」と疑問を呈しておられる(参照)。そう、この曲は「マイムマイム」と並ぶフォークダンスのスタンダードとして、日本では知らぬものとてないが、ちょっと謎の多い曲なのである。
「オクラホマ・ミキサー」はアメリカで生まれた曲で、本当のタイトルは "Turkey in the Straw" (藁の中の七面鳥) という。私は個人的には、中学校に入るか入らないかの頃からこの曲を知っていて、ギターで伴奏して歌っていた。
日本語の歌詞は、「荷物を山盛り積んだ / 馬車がゆく街角を / 鞭振れば飛び出して / 街はみんなで大騒ぎ」という出だしだった。何が飛び出したのかといえば、もちろん七面鳥で、「みんなで追いかけろ、捕まえろ」と、賑やかなことになる歌なのである。
フォークダンスの『オクラホマ・ミキサー』を知ったのはその後のことだったので、私としては「なんだ、どんな曲かと思ったら、『藁の中の七面鳥』じゃないか」 と思っていた。そしてその頃から、「なんでまた『藁の中の七面鳥』のことを『オクラホマ・ミキサー』なんていうんだろう」と不思議な気がしていたのである。
kunishiro さんの tweet で昔からの疑問を思い出してググってみたら、findingbabyg さんというアメリカ人と思しき人の面白い書き込みが見つかった (参照)。
この人は、日本人と中国人の留学生と感謝祭の出し物について話し合っていた時に、自分がオクラホマ出身だと話すと、「じゃあ君は "Oklahoma Mixer" を知ってるだろう」と言われて、大いに面食らったというのである。
彼はそんな名前の曲は聞いたこともなかったが、日本では有名で、踊りまでついていると知って、びっくりたまげてしまった。そしてそれが、"Texas Straw" (このようにもいうらしい)の歌で踊られると知って、またまた驚いたようだ。
念のために、米国版 Wikipedia で "Turkey in the Straw" を引いてみたが、そこには同じメロディに別の歌詞のついた "Zip Coon" という曲があるとは書いてあっても、"Oklahoma Mixer" なんていう記述は一言も見当たらない。どうやらこれは、日本特有の現象であるかもしれないみたいなのだ。
ちなみに "mixer" という言葉には「親睦会」という意味があるようで、転じて、男女が入れ替わって踊るのを指すこともあるようだ。しかしだからといって、「オクラホマ・ミキサー」が「オクラホマの男女が交代しながら踊る踊り」なんていったら、当のオクラホマ人がびっくりしてしまっているのである。
一体どういうわけで、日本ではそういうことになってしまったんだろう。だいぶ前に "『猫踏んじゃった』 のミステリー" というコラムを書いたことがあるが、「オクラホマ・ミキサー」は、これに匹敵するミステリーかもしれない。
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コメント
ジャーマンポテトとかスパゲッティナポリタンの類でしょうか?
投稿: 山辺響 | 2011年9月30日 10:20
山辺響 さん:
そんなに遠くはないと思います。
投稿: tak | 2011年9月30日 17:18