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2011年11月25日

中西龍さんの、素晴らしいフォロー

ちょっと前に、妻が聞いていたラジオで、元 NHK アナウンサーの山川静夫さんがおもしろいことを言っていたのだそうだ。山川静夫さんといえば、NHK を辞めてからは、いや、辞める前からかな、歌舞伎などの芸能評論的な仕事で目立っておいでだけど、やっぱり根っこにはアナウンサーというのがある。なにしろ紅白の司会もやった人だし。

で、山川さんが NHK の札幌支局にいた時のこと。ローカル番組の中でお役所からのお知らせみたいなことを読み上げる告知コーナーがあった。駆け出しの頃は原稿の下読みをしっかりしていたのだが、だんだん慣れてくると、ぶっつけ本番でやっちゃうようになる。

その日も、なんだかくわしくは知らないけど、お役所からのお知らせみたいなのがあって、それを番組内で告知したんだそうだ。ところが原稿を読み進めていくうちに、「申し込み締め切り」というのがあって、なんとそれがとっくに過ぎていたんだそうだ。つまり、もうとっくに申し込み締め切りの過ぎた旧聞の告知を、まじめくさってやってしまったのである。

あせって頭の中が白くなりかかった山川さんは、つい「もしかしたら、今からでも間に合うかもしれませんので、お急ぎください」なんて余計なことまで言ってしまい、それもあって、お役所から大変なクレームを受けてしまったのだそうである。

ずっと後になって、あの『にっぽんのメロディー』の名ナレーションで有名な、NHK の大先輩、中西龍さんと対談をするという企画があり、その中で「実はこんな失敗をしたことがありまして」と打ち明けると、中西さんはあの穏やかな調子で、「実は私もあります」とおっしゃったのだそうである。

同じように、申し込み締め切りがとっくに過ぎた告知のアナウンスをしてしまった中西さんは、フォローとして、「念のため申し上げました」と、たった一言だけ付け加え、何事もなかったように次のニュースに移ったのだそうである。すると、とくにクレームはなかったそうだ。

さすがに中西さんである。また聞きのまた聞きみたいなものではあるが、私は「うーん」と感心してしまったのであった。

 

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