北朝鮮の葬列写真偽造で思うことなど
キム・ジョンイルの葬儀関連で、朝鮮中央通信が配信した写真が修正されているというのが、話題になっている。ロイターは「改ざんが強く疑われる」として配信を取り消したんだそうだ(参照)。
葬列を上から撮影した写真で、整然と並んで葬列を見守る人の列から外れたところにゆる~く立っている 5~6人の人影が、しっかりと消されてしまい、いかにも不自然な真っ白な雪に覆われた地面だけになっている。共同通信は「改ざんの目的は不明だが、写真が見栄えのするように白く塗りつぶした可能性がある」と報じている。
まあ北朝鮮のことだから、このくらいのことはするだろう。いかにもユルユルで立っている人影が「沽券にかかわる」として、ヒステリックに消してしまったというより、写真を配信する際には、このくらいのことはしなきゃいけないのだと思っているのだ。それは今に始まったわけじゃなく、枚挙にいとまがない。ちょっと探しただけでも こんな にある。
これは彼らの意識としては「偽造」というよりも、「ごく当然のサービス」なんだと思う。このくらいのことはしないと、かえって失礼に当たるとでも思っているフシがある。アジア的思考では、「ウソ」は決して「嘘」じゃなく、それはそれで当然として通用する。
私は中国本土には行ったことがないが、香港には何度も行った。初めて行ったときには、その辺を歩いている人に道を尋ねたりしたが、それ以後は絶対にしないことに決めた。香港人(に限らず、多くのアジア人)は、道を聞かれるとテキトーなウソを言うのである。
私は初め、香港人は嘘つきだと思ったが、すぐに、あながちそういうわけでもないと悟った。彼らは道を聞かれたときに、「知らない」と言う方がずっと失礼で不親切だと思っているようなのだ。だから「あっちに真っ直ぐ行けばいい」なんて、テキトーなことを言うのである。
ウソが決してウソじゃない。その場を収める方便なのである。その方便を信じてしまう方が無粋なのだ。本当に道を知っていたら、彼らは大いばりで教える。大いばりでなく、おずおずと答えたら、それは「本当は知らない」ということなのだ。そのくらい察することができないようでは、アジアは渡れない。
北朝鮮の場合は、元々あるそうした傾向が、ものすごく極端に現れているので、大ウソほど大いばりで言う。だから、あの国の言うことは何にしろ、そのまま信じてはいけないのである。
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コメント
都合の悪いことを隠すのは大は国から、企業、そして個人まで絶える事無くあり、色々と「工夫」するものですね。
ちなみに私のウソはすぐばれる。
では日本は「真実」を報道しているのかと言えば・・・・?
特に震災以降。
あ、それから「ひょっとしてH君?」の件は
「んだがもしんねのー」です。(笑)
投稿: ひろぼー | 2011年12月31日 10:44
ひろぼー さん:
「真実」の報道って、突き詰めるとものすごく難しいと思います。
何が真実かということさえ、人によって違うし。
で、とりあえず、H君ということで、納得です (^o^)
投稿: tak | 2012年1月 1日 13:22