上田馬之助、逝く
プロレスラーの上田馬之助が死んだとのニュース(参照)を、私はある意味、キム・ジョンイルが死んだという以上の感慨をもって読んだ。
上田馬之助といっても、今の若い人はちっとも知らないかもしれないが、私のような力道山時代からのプロレス・ファンには、忘れられない存在である。あのタイガー・ジェット・シンとの極悪タッグで暴れまくっていた頃の印象は、なかなか渋いものであった。
上田馬之助は、一見派手な外見の悪役レスラーではあったが、若手時代は腕固めや脇固めなどの地味な関節技を得意とし、ガチンコではかなりの実力者だったと思う。「と思う」としか言えないのは、その得意技で試合に決着を付けることは滅多になく、最終的には花形レスラーや外国人レスラーに負けて見せる役割に徹していたからである。
しかし、プロレスをきちんと見ている人はしっかりわかっているはずだが、プロレスで「きちんと負ける」には、それなりの実力がなければならない。とくに「受け」がしっかりしていないと、相手も怖くて見栄えのする技は仕掛けられないので、結果的に試合がしょっぱくなる。
観客がちゃんと興奮して満足して帰るには、負け役のレスラーがきちんとしたパフォーマンスをしなければならないのである。その意味で上田馬之助は、ちゃんとしたプロレスラーだった。もっと言えば、見る目をもった者が見ると、哀愁を感じてしまうほど律儀なレスラーだった。「何もそこまでしなくても」と思ってしまうほどの、哀愁を漂わせていたのだ。
多分、上田馬之助は律儀すぎたんだろうと思う。極悪レスラーを演じても、タイガー・ジェット・シンほどにはその極悪キャラクターの中に入り込めなかったところがある。つい、何となく気配りをしてしまう。
「物狂い」 に徹しきれなかった律儀なレスラーに、心からの哀悼を捧げる。
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コメント
いつも楽しく読んでます。
以前、リチャードホールという番組で、くりぃむしちゅーの上田が(多分苗字の一致とは関係なく)馬之助のモノマネをしてました。
上田は相方以上のプロレスファンなんです。
やっぱり本気のファンはわかってますね。
投稿: atmera | 2011年12月24日 21:57
atmera さん:
今、ググってみたところですが、かなりコアなプロレスファンのようですね (^o^)
投稿: tak | 2011年12月25日 00:41