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2011年12月20日

Winny 開発者の無罪確定で、あれこれ思う

ウィニー: 開発者の無罪確定へ … 最高裁、検察の上告棄却」というニュースが、キム・ジョンイル死亡という大ニュースの影でひっそりと報じられた。7年半前に開発者が逮捕された時には、このソフトがどんなものか理解していない層にまで向けて、「インターネットは怪しい世界」 というトーンでセンセーショナルに報じられていたのに。

Winny に関しては、このソフトが話題になった頃からほとんど考えが変わっていない。要するに、このソフト自体は法律を犯すことを勧めているわけではないが、「おもしろいソフトを共有しようと思ったら、多くの場合、つい法に抵触してしまいそうだよね」ということだ。

法に抵触してまでいろいろなファイルを共有しようなんていう気にもなれないから、私は Winny をインストールする気には全然ならないし、人にも薦めない。さらに暴露ウィルスまで出てきたので、仕事で使う PC には Winny をインストールしない方がいいと思う。

警察官が Winny をインストールした私物 PC に業務上の機密情報の入ったファイルを保存して、それが暴露ウィルスのために流出してしまったなんて事件があったが、そんなことでは、どうにもかばいようがない。

というわけで、私自身は Winny には興味がないというか、はっきり言って「嫌いなソフト」だし、当然にも使う気には全然ならないのだけれど、その開発者を有罪とするのは、やっぱり考え物だと思っていた。だから今回の無罪確定には、「しかるべし」 という気がする。

私は 7年半前(まだこのブログがココログに移行していない頃だから、懐かしいぐらいの時代だ)、次のように書いている (参照)。

開発者の 「47氏」 が志向したと思われる 「著作権という概念の質的変化」 への対応には、興味がなくもない。私も、著作権の現在のコンセプトは確かにオールド・ファッションドだと思う。まったく新しい形の著作権のコンセプトがあってもいい。

例えば、ハリウッド的な大作主義の映画を作ろうと思ったら、著作権に基づいた収入を想定しなければ制作自体が不可能になる。だから、ああした作品がお好きなら、ちゃんと入場料を払い、DVD をきちんと買うべきだろう。

しかし、もっと 「草の根的」 な芸術作品がお好きなら、あんまりお金のことで面倒な運用が必要なのは、うっとうしい。インターネット時代のアートは、そうした志向への萌芽が見られる。

というわけで、要するに私は、「金のかかりすぎる芸術なんて、あんまり興味もてない時代になりつつあるよね」ということを、言外に言っている。

私自身、「和歌ログ」 という、PC とデジカメ、あるいは iPhone さえあれば、後はほとんどコストがかからない (その代わり、全然儲かりもしない) 芸術を 8年間も毎日続け、それで「クリエイティブ・コモンズ」にも参加してるので、軽い気持ちでそんなことが言えるのである。これって、インターネットがあるからこそ成立しているジャンルだと思う。

 

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