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2012年1月25日

仕事より出世が好きな人種

今はそっちの方からはできるだけ足を洗いつつあるので、あまり気に障ることもなくなってきたが、以前、生臭いビジネスにも盛んに足を突っ込む仕事に関連していた頃、役人や商社マンや百貨店社員(店員ではない)と付き合うのが、とても億劫だった。

そうでない人もいくらでもいるが、私の個人的な偏見に満ちた印象として、彼らは自分のお客(役人の場合は「国民」とか)より自分たちの方がエライと確実に思っている人たちである。百貨店の社員なんかは客商売だけに、一見するととてもソフトで低姿勢だが、一皮むくとやっぱりかなり「エラソー」 である。

よく言えばプライドが高いわけだが、悪く言えば「自分を何様と思ってるんだ」ということになりそうな人もいる。

彼らと付き合って何がうっとうしいかというと、食事や酒の席の話題として、出世の話しか出てこないことだ。「誰それさんは本部長になった」とか「誰それさんは役員になった」とか、役人だったら「課長になった」とか「局長になった」とか。そして一方で、「誰それさんは不遇だ」とか、「体をこわさなかったら、今頃役員になってた」とか、そんな話ばかりなのだ。

彼らと会食しても、文化論とか芸術論とか、そっち方面の話なんて、まず絶対に出てこない。せいぜいゴルフの話題止まりだ。要するに、私がまず興味を抱かない分野の話題だけが、延々と続くのである。まあ、付き合いきれないわな。

もちろん、これが偏見に満ちた印象に違いないとは、いくら私でもわかっていて、そうでない人もいくらでも知っているが、概してこれらの世界で出世する人というのは、「仕事よりも出世が好きな人」である。

一方、中小企業には、出世なんてことより「仕事そのものが好き」という人が多い。物作りの業種でなくても、概して「職人肌」だ。そして私は、日本の産業界を影で支えているのは、こうした「職人肌」の人たちなのだと思っている。

そして悲しむべきは、日本の影でない部分、「表舞台に近いところ」と言ったらいいのかな、そんなところにいる人たちの多くが、「仕事より出世が好きなタイプの人たち」であるということだ。

よく言われることだが、「立身出世」という美徳のうちの「立身」というファクターがいつの間にか消えてしまって、「出世」のみが重大関心事となってしまっているのが、確かにこの国の大きな不幸である。

 

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