iPad 用のスキャナーというデバイス
「スキャナーにもなる iPad ドック」 という新製品が出た。上部にiPad (iPad 2も含む) を立てるスロットが付いていて、ドックの前部にあるスリットに幅 5cm から約 22cm までの紙を入れると、スキャンされたデータが JPG ファイルとして iPad に送られ、画像データとして 「写真ライブラリ」 に保存される。
実際の操作は、上の動画で見る限り本当にシンプルで簡単そうだ。これなら、紙の書類がたまることなく、書斎がずいぶんすっきりと片づくだろうと思う。
しかし 「待てよ」 と思う人がいるだろう。iPad 2 にはカメラが付いているじゃないか、どうせ画像データとして「写真ライブラリ」に保存されるなら、別にこんなものを買ってスキャンしなくても、iPad に付いているカメラで写してしまえば、同じことじゃないか。撮影は一瞬で済むから、スキャンするよりずっと手っ取り早い。
うむ、確かに私も一瞬そう思ったよ。だが「いや、そうじゃなかった」と思い直した。iPad 2 の残念なポイントとして、カメラの性能があまりよくないのである。調べたら、90万画素だそうだ。それって、一昔前のスペックである。
父が死んだ時に、死亡通知を出すために父の住所録(昔の人らしく、大学ノートなのだ)の全てのページを iPad のカメラで撮影して保存した。30ページぐらいの住所録を端からずっとカシャカシャと撮影し、それで OK と思っていた。ところが後からその画像を眺めると、かなり粗いのである。小さい字がようやく読み取れるぐらいのものなのだ。
「しまった、これだったら iPad じゃなく、iPhone で撮影しとくんだった」 と思い直したが、まあ、読み取れないこともないので、そのまま保存してある。ちなみに、iPhone 4 のカメラは 500万画素だから、iPad 2 よりずっといい。これまでもメモや書類を iPhone 4 のカメラで撮影してスキャナー代わりに使ってきたが、画像は十分に鮮明だ。
ところが、iPhone は表示画面が小さい。字の読み取れる大きさで画像の端から端まで眺めるためには、スクロールしなければならない。父の住所録を iPad 2 で撮影したのは、画面が大きいのでスクロールしなくていいだろうと思ったからなのだ。ところが、画像が粗いのでは、スキャナー代わりとしては、かなり惜しい。
iPad 2 のカメラがお粗末なのを「残念なポイント」と書いたが、Apple としては、iPad を振りかざして写真を撮るなんてことは、あまり想定していなかったのだろうね。ちょっと想像しても滑稽な姿だもの。
iPad 2 のカメラは、せいぜい Skype やFacetime などのテレビ電話用ぐらいの意味なのだろう。年取ってくると、自分の顔があまりにも鮮明に相手に送られるのは決して望まないものなのだ。ちょっと粗いぐらいの方がいい。
そんなこんなで、iPad 用のスキャナーというのが商売になるのだろうが、私としてはそれなら、iPhone 4 で撮影した写真を iPad で閲覧すればいいじゃないかと思っている。今は iCloud というのがあるから、それで十分じゃないか。
そうか、このデバイスは、iPhone を使わないで iPad だけというユーザーのために開発されたのかもしれない。ふむふむ。
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