今年の正月と無常観
「明けましておめでとう」と言いにくい正月なんだそうだ。私は父の死後、まだ 3ヶ月も経っていないので年賀状も出していないが、別に喪中でなくても「おめでとう」というのを控える風潮なんだそうだ。なんだかなあ。
それでなくても、とくに東日本、さらに東北ではちょっとうっとうしい正月なのだが、「おめでとう」ぐらい気楽に言ったらどうなんだと思う。またぞろ「自粛体質」が症状を現し始めたのだろうか。
とはいえ、一休禅師が狂歌に読んだように「正月は冥土の旅の一里塚めでたくもありめでたくもなし」ということだから、まあ、あまりこだわらずに餅でも食っていようか。
こんな具合なので、今年の正月は何だか重苦しい。あの震災以後、何かが確実に変わってしまっていて、日本中に「無常観」が漂っている。「驕れる者は久しからず」 ってな言葉を思い出すが、日本はもう「驕る」 ほどの材料もなくなってしまったような気がする。折もおり、今年の大河ドラマは『平清盛』なんだそうだよ。ちょっとできすぎじゃなかろうか。
『方丈記』という日本の古典的随筆があるが、この中で著者の鴨長明は、当時の都を襲った火事、竜巻、飢餓、地震などの災難を克明につづって、世の無常を説いている。今の日本、多くの人が鴨長明みたいな心境になっちゃってるんじゃないかと思うようなところがある。
本当に、ちょっと人里離れた山の中に方丈の庵を結んで、世捨て人みたいな感じで生きられたら、かなり気楽なものだという気がするが、今の世の中では、食うぐらいは稼がなきゃいけないので、なかなか鴨長明のライフスタイルまで真似することはむずかしい。
ところで、北朝鮮にいたっては「無常観」どころじゃないぐらい大変な世の中になっているんだろうけれど、指導部はここに至ってもまだ妙な幻想を抱いているのかなあ。方丈記を読ませてあげたいぐらいのものだ。
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コメント
元日は子供たちが帰省し、にぎやかに過ごし、私の「無常感」はしばしはるか彼方に吹き飛んでいました。
「もっけだの」の言葉がおとそ頭の中でクールクルと廻っていました。
私は、ちょっと人里離れた山の中(標高1150M)の方丈の庵の様な家に住み、世捨て人みたいになれなくて、食うためにジタバタとくらしています。
投稿: ひろぼー | 2012年1月 2日 19:38
ひろぼー さん:
>私は、ちょっと人里離れた山の中(標高1150M)の方丈の庵の様な家に住み、
ほほう、それはずいぶんいいところに住んでますねえ!
ところで、今年の雪は大変みたいですね。
投稿: tak | 2012年1月 2日 19:45