「地球温暖化」 は「気候極端化」
一昨日と昨日、関東では小雨が降るどんよりとした空模様だったが、寒波は少しだけゆるんで、私の住むつくばの里も久しぶりで氷点下にならずにすんだ。しかしそれもつかの間、今朝は上天気で、最低気温も -6度ぐらいになったようだ。
そもそもこの辺りは、普段の冬だと ¥「今朝は冷え込んだなあ」 ¥と言うような日でも、せいぜい -2~3度ぐらいで、シーズンにほんの数回 -5度ぐらいになって悲鳴を上げるという程度なのだ。今年のように -5度以下が 1週間以上も続くなんていうのは、ここに引っ越してきて 30年になるが、初めての経験である。
なにしろ気温だけで言ったら、私の生まれた酒田辺りよりずっと低いのである。雪のないだけましだが。
そしてこの寒さは、去年の 11月下旬辺りから続いている。「この冬は、妙に寒いね」なんて言いながらも、「寒気の吹き出しってのは、大抵どこかで息切れしてそれほど長くは続かないから、春の来るのは早いかもね」なんて、呑気な憶測をしていた。ところが、今回の寒気は全然息切れしないのである。これには驚いた。
この寒さをもってして、「地球温暖化なんて、デタラメ」なんて言う人もいるが、それは「木を見て森を見ず」というものである。今回の厳冬の原因も、実は地球温暖化が原因の一つになっているらしいのだ。
海洋研究開発機構(JAMSTEC)の研究によると、地球の温暖化によって北極域の海氷が少なくなると、北極で発生した低気圧の進路が変わり、シベリア地方に寒気が入りやすくなるというのである。こうしてシベリアに停滞した寒気のせいで、ジェット気流の流れが変わったのが、今回の日本の厳冬の直接的な原因といわれる。
そもそも「地球温暖化」なんていうから誤解する人が出るんであって、ざくっと「気候変動」と言ってしまえばいい。「京都議定書」(Kyoto Protocol)というのも、地球温暖化防止のためのものと言われているが、本来の名称は「気候変動に関する国際連合枠組条約の京都議定書」(Kyoto Protocol to the United Nations Framework Convention on Climate Change)というのであって、「地球温暖化に関する」云々ではない。
「地球温暖化で世界が暖かくなるなら、暮らしやすくなるし、農業生産も増えるからいいじゃないか」なんて、呑気なことを言う人がまだいるが、「温暖化」というのは、とりもなおさず「極端化」であり、まんべんなく穏やかに暖まることじゃない。
このことは昨年の 8月にも "「温暖化」というのは「極端化」を穏やかに言っただけ" という記事で書いたが、敢えてもう一度繰り返しておく。
気候が極端から極端に振れるので暮らしにくくなり、農業被害をもたらす災害も増えるというのは、昨今の猛暑と厳冬、台風など、身近な経験則からもわかることだ。台風被害は最近よりも昔の方がずっと大きいが、それは台風の発生、進路などに関する情報が今と比べて甚だ貧弱だったので、人々がまともに対応できなかったからだ。
3000人の死者を出した昭和 34年の伊勢湾台風の時などは、9月 26日 18時上陸のほぼ半日前、お昼頃になってようやく暴風雨・波浪・高潮の各警報が発令され、きちんと人々に伝わったのは、上陸直前でしかなかった。
21世紀となってこれだけ情報が発達し、台風進路にあたる地域では 3日も 4日も前から警戒が呼びかけられ、災害対策のインフラ整備もずっと進んでいるというのに、台風被害が深刻化しているというのは、それだけ台風がおしなべて強烈になっていることを物語る。
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