夢の中での五官
昨夜、夢の中で「どんがら汁」を食って、「旨い! やっぱりどんがら汁はやめられんなあ!」と感激したところで目が覚めた。この時、何に驚いたかといって、本当にどんがら汁を食ったと変わりないほどのおいしさを、夢の中で味わっていたことである。
どんがら汁とは、庄内浜名産の寒鱈を、頭から尻尾までどこも捨てるところなくぶち込んだ鍋物で、とくに「だだみ」と呼ばれる肝臓や白子の濃厚なおいしさが、思い出しただけでもよだれがあふれるほどのものである。あれはまさに、庄内のソウルフードである。
それにしても、実際に口に入れたわけでもないのに、あんなにも明確かつ具体的かつ詳細な味覚が夢とはいえ、脳内に再現されてしまうというのは、恐ろしいものである。あんなだったら、催眠術をかけられて「寒鱈汁、召し上がれ」とインスタントみそ汁を出されても、寒鱈汁のおいしさをバーチャルで十分に味わえると思う。
夢の中の五官の感覚というのは、馬鹿にできないものがある。寒鱈汁の味覚だけでなく、総天然色の鮮やかな画像、音、臭い、暑さ寒さ、痛さなんてものまで、かなりリアルに再現されてしまう。バーチャルな感覚の力というのは、かなりのものだ。
ただ、夢の中で再現可能なのは、実際に体験したことのある感覚のみという気がする。食ったことのないものの味は夢の中で再現不可能だし、嗅いだことのない臭いというのも同様だ。
行ったことのない土地に夢の中で行くことはできる。例えば私は実際には行ったことのない英国やネパールに、夢の中で行ったことがあるが、それはもちろん実際の記憶の再現ではなく、想像上の英国やネパールである。だからかなり「トンデモ系」の英国、ネパールだった。
それに対し、味覚、臭覚、痛覚みたいなものは、かなりリアルに夢の中で再現される。これは、脳内に蓄積された味覚、臭覚、痛覚のデータベースが、夢の中でもしっかりと機能するからだと思う。味覚、臭覚、痛覚というのは、感覚の中でもかなり原始的なものだから、夢の中のような朦朧とした状態でも OK なのかもしれない。
これだったら、フグだろうがキャビアだろうが、一度しっかりと脳内データベースにセーブしてしまえば、夢の中で何度でも食べることができるはずだが、そう自由自在に夢を見ることもなかなか難しいみたいで、なかなかうまく行かないのが残念だ。
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